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ゴールデンウィーク

社会人になって2度目のゴールデンウィーク。僕は有給をつなげて、10連休にして、地元と、大学のある静岡に2日間だけ滞在した。

1年、2年ぶりに会う友達もいれば、数カ月ぶりに会う友達もいた。静岡には2ヶ月前に足を運んだばかりだったので、あまり懐かしいとは思わなかったけれど、一緒に同じ時間を過ごした友達と、先のことを考えずに並んで歩く風景は、懐かしさを添えるのには十分だった。

モラトリアムが終わって、戻らない時間を羨ましく想う会話を交わすことも増えた。仕事が大変だったり、辛いと思う時はたくさんあるけれど、僕自身は今、自分にとって意味のあることをしていると思っているし、1年後、2年後、どんなことをしているかなと楽しみにしている。

ゴールデンウィークが終わってしまうのは残念だけれど、また次に友達と会う日を楽しみにするのと同じように、自分の歩く未来に期待を持てていることは嬉しくて、自分の人生を前向きに捉えられるようになったなと少し思った。

同い年の友達が、パパになった。高校のときに、一緒にアメリカに行った友達。久しぶりに会って、昔と同じようにくだらない話をして盛り上がったけれど、合間合間に入る「ベビー用品」「子守」なんていう単語は、自分にとっては幼い響きよりも、自分がとっくの昔におとなになったことを強く突きつけるような、そんな意味合いを帯びていた気がする。

自分に子どもができたとき、僕はどうなっているのだろうか。次に友達と会う時、僕は何をしているのだろうか。あと5年したら、みんな、何をしているのだろうか。僕は、楽しく人生を歩むことができているだろうか。僕にとって、楽しいと思えることってなんなんだろうか。

ゴールデンウィークも終わりかける頃、そんなことをぼーっと考えていた。

静岡の友達と会った時、大学の隣の大きな公園の芝生に座って、みんなで話していた。僕らはみんな休学しているから、卒業してからまだ1年しか経っていないけれど、あの頃は楽しかったねなんて話を良くする。

これまで僕のnoteを読んできてくれている人はわかるかもしれないけれど、僕は思い出話をするのが大好きだし、昔の写真をよく見返したりする。人一倍、思い出に浸るタイプだと思う。だけど、最近少し変わったことがある。

それは、考えても、行動してもどうしようもないことは仕方ないと、いい意味で諦めることができるようになったこと。諦めた上で、じゃあ何をしたらいいかを考えることができるようになったこと。たぶん、仕事をしているとそういうことの繰り返しなので、僕の考え方とか文化が変わったのだと思う。

どれだけ感傷に浸っても、昔いた場所に同じ時間を過ごした友達と訪れても、時間が戻るわけじゃない。だから、きっとこれから先どうやったらあの時と同じように楽しい時間を、過ごすことができるかを考えるべきなのだと思う。

もしかしたら、大学で出会った友達たちと同じように素敵な人達とこれから出会えるかもしれない。出会うためにはどうしたらいいだろう。いくつになっても、またこの公園で懐かしいねと過ごす時間があれば1年に1回でもあれば良いのかもしれない。日本中散らばったり、子どもができたり、あの頃と同じように簡単に会うことはできないけれど、集まれる場所と時間さえ確保できたら、きっとまた楽しい時間を過ごせる。それをするためには、どうしたら良いだろう。

友達と、いつか静岡にシェアハウスを作りたいねと、本当にアイデアだけだけれど話していた。「思い出のある場所に懐かしい人達と定期的に集まれる場所が欲しい」という気持ちが先行していたと思う。

作るとしたらどれくらいお金がかかるだろう、一人あたりの賃料はいくらぐらいにしたらいいだろう、何年くらいで投資した分を回収できるだろう、シェアハウスである必要はあるのかな…

ふっと思い浮かんだ問いは、学生だった頃には思い浮かばなかったもので、それは卒業してからの一年が与えてくれたものだったのだと思う。

歳を取れば取るほど、できることは増えるものだと思っていたけれど、案外そうでもない場合もあるらしい。離れ離れになったり、子どもができたり、できることが増えた分、できなくなることも増えていく。

だからきっと、考えないといけない。制約のある中で自分たちがやりたいこを達成するためには何をしないといけないのか、どうしたら楽しくなるか。

どんどん歳を取って、変わっていくこともたくさんあるけれど、いつになっても自分の大切な人と、短い時間でも構わないから、一緒に楽しい時間を過ごすことができるように。変わり続ける世の中で、変わらないものを同じ時間の中で共有するために、自分の人生を楽しくするために。

もう日が暮れて、ゴールデンウィーク最後の一日が終わっていく。だけれど、あまり悲しい気持ちにはならなかった。

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熊谷拓己
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