司法書士事務所で補助者として働き出した話
以前の記事で司法書士試験の受験生時代に、司法書士事務所のバイトに受かった当時のことを書きました。
いよいよ補助者としてバイトスタートです。
まず朝は先生よりも早く事務所に来て鍵を開け、事務所の掃除をします。
掃除が終わる頃に司法書士の先生がやってきます。
この事務所での補助者の仕事は、主に登記申請書を作成し、そのほか登記申請や登記簿取得のために法務局に行ったり、また銀行で不動産購入時の契約書サインに立会いをしたりします。
また司法書士の主な業務である登記には、不動産登記と言って土地建物の売買に伴う所有権移転や抵当権の設定などを行う登記の他に、商業登記と言って会社の役員等に変更が生じた時に法務局に届け出るタイプの登記があります。
僕が勤めたこの事務所では仕事の8割方が不動産登記だったのですが、2割ほどは懇意にしている会社の商業登記も行っていたので、付き合いのある会社を回って商業登記に必要な印鑑証明書を集めてまわるような業務もありました。
移動は主にバスを使っていたので、京都市内のバスにはこのバイト時代に相当乗りました。
また、まだ右も左も分かっていない僕は、相当この司法書士に怒鳴られながら仕事をしました。。
そう、この司法書士が穏やかな雰囲気だったのは面接の時だけだったのです。。
朝、事務所にやってきた時の第一声は、
「おい、掃除は綺麗にできたんけ!?」
という決まり文句。
おはようも何もありません。
そこからこのじいさん(多分50過ぎだったと思いますが)と7時間密室の中で過ごす時間は、時が止まったように感じられます。
なので外出がある日は気持ちが楽で、一方で外出もなくて、このじいさんも事務所にいる日は最悪の気分でした。
ただこのじいさんは打ち合わせで外出をすることが多く、1日事務所にいることは稀なのでそれはラッキーでした。
それでも1日に数時間はあるじいさんとの密室の時間は苦痛です。
こっちが登録免許税の計算をミスっていることが分かった際などは机をバン!!と叩かれ、
「お前、なめとんか!?」
と怒鳴られます。
司法書士という仕事柄、単純な登録免許税の計算ミスが許されないのはその通りなのですが、生きた心地がしません。。
今になって思うのですが、やはり司法書士に限らず個人経営の組織で働く、ということはそれだけでかなりのリスクです。
上場企業であれば法制度的にコンプライアンスの遵守が求められるため、セクハラ•パワハラ等はもちろん、それ以外のあらゆるコンプライアンス違反を予防する仕組みや、発生した時の解決の仕組みが否が応でも一定構築されているため、ある程度の心理的安全性は確保された状態で働くことができますが、上場企業でもない、ましては会社でもない個人の事務所なんてコンプライアンスどころかルールすらあって無いようなものです。
今となってはこの事務所で鍛えられたことが会社員として働くことに大いに活かされているので、良い経験だったと思えていますが、もし若い人にアドバイスするなら、どんな職種であっても個人の事務所で働くことはするな!と強く言いたいです。
もし個人の事務所で働いて、そこの環境が良かったとしても、それは人に依存しているだけです。
上場企業のように制度として仕組みとして安全が確保されている訳ではないので、人が変われば当然、人が変わらなくてもその人の気分が変われば状況が一変してしまいます。そんな受け身な状況に自分の人生を任せてしまって良いでしょうか。
そして僕はこの司法書士事務所での勤務を数ヶ月続けたことによって、とうとうある事実に気付いてしまいます。。
次回に続く