スタートアップ創業1年目 3度のピボットから学んだ 3つのコト
こんにちわ、DXER代表の向井です。2020年も今日で終わりという事で、偶然にも新型コロナウイルス感染拡大によって世界が大きく変化している真っ只中に起業1年目を経験した自分の振り返りをnoteに書いてみようと思います。
特にこれから大企業でのキャリアを捨てて起業を考えている人やスタートアップに飛び込もうとしているような人にとって、生々しいスタートアップという世界を少しでもご理解してもらえるような内容を書こうと思っています。
結論を先に言うと、「スタートアップは最高に苦しくて最高に楽しい場所」というのが僕の意見です。
自分はまだスタートアップが成功する瞬間を1ミリも経験しておらず、創業して半年が経ちますが、まぁ大失敗の連続で悔しい思いしかしていませんw
でも今まで生きてきた中で、最も濃厚で多くの学びがあったと確信しています。
これまでの自分を全否定して、新しい挑戦をし続けたい人にとっては、創業期のスタートアップほど最高の環境ではないかなと思います。
という訳で、創業1年目のスタートアップ起業家が、どんな経験をしながら意思決定を行い、先の見えない未来に向かって日々行動していくのか?というのを赤裸々に書き残してみます。
2020年のハイライト
3度の事業方針転換
スタートアップはピボットを繰り返すものだというのは実際に自分が起業する前から聞いていた話ではありました。
しかし、こんなにも上手くいかないのか・・・という現実を味わいました。
自分が考えたアイデアは別の誰かが既に水面下で進めていたり、そもそも顧客に全然刺さらなかったり、既に販売できるサービスがある事の有り難みを知りました。
もっと失敗する事を前提に考えられていれば、数多くの負債や出戻りする時間を減らせられたのではないかと反省しています。
副業・フリーランス中心に約20人ほどの優秀なメンバーが集まる
コロナでリモートワークが当たり前になった背景もあり、まだサービス構想が完全に定まっていない段階から、DXERが掲げたミッションやビジョンに共感してくれた仲間が集まってくれた事は何よりも大きな成果だったと思います。
度重なる事業方針の転換を実施しても、また力が必要な時は、いつでも頼ってくださいと言ってくれる人たちの存在のおかげで走ってこれたのだと思っています。
共同創業者(立ち上げ期より一緒にやってきた)がフルコミットを意思決定
新卒時代からの同期であり、前職HubSpot Japanへの転職のキッカケをくれた人物でもある橋本が正式に2021年1月からDXERに参画してくれる事が決まりました。
思い返せば2020年の1月に自分が考えていたアイデアに対して、「面白そうだね!それやってみよう」と始めて賛同してくれた人物でもありました。
当初はもう少し事業が立ち上がってからのタイミングでのフルコミットを視野に入れ、ずっと創業時から無給で手伝ってくれていました(手伝うっていうレベルではないくらいにw)。
しかし、このままではスピードが上がっていかないと判断してくれて、前倒しでフルコミットを決意してくれました。
2021年1月から加速していくために、彼の存在は欠かせないものになっていくだろうなと感じております。
2020年時系列別でDXERを振り返る
2020年1月「SaaSアカウント管理サービスを着想」
創業前から考えていたサービスは、増えすぎていくSaaSの問題に対して、無駄が発生しているアカウントの検知やアカウントの自動発行が可能なクラウドサービスを考えていました。
G2 Track、Zylo、BetterCloudなどを研究しながら、国産のサービスが存在しなかったので作ってしまおうという単純な発想でした。
しかし、当時から競合優位性が作りづらい事を認識しており、このサービスを実施するのであれば、何よりも速さが重要な点と、開発力と営業力の勝負になるだろうな、と思っていました。
結果として、始めるのが遅すぎた、という判断をしてピボットする事になります。
2020年3月「ミッション・ビジョン・バリューを言語化」
主要メンバーの価値観などをお互いに共有しあい、会社として掲げていくビジョンを早めに作りました。
