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プロトタイプのチカラ コーヒードリッパー開発秘話 #7


用途実例に対する姿勢の違い

前回、モニターからのフィードバックから改善を繰り返し、最終製品へのブラッシュアップを行ったところをお伝えしました。

よく食品メーカーでは、「こんな使い方がありますよ」「こんなこともできますよ」といろいろな用途実例を案内することがあります。
たとえば、「このチーズはアボカドと一緒にパンで焼くとおいしいですよ」みたいなかんじです(この例え合ってますか?笑)。

でも、工業メーカーであるわがポンプ屋の用途は「硫酸」や「塩酸」や「排液」などの移送。
当然普通に生活していたら手に入らない液体です。
さらに、耐久性を要求される製品でもあるので、事前に液体の条件を伺いつつも、何年も使ってもらったお客様にヒアリングして「〇〇年耐久」などの細かい実績がようやくわかるようになります

このように長期スパンで用途実例を集めていく作業しか行っていなかったBtoB企業には、BtoCの一般消費者向けのメーカーに比べると、用途実例に対する取り組み姿勢が弱かったように思います。

つまり、「水筒で使えます!」の一辺倒で訴求力が弱かった、ということです。

テストモニターのもうひとつの成果

でもここで、テストモニターを実施したことのもうひとつの成果が出てきました。

「これ、メスティン(アルミ製の箱型の飯ごう)にピッタリ!」

メスティンに入れた様子

「ワン〇ップにシンデレラフィットして、アイスコーヒーが作れます!」

ワンカッ〇に入れた様子

そうなんです。
モニターの方々が試行錯誤して水筒以外にも使えるものを教えてくれたんです。

本来はメーカーがやるべきところではありますが、こういったいろいろなことにチャレンジしてくれるモニターの方々は、メーカーにとってありがたい存在です。

とくにこのワン〇ップにピッタリだったという実例は、「前日の夜につけておけば次の日にはおいしいアイスコーヒーに仕上がる」という新たな使い方ができる良い成功事例となりました。

プロトタイプのチカラ

以前「プロダクト開発で問われる〇〇力」でも書いたように、やはりプロトタイプをつくっていろいろな方にテストしていただくという工程はとても重要、ということを実感できました。
ようするに、今回プロトタイプをつくって良かった点はこの2つ。

①客観的に評価してくれるので自社で気づかなかった不具合に気付ける
②想定していた使い方以外の使い方が出てくるときがある

BtoCはもちろん、BtoBプロダクトをつくる上でも本来は同じことです。
BtoBでもぜひ取り入れるべきとても重要なプロセスだと気づかされました。

次回はプロモーション部分のお話を配信予定です。
おたのしみに。

▼クラウドファンディングでつくったコーヒードリッパー▼

▼連載リンク▼

▽本編▽
#1  閉塞感から始まったコーヒードリッパー開発
#2 ひとつめの落とし穴
#3 科学的な味の追及方法
#4 クラウドファンディング出品ではどのサービスがいいのか?
#5 プロダクト開発で問われる〇〇力
#6 カンタンにユーザーの声を集計する方法
#7 プロトタイプのチカラ(本記事)
#8 デザインに"賭ける"のはコストの無駄遣い
#9 素人とプロの違い
#10 食品プロダクトの壁
#11 プロモーションがもっとも効果をあげるタイミング
#12 達成率95%と29%のボーダーライン
#13 設定ミスで失ったメリット
#14 プロダクト販売に使うECサービスはどれがいい?

▽きっかけ編▽
#2 -1 きっかけとなった派生品開発プロジェクト①
#2-2 きっかけとなった派生品開発プロジェクト②
#2-3 きっかけとなった音声メディアの言葉
#2-4 体系化されているアイデアのつくりかた

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