プレゼン上手な人の共通点は「場数」
私は元々、プレゼンが苦手でした。まずは、どれほど苦手だったかということと、上達するためのコツを振り返ってみます。
社会人1年目で経験した“地獄回”
これまでにプレゼンをする機会はいろいろありましたが、私がプレゼンという形で一番最初に大勢の前で話したのは、社会人1年目の終わり頃でした。今でもはっきりと覚えています。
横浜の経営者の方々が30名ほど集まっており、その前でお話する機会がありました。私は入社1年目でしたが、「川原くんに話してみてほしい」ということで場を作っていただいた40分でした。
念入りにプレゼンの準備と練習をしていきました。
ところが、いざ本番になって経営者の方々の前に出ると、すべてが吹き飛んでしまったのです。今でも思い出して変な汗が出ます。
何がそうさせたかというと、人前で話したことがある方はイメージがつくと思いますが、ほとんどの人は目を2つ持っています。30名ということはつまり、60もの目が自分を見ているわけです。
その視線を強く意識すると「自分はどう見られているのだろう」「上手く話せるかな」など、自分のことばかり考えてしまっていました。
用意していたスライドの1割も終わらず、40分中30分は自己紹介をするという見事なまでの“神回”の真逆、“地獄回”が出来上がったのです。
話せば話すほど自分が何を言っているのか分からなくなりました。
自己紹介を途中で切り上げる術も持っていないので、非常に焦りました。
口はカラカラに乾き、唇と歯茎がくっついて話しにくくなりました。喉は乾くけれども途中で水を飲む余裕もなかったので、ひたすら辛かった思い出があります。
それほどプレゼンが苦手でした。さらに、その経験からプレゼンをすること自体が怖くなり、しばらくできなくなりました。
上達するポイントは「場数」
私は前職で人材教育の会社に勤めていましたが、会社ではプレゼンを練習するセミナーなどがありました。6ヶ月間、月に1回プレゼンをするというプログラムに社員としてではなく受講生として参加し、プレゼンの仕方や話し方を学びました。その中で少しずつ上手になっていったのです。
プレゼンが上手な人の共通点は、場数を踏んでいることです。場数を踏めば踏むほど、必ず上手くなります。逆説的ですが、プレゼンが苦手だ、下手だと思っている人であればあるほど、プレゼンをすれば必ず上手くなります。
どれだけ小さくても、どのようなテーマでもいいと思います。プレゼンをする機会を少しでも増やせば必ず上手くなっていきます。
場数を踏めば「相手を意識する余裕」が生まれる
他には、自分のことを考えなくなるようになるとプレゼンは上手くなります。
これはどういうことかというと、「自分がどう見られているか」「上手くできるか」という気を使わなくなった瞬間からプレゼンは伝わるようになり、反応が良くなり、上手くなります。
プレゼンをすればするほど上手くなります。そうするうちに「自分が何を話すのか」ということよりも、「相手が何を聞きたいのか」を意識しながら話せるようになっていくのです。
オンラインでは少し難しくなりますが、オフラインの場合は話す時に目の前に相手がいます。顔を見ていると「ここはあまり理解されていないな」「この話は分かりにくかったのだな」という空気が分かるようになります。
なぜなら、相手のことを意識する余裕があるからです。
余裕が生まれることで補足説明をしたり、例え話を変えたり、さらには「今のところ分かりにくかったですよね」と自分から言葉にできるようになります。また、相手がどのような状況かを口にすることで、自分も落ち着くことができるようになります。
私はこれができるようになってから話すこと自体のストレスが減り、プレゼンが上手くなっていったと思います。
再三になりますが、ポイントはとにかく場数を踏むことです。
挑戦のハードルが低い“第三の場所”を持つ
では、どのように場数を踏んでいけばいいのかというと、オンラインサロンなど普段の仕事やプライベートと少し離れた“第三の場所”を持つことが非常に大事だと思っています。そちらであれば、普段よりも挑戦のハードルが下がるからです。
例えば、私の主催しているオンラインサロン『SENSE-自分らしさ探究室-』は、「自分らしさを見つけたい」「自分らしさを活かしたい」ということに興味がある人だけが集まっている場所です。そこで話すと非常に心地が良かったり、不安が少なかったり、聞いてくれる人も優しい方が多かったりという環境なのです。
「失敗もどんどんしていこう」というウェルカムな空気感があります。これがない場所でいきなりチャレンジしようと思うと、私でさえ怖いです。
「どのような人なのだろう」と見定められているような環境もあります。世の中には、むしろそちらの方が多いのではないでしょうか。そうした場所で話そうとすると、今でも緊張感などは出てきます。
その時に心がけているのが、「相手が何を求めているのか」をきちんと考えて話すことです。そうすることで伝わりやすくなり、相手と関係性を作れたり、プレゼンが上手になっていきます。
プレゼンにチャレンジしてみましょう
どのような内容でもいい。最初は短くてもいい。ぜひプレゼンに挑戦してみてください。
ただし、私の経験上、短いプレゼンの方が本当は難しいです。面白いことに、自分の言いたいことを短くきちんと伝えようと思うと非常に難易度が高いです。
以前、私は「長く話すのは本当に難しいな」「なぜ話せるのだろう」と、話せる人の話を聞きながら思っていました。いざ自分が話せるようになると、ある程度時間があった方がリカバリーがきくので良いと思っています。
例えば、最初は調子が出なかったとしても、途中から上手く話せるようになるという挽回のチャンスがあります。短く端的にと言われた時はそう話しますが、今でも難しい部分があるなと思っています。
何か伝えたいことがある人は、ぜひプレゼンにチャレンジしてみてください。必ず上手くなります。
(構成/執筆:中村綾)