提供できるサービスは全くなかったものの、想いが通じ合ったメンバーで事業を推進したいと考えていたので、早いタイミングではありましたが、ミッション・ビジョン・バリューを言語化したおかげで、20人ものメンバーが集まってくれたのだと思っています。
2020年4月「事業構想と組織の生成」
このタイミングで、ようやく作成したミッション・ビジョンを達成するために必要な事業は何なのか?が言語化できてきました。
具体的に何をやるかは決まっていなかったのですが、組織・個人・システムの3つに軸を分けてDXを推進するような事業構造体を考えていました。
いま振り返ってみると、東証マザーズ上場企業のIR資料などを読みまくりながら、第三者の人にどうやって自分たちの会社が実施している事を説明していくべきなのか?という観点だけで事業構造を考えてしまっていたと反省しています。
Webサイトや創業時に書いたnoteなどは、この事業体の話をしているので、2021年には改修しなきゃなと思ってます。
2020年5月「サービスの要件定義プロジェクトの進行」
この頃は、まだ自分もフルコミットでDXERに対しての時間が使えていなかったので、副業プロジェクトとして進行させていました。
まずはどんなプロダクトを作るのか?開発アドバイザーとPdM(プロダクトマネージャー)の3者で週1回のMTGを通して、要件を詰めていった段階です。
経験をした事がないプロダクト開発、副業でのマーケティングアドバイザー、本業での引継ぎや施策の推進などで時間がパツパツになってプロダクト開発にかける時間が自分でもほとんど取れていなかったので、当時を振り返ると本当に亀くらいのスピードでしか進めていなかったと思います。
2020年7月「DXER1本のフルコミットにシフト」
コロナの影響もあったので、前職の人たちには直接の挨拶が出来ないままのスタートになってしまいました。
7月からフルで手伝ってくれる2人を迎えて、個人事業主時代から使っていた田町のシェアオフィスでゼロからの挑戦が始まりました。
やはりフルコミットする方が、マインドシェアもだいぶ空くので一気にギアが上がったタイミングでした。
2020年8月「Webサイトのリリースと共に類似サービスの資金調達ニュースが飛び込む」
これがスタートアップか、、、という経験を始めてしたのが夏になります。プロダクトを世の中に出すまでは始まってすらいないのだな、、、と痛感しました。
このまま進むのか?それとも方針転換をするのか?初めて生きた心地がしない気分を味わいました。
自分たちが作り上げてきたアイデアが一瞬で崩れさるものなのだなーという経験が早いタイミングで出来たのは良かったなと思います。
そこから1週間で別のアイデアを練り上げて、人材マッチングサービスへ舵を切る事になります。
↓人材マーケットプレイスの構想案
2020年9月「人材事業を展開するためにオフィス移転」
人材事業をするためには、オフィス移転が必要だったので、ミニマムコストで実現可能な方法を探しました。
落ち着いた運用方針としては、本店は人材事業の認可が取得可能なシェアオフィス、そしてコミュニティとしての役割を果たすためにWe Workを契約しました。
労働環境も改善されて、非常に価値があった投資だったなとは思います。フルリモートの組織だからこそ、全員が集まれる場所を持っておくと良いなと思っています。
2020年10月「事業スピードを上げるために採用強化と組織化」
スタートアップはスピードが命なので、一気に事業を加速させようとチーム力を強化しました。具体的にはチームを6つに分けて自分がマネジメントに回りました。
・BizDev
・HR
・コミュニティ
・マーケティング
・CS
・DevOps
組織化は実施できたものの自分のコミュニケーションパスを20人くらいと作ってしまったので、全くうまく回らないというのがスグにボトルネックになってしまい、マネジメントを実施してもらえる人を早急に探しました。
2020年11月「選択と集中の考え方が出来ていなかった事に気が付く」
あるスタートアップのシード期からシリーズAを支援されていた方が、たまたま先輩で、その方にガッツリとスタートアップの進め方を教わりました。これまでの自分は大企業的に選択肢を複数持っておき、何か当たったら、その選択に全リソースを集中させる、というやり方をしてしまっていました。
