紙と、デザイン事務所の風景
百田尚樹チャンネルを見てました。竹田恒泰さんがゲストです。
例の教科書の話から始まり、紙の話になりました。薄い紙ほど高い、裏移りしない紙は更に高い。書籍出版に関しての話を聞いてました。いろいろ興味深い。
ところで紙といえば、見本帳です。昔のデザイン事務所には、所狭しとそこら中に紙の見本帳が転がっていました。
そ〜です……紙の見本帳といえば、竹尾です。
いま思うと、これほど素晴らしい会社はきっとありません。
京都出身の卸問屋らしい佇まいをもった、全体の雰囲気が(すぐ東京に出て来てしまったのに)全社の隅々に残っていて、香ってました。います、ですよね、いまでも。
神田と青山の見本帖本店には、よく行かせてもらいました。
上品な空間が静かな佇まいのまま、白い香りと共に漂っている……そんな店構えです。特にファンシー系の紙と羊皮紙を買った記憶があります。素敵な紙がいっぱい。
そうそう前回、写研のコンテストでB全ボードにケント紙を水貼りして、という話をしました。
ボードにケント紙を「水貼り」なんてもう誰もやらないだろうなぁ。
でもこの時感じる「日本の心」……そんな竹尾の店の空間/心構えです。
それとも家庭で割烹着を着た奥さんが貼る、襖貼り・障子貼り。
ところで昔は、用紙の収納ケース・金属製の大型ケースを、みんなデザイン事務所に用意してました。ケント紙もトレペもその他諸々の紙もB全から保管してたはずです。
薄目の棚が10段近く収まったあのケース。今はもうないのかなぁ……。
ネットで散々探したけど、どうも見当たらない。本当にいまはどうしてるんだろう。
それから当然あるべき、インクの色見本、DICと東洋インク。
これも転がったままなのが、デザイン事務所の風景でしたよね。
発注する側のデザイナーは思ってました。「DICの何番でお願い」とか簡単に言うけど、本当にその色で刷ってくれるの?って(笑)。
だからこその色校正なんですが……。
揉めたこと、あまり記憶になかったなぁ。適当な仕事してたのかも、です(笑)。
いまのデジタル出稿での印刷では、色校正を取るってあまり無いのでは、と感じてます。大きい仕事では当然、当たり前なのでしょうが、「手軽な印刷」「短時間で納品まで」という風潮。
そんな中で、色校正を出してもらうデザイナーは少なくなってると思います。
現代社会さん、「緻密で完成度の高い仕事をしましょう」の勝敗はどうなるんでしょうか……。