【憲法】比較衡量論の使い方
自由権規制パターンにおける判断枠組みには大きく【A】違憲審査基準論と【B】比較衡量論とがあります。判例には【B】を用いたとされているものも少なくないですが司法試験との関係では【A】が妥当する限りにおいては【A】を用いるのが得策であると考えます。そこで【B】を使いうる場面とその使い方について概説したいと思います。
【1】違憲審査基準論と比較衡量論との関係
比較衡量論は人権規制により得られる利益と規制される人権とを比較衡量して人権規制の合憲性を判断する考え方です。具体的な事実を豊富に指摘できるという点では優れていますが一般的に公益>人権という判断がなされやすく特に重要な人権に対する規制につき(不適切に)合憲の結論が導かれやすい可能性があります。そこで、裁判官の判断を一定程度拘束するという目的で、権利の性質と規制態様に応じて類型的に判断枠組みを設定するという違憲審査基準論が提唱されます。違憲審査基準論においては、重要な権利に対する強度の規制については厳格な基準(違憲推定)が妥当するため人権規制が原則として違憲となるという扱いになります。こうすることで、特に重要な権利に対する強度の規制について(不適切に)合憲の結論が導かれることを抑止することに違憲審査基準論の意義があります。
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