Leica M4という選択。
実は昨年の夏に一回だけ。
本当に一回だけ。
フィルムカメラで作品撮りのチャレンジをしていました。
mamiya645
中判カメラのmamiya645という大きなカメラで、一回だけ。その完成度も、写真もものすごく好きなんだけれど、不器用すぎて、なかなかフィルムを交換できなかったり、その大きさに流石にめげていて、ちょっとフィルム、いいかなって思っていたんです。
でも心のどこかで、やっぱりフィルムへの思いがあって。
フィルム、やっぱりやりたいなって思い続けていて。でもやるからにはしっかりやりたいけど、全然わからないし。
そう思っていたんです。
そんな時、カメラマン仲間の安東けーすけがずっとフィルムで撮っていて、おれもやりたいと思っているんだけど、マミヤ以来、なんだか手が出せないんだよね、と話していて。
そしたら、
”矢野さんは35mmが合いそう。それにLeicaがいいと思う。”
と。
いやいやいや、Leicaなんて高いものは…
と思っていたんだけれど、雑誌Penでは測ったかのように、Leica特集。
それを読むと、尊敬する写真家瀧本幹也さんも使っていて。
同時に思い出される記憶は、写真集、TOWN。そう、カメラマンを志した理由の1人、市橋織江さんもLeicaで作品集を作っていて。
ああ、これは…。
将来のキャリアとかなりたい姿、っていうものは語るのも実は難しいけれど、将来も写真を撮りたいと思っていて。それに対して、好きな写真の系統の一つであるLeicaを選ぶという選択肢が見えてきて。
でも高そう…。
そう、値段がネック。
なにしろ、インタビュー撮影させていただいた落合さんの話で出てきた、Leica M-10の値段やレンズは目がぶっ飛ぶほどだ。
そんなとき、ふと大西さんと話す機会があった。
お父様がコレクターだったらしく、Leicaについてものすごく詳しい。
聞けば。
Leicaのフィルムでは、M4とM6があって、値段は実はデジタルと比べるとそんなに高くないっていう。
調べるとたしかにそうだ。
(Mamiyaのときの数倍したけれど。笑)
めちゃくちゃ迷った。このタイミングでフィルムに投資して、仕事につながるだろうか。表現の幅は広がるだろうか。
でも、先述したPenの中でも瀧本さんはハッセルや大判を使いこなし、市橋さんはMamiya67を使いこなす中で、仕事により、Leicaという選択をする。
うん、フィルムから逃げてはいけない。
本気で向き合おう。
そう思った。
値段とのにらみ合いで、かつ中古だから怖い。
大西さんに相談しまくって、選んだのが、Leica M4。どのサイトでも売り切れていたけれど、たまたまこのM4が4月に入荷され、A(美品)という評価であがっていた。これめっちゃいい!と大西さんは言う。
もうこれしかないと思った。
そしてゴールデンウィークが終わるこのタイミングで、京都の我が家にやってきた。
その荘厳な美しいフォルム。
レンズは落合さんのような高いものは買えないけれど、かつてミラーレスで愛用していたVoigtlanderがまだ優しい価格だったので選べた。
(ちなみにLeica本体は15回払い…)
そんなはじめての35mmフィルムカメラのLeica。
安東や大西さんに聞いて業務用のFUJIFILMのフィルムをまとめ買いする。案の定、一回目のフィルム装填は失敗する。Mamiyaの時を思い出す。
でも、二回目、YouTubeで探しまくって、M4の先輩を見つける。泣きそうになりながら何回も再生して、はじめてフィルム装填が成功する。
一回できたら、次もできる。自信ができた。
今日一日、二本のフィルムを撮りきって、京都のナニワで当日現像してもらう。
露出計は買ってないけれど、アプリでやって。
光はあっていたのか、暗すぎないか、飛びすぎてないか。不安に思いながら二時間半待った。
そして、現像が帰ってきた。
はじめての被写体には、妻を撮らせてもらって。
妻の作業場。毎日毎朝ここで朝陶芸をやっていて。本当にすごい人です。明日はそんな妻をLeicaで撮りたい。
結婚半年でプレゼントした花束をドライフラワーにしていて。仕事机の上に飾っています。
こいのぼりフェスタがこの関西であることを昨日知って。タイミングも合い見に行ってきました。
ここまでが業務用のISO100。
賀茂競馬(かもくらべうま)を見に。
フィルムは途中で買ったFUJIFILMのISO400。
京都の街並みのスナップ。
ピントがゆるいときも好きだなと思う。
今日はこんな感じ。
可能性たくさん感じた一日。もっと頑張ろうと思う。Ektarに400Hにと試していきます。
写真に対して向き合う。
結果もすぐにわからないし、シャッタースピードもISOでごまかせない。35mmという単焦点だけでなく、レンジファインダーでの画角作り、すべてにデジタルの基盤も整える、写真としての向き合い方を教えてくれるカメラだと思う。
これから、何も言い訳はできない。
でも一方で、このLeicaはより身近にそのフィルムという存在を僕の元へもってきて。もっと写真が撮りたいって久しぶりに思う感情で。
だからこそ。
写真に向き合っていく。