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東洋医学【人体における陰と陽って何?】

今回は、人体における陰陽とは何かについて説明していこうと思います。

以前、東洋医学における陰陽とは何かについて説明しているので、こちらも読んでみてください。


人体における陰陽の生理

人体における陰陽は、固有物質を表しているのではなく
温めたり、冷やしたり、動かしたり、静かにしたり、作用の方向性大きさを表しています。
これらの陰陽の平衡によって人体の生理活動が維持されています。

陰の生理

人体における陰とは、血・津液・精による滋潤作用寧静作用の働きを持っている。
寧静作用とは、陽を抑制(冷却、安静)する働きのことを言います。

陽の生理

人体における陽とは、による温煦作用推動作用の働きを持つ。
また、相対する陰を抑制するよう温めたり、陰液(血・津液・精)を推動させる役割を担っている。


陰陽の病理

陰陽の病理とは、陰陽に失調が生じると、温めたり冷やしたり動かしたり静かにしたりする作用の平衡が崩れ、冷えやほてりなどの寒証・熱証の症状が起こります。

陰陽に失調が起こる原因とは?

①人は自然界の一部のため、人体の陰陽は気候変化の影響を受け変化します。
「例」
自然界の温熱(陽)が強まれば
    ↓
体内の陽は助長される
    ↓
陰は弱まる
ーーーーーーーーーーーーーーー
自然界の寒冷(陰)が強まれば
    ↓
体内の陰は助長される
    ↓
陽は弱まる

②飲食物にも温めたり冷やしたりする作用があり
過食をすると、その飲食物の性質に応じた影響を及ぼし
人体の陰陽の均衡が変化します。

③臓腑の機能失調により陰陽に影響を及ぼすこともあります。

これらのことが起こることで、陰陽に失調が生じ
寒証・熱証の症状が起こります。

陰の病理

◾️陰虚(虚熱)

陰虚とは、陰液(血・津液・精)が減少し陰の機能が低下することです。熱症状が顕著になった状態を陰虚火旺と言います。

熱が体内で過剰になったわけではなく、陰液が不足したために生じた熱のため虚熱とも言います。

陰液不足により起こるため
→血虚、津液不足、精虚の症状を伴うことがあります。

また、陰の機能低下で相対的に陽の機能が旺盛になることから、ほてりのぼせなどの熱症状が現れます。

◽️陰虚の症状

特徴・・発症が部分的である

ほてり、のぼせ
・虚熱により熱が上部や体表に現れた状態

五心煩熱、手足心熱
・手掌+足底に熱感があるもの→手足心熱
・手足心熱+胸部の熱感や不快感が加わったもの→五心煩熱

盗汗(寝汗)
・睡眠中に汗を多くかき、目覚めると汗が止まるものを言います。

睡眠時、陰液が臓腑におさまり滋養する
    ↓
全身の陽を抑制する機能が減弱
    ↓
虚熱が旺盛になり、体内の津液は気化され汗として漏れ出る。

頬部紅潮
・虚熱は実熱に比べて熱量が少ないため
 熱症状は顔全体ではなく、頬のみに現れることが多いい。

消痩(痩せた状態)
・津液不足のため肌肉を養うことができず痩せる。
・熱により津液が損傷→滋潤低下して消痩となる。

舌質紅、舌苔少、脈細数
・体内の熱は身体初見として紅い色となって出現する。

陰液不足→血脈内が充足できず脈細となる。

熱が体内に存在すると推動する力が強まる

血の順行も速くなり脈数(頻脈)となる。

脈細は虚証を表し
脈数は熱証を表す
   ↓
脈細数は陰虚の典型的な脈状といえます。


◾️陰盛(実寒)

寒い環境での居住や仕事、急激な気候変化により身体を冷やし
体外から冷え(寒邪)を感受したり、冷やす性質の飲食物の過食により体を冷やす力(陰)が旺盛になることです。
冷えは陰に属するため陰盛と言います。
また、冷えが生理的範囲を超えているため実寒(実証)ともいう。

◽️陰盛の症状

特徴・・明確な寒症状である。
   ・寒邪は凝滞性の特徴を持ち、気血津液の循行を防ぐ
         ↓
    流れが悪くなると痛みを生じることが多いいです。

   ・冷やすと症状が増悪し、寒い時期になると発症することがある。

寒がり、四肢の冷え
・寒邪旺盛→温める力(陽気)が損傷し、
 身体を温めることができなくなります。

顔面蒼白
・寒邪により陽気が損傷され、
 陽気不足のため気血を顔面まで運べなくない。

疼痛
・寒邪により気血が滞り疼痛が生じる。

下痢、小便清長
・水分代謝が影響を受けるため
 小便の色が水のように澄んで量が多くなる(小便清長)

脈緊、脈遅
・寒邪には凝滞性のほか、収引性があるため
 血脈が収引して堅く緊張した脈になる。
・血脈中の気血が凝滞すると脈拍が遅くなる。

陽の病理

◾️陽虚(虚寒)

陽は気の温煦作用の現れである。

気が減少すると陽の機能も低下(陽虚)します。
   ↓
相対的に陰の機能が陽より旺盛になる
   ↓
寒がり、四肢の冷えなどの寒症状が現れます。

体外から侵襲したものではなく、
気が不足したために生じたものであるため虚寒とも言います。

◽️陽虚の症状

特徴・・陰盛(実寒)と陽虚は、ともに冷えが体内に存在するため症状は
    同一のものが多いい。
   ・陽虚は気虚が発展し、温煦作用が低下した状態のため
    気虚症状が存在する
       ↓
陽虚の症状=寒証の症状+気虚症状

寒証症状
・寒がり、四肢の冷え、顔面蒼白、腹痛、下痢、小便清長、脈遅

気虚症状
・自汗、精神疲労、倦怠感、食欲不振、息切れ


◾️陽盛(実熱)

暑い環境での居住や仕事など体外から熱(熱邪)を感受したり
温める性質の飲食物の過食などによって、身体を温める力(陽)が旺盛になる。→陽盛

熱が生理的範囲を超えているため実熱(実証)ともいう。

◽️陽盛の症状

特徴・・紅いという色の特徴があり、顔全体が紅い。
   ・全身性の熱感があるなど、部位が広範となりやすい。
   ・温めると増悪したり、暑い時期になると発症したりする。

・熱邪には生理物質の循行を過剰に亢進させたり、上昇させる(炎上性)などの作用がある。

身熱、顔面紅潮
・全身性の発熱(身熱)が現れる。
・熱が上昇するため顔面は紅潮する。

口渇、冷飲を好む
・熱で津液が損傷するため口、咽頭が渇く。

煩躁、多言
・身体に煩わしい不快な熱感があること。
・不安感や気分が悶々して落ち着かず苦しむ状態。
※熱が炎上し心神に影響を及ぼす

小便短赤
・津液損傷し小便の量が減少し色が黄色になる。
・はなはだしい時は紅色(血尿)を帯びる。

便秘
・大便が硬く乾燥した状態になる。

舌質紅、舌苔黄、脈数
・熱により血の循行が加速し脈数となる。

陰虚両虚

陰陽同時に虚損した状態で
陰虚、陽虚の症状が同時に出現する。
ただし程度の差により、どちらかに偏る

まとめ

陰陽の考え方は、東洋医学的な治療において
非常に重要な理論体系です。
まずは自身の状態が、どこに当てはまるのかチェックしてみると面白いかもしれません!!


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