要件事実知識の示し方とその注意点

司法試験の民法といえば「要件事実」ですがいわゆる要件事実知識の使い方を正しく押さえている人は多くはありません。今日は要件事実知識の使い方についてお話ししたいと思います。

1 要件事実とは何か

 正確な定義ではありませんが、実体法上の要件について①事実部分のみを②両当事者の主張立証責任として分配するための概念であるというように理解しておけばよいでしょう。ここでのポイントは①です。要件事実はあくまでも「事実」です。そのため「事実」以前の議論(そもそもそのような請求や抗弁が成り立ちうるのか、どのような実体法上の要件が必要なのか)については要件事実には現れません。また、要件検討後の議論(結論の修正)も要件事実には現れません。要件事実は万能ではないということをよく意識しておきましょう。

2 要件事実知識を示すための構文

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