しかし、スタートアップは前提が崩れるのは当たり前。そもそも全てのリソースを使い果たす前に、サービスを当てなくてはいけない。
いわゆるスタートアップのお作法を組織に注入してもらえました。
この本を読んでみて自分の中でブレイクスルーできた感じがするので、起業を志す人には全員読んで欲しいと思います。
2020年12月「事業方針の転換と縮小」
スタートアップの定石に従いプロダクトを作り始める前に、まずは顧客ニーズの検証を優先させる事を進めました。
自分たちのビジネスモデルの場合は、単純にマッチングサービスを展開するだけではなく、そこから高単価なコンサルティング案件に繋げる事ができるのか?など勝負となる事業KPIは分かっていたのですが、変数が多すぎるかつ、顧客のBurning needsを捉えているものではない、という事が顧客インタビューを通して分かってきました。
そして顧客インタビューを通すうちに、これがBurning needsなんじゃないか?ってのが見つかってきました。*顧客の課題から探していたら、こんな出戻りをする必要はなかったのか・・・と自分をめちゃくちゃ責めましたw
結局、再度事業をゼロから作り直す事になったので、集まってくれたメンバーには一時稼働を止めていただき、顧客インタビューを通してプロトタイプを検証する事に戻っていきました。
創業1年目3度のピボットから学んだ3つのコト
少しダラダラした章になってしまいましたが、振り返ってみると自分がこの半年間を通して学んだ事は以下の3つだと思います。
①先入観(バイアス)を捨て去れ
起業して代表になると最終的に意思決定をして責任を取るのは自分になります。
この意思決定をする際に、先入観というやつが結構厄介者であり、自分が正解だったと思っているものは失敗である事が多々ありますし、他人に相談した際もバイアスがかかっていたりするので、揺るぎない事実に着目をしながら意思決定をする必要があると思っています。
また最終的に白でもなく黒でもない非常にグレーである問いに対しては、価値観に沿って意思決定をするのが良いのではないだろうか?その理由を自分でもハッキリと認識できているとシャープな意思決定ができるんじゃないだろうか?と考えています。
②すべては顧客の課題(Burning needs)から始まる
2020年12月に事業方針を変更した際に、「あー自分たちは完全に会社から作ってしまっていたなぁ・・・」と気がつきました。
実際にお会いさせて頂いた事はございませんが、DCMベンチャーズの原さんのnote記事には本当に救われました。
以下、一部を抜粋させて頂きましたが、本当にこの方法で進めないと、自分の先入観(バイアス)によって痛い目をみる事になってしまうかもしれません。
a. 全ては「最低な」ペインに対する「最高な」機能から始まる
b. 「最も重要な」機能に絞る
c. 「正しく」機能を増やしていく = 要らないものは削る
d. 「最速」で真似ができないプロダクト、会社にする
③可能な限り早く小さく失敗する
結果はまだ何も残せていないので何かを語れるほどのものは何もないのですが、意思決定をする際に、下記の要領で分類をしてサクサク意思決定していくと物事をもっと早く進めていられたのだなと思います。
そして自分たちも何より大事だったと思うのが、小さく失敗する という事。
幸いな事に、これだけ失敗をしていても、少なからず業務委託を実施しながら運営してきたおかげで、今すぐ資金ショートして死にそうになっている訳ではありません。(多くの方々が金銭的報酬を目的とせずに助けてくださっているという側面も大きです)
まだやり直せる。この状態をいかに作り出し続けられるのか?というのは非常に重要なのではないかな?と個人的には強く思う年だったかなと思います。
2021年に向けての目標
この半年間が意味がある時間だった事を証明する事が、まずは何よりも先決すべきだと考えています。
何もない自分たちを支えてきてくださった皆さんのためにも、目に見える結果を出す。2021年は自分が持てる全ての力を、その1点に注いでいきます。
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