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人は覚悟で信頼され、弱みで愛されることの真意

私は、人は覚悟で信頼され、弱みで愛されるようになれば「自分らしく生きていける人」になっていると考えています。

そして、自分らしく生きていける人の特徴は、「自分で生きていくという覚悟」を持っている点です。

”覚悟”というと「よし、するぞ!」と力むイメージが浮かぶと思いますが、私の思う覚悟というのは、ある種の”諦め”の感情も含んでいます。

諦めとは、自分以外の何者かになることはできないということです。

「もう、自分らしくしか生きられない!」という事実を受け入れること、認めることに覚悟と同じ効果があると思っています。


「決めたことをやりきれない」自分はダメだと思っていた過去

意外に思われるかもしれませんが、私も「一つの道を極めたプロフェッショナルになって、ストイックに生きていられたらいいな」と考えていた時期がありました。

例えば、野球選手でいうとイチロー選手や大谷翔平選手。彼らのように「この道で生きていく」という生き方は憧れの対象でした。しかし、どうも自分は彼らのようなタイプではないという事実に、早々に気づいていました。

私は、何か一つにこだわろうと思っていても、つい横にあることや他に面白そうなことがあると目移りしてしまいます。

前職時代は、目標達成のために「自分が決めたことをやりきる」ということを教えてきました。しかしながら、実際のところ自分自身は「自分が決めたことをやりきる生き方」が上手くできず、苦しんでいたのです。やり切ることができない自分に対して、「自分はダメなんだ」と自信が持てなかった期間が長くありました。


自分以外の誰かのためなら力が出ることに気づいて、人生が変わった

一方で、なぜか桁外れに目標が達成できるときもあります。理由を振り返ってみると、私は「自分以外の誰かのため」に行動したときは非常に力が出るのでした。

例えば、自分のチームの後輩が目標を決めたとします。そのときに、「どうしても目標を達成したいです。川原さん、力を貸して下さい!」と声を掛けられると、絶対に達成させようという気になるのです。

不思議なことに、自分のためだと途端に力が出なくなってしまうのに、自分以外の誰かのためだったら、力が出る。この経験から「決めたことをやりきれない自分」を諦め「誰かのためなら、桁外れの力が出てくる自分」を受け入れました。そして、「その自分でどのようにして生きていくのか」と考え始めたときに、覚悟が決まったのです。

覚悟を決めた生き方になっていると、人に信頼してもらえる

「もう自分は自分でしか生きられない。そして、自分というものを上手く使って世の中に活かしてもらい、多くの人に喜んでもらう生き方をする」と覚悟を決めたときにはじめて、「無理をしなくとも、きちんと人の役に立てる生き方」になれたのだと思います。

覚悟を決めた生き方になってると、人に信頼してもらえるようになります。なぜなら、いいところも、できていないところも含めて「この人はこういう人間なんだ」と分かってもらえるからです。人間性の理解が高まったとき、人は信頼が貯まり始めます。

逆に、覚悟を決めた生き方ではない場合、そのときの思いつきで行動が変わるでしょう。会うたびに行動が変わる人に対しては「この人はどんな人なのだろう」と人間性が理解できず、信頼しにくくなります。

「人間性の分かりやすさ」は、信頼を蓄積していく上で非常に重要なポイントです。

人は”弱み”で愛される

そしてもう一つ、自分らしく生きていける人は「弱みで愛される」ようになっていると思います。

私は、欠点のない完璧な人を否定はしません。しかし、その完璧な人がいるために、役立つことを見つけるのが難しい、というのも事実です。共に生きていくスペースが見つからず、「なかなか愛せない」とも感じてしまうことがあるのです。

私自身も「もっとパーフェクトな人間になりたい」「できることをたくさん増やしたい」「誰かに迷惑をかけずに生きていきたい」と長い間、思っていました。

しかし、誰かに迷惑をかけずに生きていくのは、そもそも実現が難しいことです。人は完璧ではなく、得意なこともあれば苦手なこともあります。完璧ではない自分をオープンにできるようになったとき初めて、本当の意味で自分のことを受け入れられるようになるのです。


自分の弱みが、誰かの役に立つ“余白”になる

まずは、「自分はこういう人間なんだ」と“ありのままの自分”を受け入れる。そこから本当の意味で、自分にとってかけがえのない人との繋がりができると思います。まさに、愛し愛される状態です。

ぜひあなたも、“ありのままの自分”をまずは自分自身がしっかりと見つけ、見つめてあげましょう。

そうすれば、“ありのままの自分”を受け入れてくれる人に出会えます。そこから信頼が生まれ、お互いに自分が得意なことで相手が苦手なことをサポートする関係性に発展することもあるでしょう。

自分の“弱み”が誰かの役に立つ“余白”になり、自分にとって一度の人生でかけがえのない縁ができていくと私は感じています。

「人は覚悟で信頼され、人は弱みで愛される」

この言葉を、皆さんも考えてみてください。

「自分で生きていくという覚悟」を決めれば、自分を理解してもらえ、信頼されます。「弱みも含めたありのままの自分」を受け入れたとき、愛される余白が生まれます。そうすれば、「自分らしく生きていける人」に近づくでしょう。


自分自身が自分らしく生きられ、ありのままの自分を受け入れてくれる人との出会いに恵まれることを、心から祈っています。


(構成/執筆:中村綾)


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