令和4年度局長通知が公表されました!

 ■令和4年度に適用する一般賃金水準

 8月6日、厚生労働省は、「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和4年度適用)」(いわゆる局長通達)を公開しました。内容については前年の局長通達と大きくは異なりませんが、令和3年度に認められた「例外的取扱い」がなくなったほか、賃金構造基本統計調査における職種の見直しが行われました。賃金構造基本統計による一般賃金を使っている派遣会社は、注意が必要です。さらに一般賃金水準に用いる各指数も更新されています。

 以下、令和4年度の局長通知の概要を記しますが、労使協定方式を採用している事業所が多いと思いますが、該当する方は、ぜひ早めに局長通知の全体に目を通すようにしてください。

 令和4年度局長通知全体版: https://www.mhlw.go.jp/content/000817350.pdf

 一般賃金水準については、適用される年度の前年度により通達により示すものですが、その算出に当たって活用する統計調査等は、直近の統計調査等を活用しています。具体的には、適用される年度の前々年または前々年度のものを活用することを原則としています。

 新型コロナウイルス感染症が拡大する中、以下の2点から、労使協議においては、原則どおり、直近の令和2年(度)の統計調査等を用いることとされました。

 ①新型コロナウイルス感染症の影響を反映している令和2年(度)の統計調査等の結果(一般賃金額)を用いていること。

 ②派遣労働者の雇用状況をみると、直近の雇用者数(令和3年4月、5月)について、前年同月及び前々年同月ともに増加となっており、また、新規求人数も前年同月比が増加傾向にあること。

 そのため、令和4年度の一般賃金では、令和3年度に設けられた「例外的取扱い」は、設けられませんでした。

 ■賃金構造基本統計調査における職種の見直しによる一般賃金水準の集計方法の変更

 令和3年度通達の算出方法は、過去3年分の統計値を用いて算出した賃金水準を一般賃金水準としていましたが、令和4年度は、賃金構造基本統計調査において、職種区分の変更が行われたことで、全職種の過去3年分の統計値を用いた算出が困難となったため、令和2年調査の統計値を用いて算出した賃金水準(過去3年分の統計数値を用いて算出しない)を一般賃金水準としています。

 ■地域指数の算出方法の変更

 令和3年度通達の算出方法は、令和元年度の求人賃金による平均賃金額から算出した地域指数を使用していましたが、令和4年度通達の算出方法は、過去3年分(平成30年度~令和2年度)における各年度の賃金額の平均から算出する方法に変更しました。

 ■一般賃金水準に用いる各指数等の更新

 指数には、賞与指数、能力・経験調整指数、学歴計初任給との調整、一般通勤手当、退職手当に関する調査、退職金割合がありますが、そのうち、能力・経験調整指数、学歴初任給、一般通勤手当が変更になりました。

 これらのうち、初任給相当は引き上げ(12.6%⇒12.7%)となり、一般通勤手当は引き下げ(74円⇒71円)となりました。賞与指数、退職手当(「中小企業の賃金・退職金事情」(東京都)のみ更新)、退職金割合(6%)については従前の金額水準と変更はありません。

 ■産業・職業計の前年(度)からの増減と今後の派遣会社の対応

 職種ごとの一般賃金水準の増減は、ここに見ていかなければなりませんが、産業・職業計の前年(度)からの増減は、賃金構造基本統計調査を活用した一般賃金水準で13円、職業安定業務統計を活用した一般賃金水準では、12円増加しています。

 東京都の一般事務(職業安定業務統計)の基準値(0年)で比較すると以下の通りになります。

 <一般事務員(職業安定業務統計)>

 令和3年度(0年)1,041×地域指数(114.5)=1,192円
 令和4年度(0年)1,197×地域指数(114.3)=1,197円

 その差は、5円ですが、増額しています。来年4月以降、基準値(0年)を適用している派遣社員は、賃金を引き上げなければなりません。当然、派遣料金の引上げ交渉もしなければなりません。統計数字では、令和4(2022)度の経済情勢の見通しでは、2021年度及び2022年度の実質GDP成長率は、2021年度においてはコロナ前の水準、2022年度においては過去最高となることが見込まれています。その他の統計調査でも、経済情勢の見通しは改善の傾向を示しています。

 しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、皆さんが交渉する派遣先では、統計数字通りに改善していないとして料金交渉に応じないことが予想されます。昨年度は、「例外的措置」を使って、令和2年度局長通達で示された一般賃金水準を適用させ、賃金アップをしなくて済んだため、料金交渉を行わなかった派遣会社が多かったと思いますが、今年は、そうはいきません。

 今のうちから、どのように交渉するのか、対策を講じておかなければならないのです。派遣料金交渉に応じてもらうためには、営業の役割が重要です。令和4年4月1日から新しい賃金が適用されます。あと半年の期間があるので、その間に、派遣会社の営業がどのように行動していくかが、料金交渉を成功に導くカギとなります。

 ■営業社員のスキルアップを図る派遣会社が増えています

 派遣料金の交渉に加え、派遣先とのトラブルをなくすためには、派遣先と派遣会社の営業の間で信頼関係が築けているかがポイントです。「この営業のいうことなら聞いておこう」、「この営業が紹介してくる派遣社員は優秀だ」、「派遣法を始めとする法的な知識が豊富で、トラブルを起こさないようアドバイスをしてくれる」など派遣先の期待に応えられる営業社員を育てなければなりません。

 特にコロナ禍では、社員のスキルアップを考える派遣会社が増えています。この機会に、皆さんも、営業社員のスキルアップを考えてみませんか。匠ソリューションズでは、皆様の社員研修のご支援をさせていただいております。この機会にご相談ください。

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 マイナビが発表した、「中途採用状況調査(2021年版)」では、6割以上の企業は正社員不足を感じており、約8割の企業は経験者採用に積極的ということがわかりました。コロナ禍でも、今後の人手不足を考慮して企業の採用意欲は決して衰えているわけではないことがわかります。

 これに派遣会社が応えるためには、正社員の採用手段を提案する必要があります。派遣社員を正社員に転換した企業は、キャリアアップ助成金を利用して、最大85万5千円が助成されます。そのキャリアアップ助成金が令和3年度から変更され、使いやすくなっています。

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