iPhoneは本当にプロダクトアウト?#後編 ~究極のマーケットイン~
よくある「iPhoneはプロダクトアウト、スマホはマーケットイン」「プロダクトアウトの例は、ウォークマン(SONY)やiPhone」という対立構造。
iPhoneは本当にプロダクトアウトなのでしょうか?
前回に続いて今回は、マーケットインのさらに細かい構造から、強いビジネスのつくり方について考えていきます。
高難易度のレベル10マーケットイン
ニーズには顕在ニーズと潜在ニーズがあって、潜在ニーズは隠れていること、そのニーズは顕在ニーズより大きいことをお話ししました。
「じゃあ潜在ニーズを見つければいいじゃん」と思うかもしれませんが、これがなにより難しいところ。
顕在ニーズからプロダクト開発を進めるのはレベル1ですが、この潜在ニーズからプロダクト開発をするのは、一気にレベルが10以上必要になります(笑)。
なぜかと言うと、この潜在ニーズを見つけることがめちゃくちゃ難しいからです。
たとえば、どうすれば、音楽はレコードかラジオしかなかった時代に、どうやって「外出中も好きな音楽を聴きたい」というニーズがわかるでしょうか?
あるいは、スマホがなかった時代にどうやれば「タッチパネルで動くパソコンのような携帯電話があると便利」ということがわかるでしょうか?
ひとつの方法として、初歩のマーケットインのように、アンケートを取る方法があります。
でもこの場合は、質問の内容にすべてがかかっています。
ユーザーが想像もしていないものをつくるため、自由記述形式の質問で、うまくその人毎の価値観を引き出す必要があります。
さらに、出てきた定性的な回答から潜在ニーズを引き出すのも大変。
とても難しいのです。
このほかにも、消費者の行動をつぶさに観察してニーズを探る方法や、ビッグデータから潜在ニーズを探る等々・・・さまざまな方法があるのですが、いずれも、学んですぐに使えるものではありません。
何度も何度も使って、精度を上げていく必要があります。
これが、わたしが「レベル10以上」と書いた理由です。
難しいからこそ強い
でも、難しいことには意味があります。
まだ見ぬ新しい市場なので、いわゆるブルーオーシャン。
競合はいません。
しかも、すでにみんなが気づいている顕在化したニーズより、潜在ニーズは大きい。
実際、こうやって潜在ニーズをしっかりと捉えたiPhoneやウォークマンは、どうなったでしょうか?
ウォークマンはiPhoneにとって代わられてしまいましたが、1981年は250万台も売り上げを伸ばしました。
iPhoneは言わずもがな。
世界シェアではトップではありませんが、日本では65%以上のシェアをとっているほど人気で、そのブランド価値から高額での販売が可能になっています。
まさに、このレベル10のマーケットインの先にはビジネス上の大きなうまみ(利益)がある、という良い例です。
「強いビジネスを作りたい」という方や「新事業を立ち上げる」という人は、プロダクトアウトとマーケットインという対比構造ではなく、顕在ニーズと潜在ニーズという構造で考えて、潜在ニーズを追求する究極のマーケットインアプローチを考えてみてください。
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