【行政法】行政裁量の主張反論問題

司法試験の行政法では行政裁量がかかわる場面で両当事者の主張を対立させ、私見を述べる問題が頻出です。このタイプの問題は必然的に論述量が膨れ上がる傾向にあるため、あらかじめ書き方の戦略を固めておく必要があります。この記事では行政裁量の主張反論問題の書き方の例を説明します。

【1】判断代置と行政裁量

行政処分の取り消し訴訟を考えてみます(行訴法3Ⅱ)。本案勝訴要件は、当該処分が法令に反すること(比例原則や平等原則といった一般原則に反することも含みます)です。いわゆる判断代置とは裁判所が行政処分が法令に反するか否かを判断することをいい、裁量逸脱濫用の判断とは裁判所が一応行政の判断を尊重しつつその判断が不合理でないかを判断することをいいます(とても簡単な説明です)。民事系科目、刑事系科目については、一部の例外を除いて、法令違反を論じる際はおおむねこの判断代置の枠組みに従っているはずです(例えば、会社の行為が会社法に反するか否かについては裁判所が事実をもとに判断しますし、捜査が刑事訴訟法に反するか否かについても裁判所が事実をもとに判断します)。例外は、会社法における、経営判断原則です。これは、裁判所が取締役等の判断を尊重しつつその判断が不合理でないかを判断します。難しいことを書きましたが、結局、判断代置は、他の科目と同じように考えればよいということです。なお、判断代置は私人に有利、裁量逸脱濫用判断は行政に有利であるという感覚はもっておきましょう。

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