人にはあまり理解されない「ゾワゾワするもの」の話をしよう(エッセイ)
こんにちは。とらつぐみです。
早くも花粉が飛び始めているみたいで、鼻と喉がずっとムズムズしています。
(先日血液検査をしたら酷いハンノキとハウスダストアレルギーがあると診断されました。どうりで年中ムズムズするわけだ)
ところでみなさんは、ある特定のものに対して、「なぜだかわからないけど身体がゾワゾワする」という感覚を覚えたことはありませんか?
わたしはあります。
アレルギーならば、原因(アレルゲン)を避けたり薬を飲めば症状が落ち着きますが、「なんだかゾワゾワする」ものの場合、「原因がはっきりわからない(なぜゾワゾワするのがわからない)」ので対処が難しい。
何より、よほど一般的なもの(例えば「足がいっぱい生えてる虫」)でもない限り、「ゾワゾワ」の感覚をあまり他人に分かってもらえない、という問題があります。
そこで今回のエッセイは、私自身が「ゾワゾワ」するもののうち2つについて、うまく言語化できない・他人にあまりわかってもらえないゾワゾワを言語化してみよう、というものです。
このエッセイが、「こんなことでゾワゾワする人がいるんだな」と気づいたり、もし同じようなゾワゾワを感じている人がいれば「自分だけじゃないんだ」と感じてもらえる助けとなれたらと思います。
不揃いな集合体恐怖症
さて、「ゾワゾワ」の感覚を説明する概念の一つとして「集合体恐怖症」というものがあります。
↑集合体恐怖症(トライポフォビア)は比較的新しい用語で、精神疾患の中でまだはっきりした位置づけはされてないらしい。
蜂の巣やハスの花など、小さなブツブツがたくさん集まっているのを見るとゾワゾワする、というのが典型的なものらしいです。
わたしも小さなブツブツの中でも特に、小さなものの一つ一つが不揃いになっている集合体が苦手です。
具体的なものとしては、顕微鏡で見た細胞分裂があります。
↑ゾワゾワするので薄目でしかリンク先は見れない
染色液で染められた核が、ほどけて紐状になってたりと色々な形になっていて、それがたくさん集まっています。
一つ一つの細胞はまだ見られるのですが、それがたくさん集まっていると身体がなぜかゾワゾワします。
不思議なのが、例えば植物の葉緑体のような、分裂していないただのブツブツを見てもあまりゾワゾワはしません。各細胞の分裂度合いが全部違う、というのが嫌なのです。
(ちなみに中学校の時、顕微鏡で細胞分裂を観察する授業の時に級友に話しましたがイマイチ理解されませんでした。)
細胞分裂は理科の実験以外で遭遇することはないのですが、実は最近、また不揃いな集合体に遭遇してしまいました。ピーマンの種です。
ピーマンは、自炊を始めてから手に入りやすく調理もしやすいのでよく使っています。ですがたまに、熟しすぎたピーマンにあたることがあります。
ピーマンは、料理したことがある人はわかるかと思いますが、ヘタの下に白い種がびっしり集まっています。
それだけならいいものを、熟しすぎて腐りかけているピーマンは、種の中の一部がプツプツと黒くなっているのです。それが絶妙に気持ち悪い。
(写真はあえて載せませんが植物にできるプツプツのカビが小さい種にびっしりついてるイメージ)
そのピーマンにあたって以来、ピーマンを買ったあと、中を開いて種が黒くなってないか確認してから、薄目で種をとっています(ビビりすぎ)。
「あ、知ってる」と気づいた時のゾワゾワ
目で見るもの以外にも当然ゾワゾワを引き起こすものはありますが、その中でもあまり他人に話したことがないものとして、「あ、この曲知ってる」と気づいたときのゾワゾワがあります。
流行りの曲(たぶん有線放送)を店のBGMとして流している店にいるときに、自分が知っている曲が流れるとくすぐったいような、ゾワッとした感じがする、というものです。
好きな曲なので身体が反応する、というよりは、テレビなどでよく耳にする(ので覚えた)曲が流れているのを聞いて、「あ、これ知ってる」と気づいた時、落ち着かない気持ちになります。
↑一時期どの店に行ってもミックスナッツが流れていて「勘弁してくれ〜」となった記憶。この歌自体は好きだしアニメも毎週見てた。
困ったのが、これと似た現象が、映画を観ている時にも起きたことです。
諸事情で週に1回以上映画を観ていた時期があり、当然劇場の予告は同じもので、その時聞いた映画の主題歌を覚えてしまい、実際にその映画を観たとき「あ聞いたことある(ゾワッ)」となってしまいました。
(その映画は全然悪くないしそんなペースで劇場に通う方がおかしい)
↓ゲゲ謎のために劇場に行きまくった話はこちら
なぜゾワゾワするのか理由はあまりわからないのですが、流行り物への謎の抵抗感がある(逆張りオタク)のでそれが「ゾワッ」という感覚として出ているのではと個人的には思っています。
最近割とアニメの主題歌もヒットチャートに並ぶので、流行りのアニメを履修するとあらゆる店でゾワゾワする哀れな人間になってしまいました。
ゾワゾワする≠嫌いなもの
ここまで、あまり他人に共感されたことがない(ので積極的に話したことがない)2つの「ゾワゾワ」について書いてきました。
言語化してみると、同じ「ゾワゾワ」と言っても、先述の2つはかなり違う感覚に思えます。「不揃いな集合体」は生理的・反射的な嫌悪に近いですが、「この曲知ってる」の方は、どちらかというと恥ずかしさや気まずさに近い気がします。
また、あるもの自体が嫌いだからゾワゾワする、というわけでもなさそうです。
前者は細胞やピーマン(の種)自体ではなく、ある一定の条件のもとで「気持ち悪い」と感じるトリガーが発動する感じ、後者は「流行りの曲」として繰り返し流れているのを聞いてしまっていることが原因なようです。
ゾワゾワの原因を取り除くのは難しいかもしれませんが、理由がわかれば「なんか嫌だから」とそのもの自体を避けたり、嫌いにならずに済みます。
その意味で、言語化することはゾワゾワの原因と向き合い、冷静になることを助けると言えるのかも、と思いました。
(そして、わたしのゾワゾワに少しでも共感してくれる人がいれば、さらに気が楽になるかもしれません……)
ーー
ゲゲ謎に気鋭のアーティストの書き下ろし主題歌がなくて本当に良かった……毎回劇場でゾワゾワしてたらとても16回も観れない(とらつぐみ・鵺)