日本でのプラチナ製剤耐性卵巣癌に対する抗腫瘍剤の開発の重要性
婦人科腫瘍において、子宮平滑筋肉腫と高度漿液性卵巣癌に対する治療が最も苦戦している。
Banerjeeらによって行われた臨床試験の結果、the addition of mammalian target of rapamycin (mTOR)阻害剤であるvistusertib to paclitaxel did not improve clinical outcomes in patients withプラチナ製剤耐性High-Grade serous cancer (PR-HG-SC)ことが明らかにされた。
日本では、プラチナ製剤感受性High-Grade serous carcinoma (HG-SC)またはBRCA1/2にpathogenic variantが認められたHG-SCに対して、PARP阻害剤(olaparib or niraparib)の処方が、保険収載されている。しかし、BRCA1/2にpathogenic variantが認められたPR-HG-SCに対するPARP阻害剤(olaparib or niraparib)の奏効性は認められないことが明らかにされている。
2019年12月から2023年02月までの期間で、日本の国立大学の癌ゲノム医療において、合計2811例(Ncc oncopanelでの検査:670例、F1CDxでの検査:2141例)の治療法が、検討された。日本人の進行性HG-SC、i.e., PR-HG-SCの合計174例に対して、癌ゲノム医療で、治療法が検討された。癌ゲノム検査の結果、PR-HG-SC 34症例において、mTOR pathogenic variantが認められた、PR-HG-SC 11症例において、PI3Kにpathogenic variantが認められた、PR-HG-SC 23症例において、BRCA1/2にpathogenic variantが認められた、PR-HG-SC 12症例において、HRD関連因子にpathogenic variantが認められた。
そこで、mTOR pathogenic variantが認められたPR-HG-SC 34症例とPI3Kにpathogenic variantが認められたPR-HG-SC 11症例に対して、PI3K-mTORシグナル阻害剤(Everolimus etc.)が経口投与された。残念ながら、全ての患者(45症例)において、Everolimusの抗腫瘍効果が認められなかった。日本において、この臨床試験の結果より、PR-HG-SCに対して、PI3K-mTORシグナル阻害剤の処方は、推奨または提案されない。日本で行われた臨床試験の結果は、Banerjeeらによって行われた臨床試験の結果と同様であった。婦人科悪性腫瘍の診療において、PR-HG-SCに対して奏効性が認められる抗腫瘍剤の開発は、重要課題である。
がん医療専門ドクター・新興感染症専門ドクター
Manuscript Published in JAMA Oncology on March 24, 2023 by 京都@takumah
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