5127回の挑戦
ある数字が、わたしたちにとっての「挑戦」と「粘り強さ」のシンボルとなっています。
それは「5127」という数字です。
これはただの数字ではありません。
イノベーションを体現する一つの物語を紐解く鍵なのです。
では、この数字の意味するものとは何でしょうか?
たった5年で5127回
最近ではロボット掃除機やスティック型が多くなってきた掃除機。
そのなかでも高級路線で目立っているのがダイソンです。
名前を聞いただけで、その斬新なデザインと圧倒的な吸引力を持つ掃除機を思い浮かべることができます。
冒頭の「5127」という数字は、このダイソン社が掃除機を市場に打ち出す前につくったプロトタイプの数なのです。
これはつまり、創業者ジェームズ・ダイソンが直面した挑戦の回数ということ。
しかも、これをたった5年間の間につくったというのだから、彼の情熱とプロトタイプへのこだわりが垣間見えます。
リーンスタートアップ型モデルの成功例
いまでは世界的に有名なダイソンですが、当然ながら、創業当時はだれも知らないスタートアップ企業でした。
スタートアップの世界では、リーンスタートアップ型モデルと呼ばれる手法があります。
これは、エリック・リース氏が提唱した、仮説をすぐに市場で検証し、高速で改善していく・・・という方法のことです。
プロトタイプの制作は、アイデアを現実のものに変える第一歩。
形になったアイデアが、潜在的な問題点を発見し、改善する機会をくれる、というわけです。
まさにダイソンは、このリーンスタートアップ型モデルの成功例と言えます。
プロダクトの背後にあるもの
電気掃除機は、1901年にイギリスのヒューバート・セシル・ブースという人がつくったものからはじまっているので、じつに120年以上の歴史があります。
それに対してダイソンが実際に試作機を製品化したのは1983年と、たった1/3。
後発の企業でも、こうした成功を収めることができたのは、5127回のプロセスのおかげだといえるかもしれません。
ジェームズ・ダイソンの「5127」という数字は、単なる試行錯誤を超えた、一つ一つのプロトタイプに対する深い洞察と改善への不断の努力を象徴しています。
この物語は、成功した製品の背後には、数え切れないほどの試みと失敗、そして学びがあるということを教えてくれています。
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