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自動販売機の気持ち

ここにいると、気分の浮き沈みが激しい。

単純に生活環境や文化の違いが原因としてあると思うんですが、ここ最近思うのが、人間扱いされて見られていないような気がするというのが実感としてあります。

外を歩けば「ムズング!ムズング!」と子どもから呼ばれ、髪や肌を触りに来て、バイタクに乗れば周りからなにやら冗談を言われているのを言葉のなかにムズングとペサ(金)が入っていることから聞き分け、時には嘘をついてお金をせびりに来る友人がいたり...


いやーもう今日なんかすごく嫌になりました。なんにもやる気が出ません。これから保健センターの人にインタビューする予定だったけどうまくいくかな。


もちろん、いい人もいますよ。

「外国人はみんなお金持っているとここの人は思っているけど、それはよくない」っていってくれた友達は、一緒にお酒を飲んでそのときのお金を全部払ってくれてまた次に飲むときに払って!っていってくれたときは本当に嬉しかった。

ただそうでない人に接する機会が多すぎる。

先週の日曜日、ここで働いているアメリカ人とドイツ人の方と一緒に島にある山に登ってきました。共通の話題はやっぱりこういう話で、山中で休憩しているときにドイツ人の彼女が言っていたのが、


「ここにいると動物園の檻の中にいるような気分がする。ムズング、how are you?って聞いてきて、彼らはfineって返してくれるのを期待してる。私はボタンを押して期待したものを出す機械でもなければ、檻の中の動物でもない。」


ホントに、自分の経験してきたことと重なりすぎてまさにそうと言う感じでした。

彼らの中で僕はきっと珍しい生き物で、お金をくれる人間みたいなものなのかなぁ。


昨日も湖のほとりで焼きとうもろこしを食べているとちっちゃい子がずーーーーっともう5分10分くらいムズングムズングムズング声かけてきて、俺は白人じゃないし、ムズングなんて名前でもない!と思って無視していましたが、視界に入ってくるもんだから手を振ると、この子は何度も手のひらを表にして手を差し出してきました。

なぁ、俺は自動販売機じゃないんだよ。
ちゃんと喋ってるし、
嫌とか好きとかだって感じる。
肌の色が違うだけで、あなたと同じ人間なんだよ。

そんなことを言っても、英語を理解するにはこの子は小さすぎるし回りにいた女の子たちもなにやら僕に絡んできたので疲れて逃げました。

今日も、ホントに今さっき起こった出来事。

以前のホスト先の家の高校生の子の一人からメッセージが来て

「肋骨が折れて、手術にお金が必要だから7000シリング渡してほしい」

とのことで、たまたま近くにいた僕は心配と疑い半々くらいで彼の家に向かいました。


彼の母と姉が家の中にいたので、彼が肋骨骨折したっていうから心配で来たと伝えると、え?みたいな顔。来たメッセージを見せると、彼女はその事を知らず、彼は嘘をついていると言ってきました。彼もその場に来て話しましたが、どう見ても折れているときの元気さではない。なんとなく笑ってごまかす姉と彼。彼は歩いて部屋を出ていく。

あぁ、またか…

その後彼の部屋に行って色々聞きました。

いつ折れたのか、どこの病院にいったのか、

これからどこの病院で手術を受けるのか…

何を言われても、信用する気にはならなかったけれど。

僕がホストマザーが転んだとき手当てした場所はここでした。

この島で傷を放っておいたら大変なことになることを教えてもらいました。

同じ場所で、嘘をつかれることも知りました。


彼に最後伝えたのは、僕は学生だし、家も裕福じゃないから7000シリングは払えないと言うこと。自分の予算を考えれば本当に7000は支払えない額だし、外から来る人がみんなお金を持っているとおもってほしくない。例え相対的にはそれが事実だったとしても。


それなこんなで今日も一日。こうやって向き合わなくちゃいけないことがたくさんたくさん。


あー、疲れたなぁ…

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熊谷拓己
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