日本における進行性癌に対するCDK4/6阻害剤による治療法の現状
Luyendijkらは、ランダム化臨床試験(RCT)で報告された無増悪生存期間の約 10 か月と全生存期間の最大 14 か月の改善により、3つの CDK4/6 阻害剤 (パルボシクリブ、リボシクリブ、およびアベマシクリブ) は、オランダにおける転移性乳がんの治療における重要なブレークスルーと見なされていますと報告している。
Cyclin-dependent kinase-4/6 (CDK4/6) は、細胞周期に関与するタンパク質-セリンキナーゼです。CDK4 および CDK6 は、p14(ARF)、p16(INK4)、および p18 CDK 阻害剤によって阻害される生理的 RB1 キナーゼです。p16(INK4)、p14(ARF) は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤-2 (CDKN2A/B) としても知られています。したがって、CDKN2A/B 遺伝子は、2つの重要な細胞周期調節経路、p53 (TP53) 経路および RB1 経路を調節するタンパク質をコードしています。
2019年12月から2022年12月までの期間で、日本の国立大学の癌ゲノム医療において、合計2791例(Ncc oncopanelでの検査:743例、F1CDxでの検査:2048例)の治療法が、検討されている。日本人の進行性肺がんの合計124例、進行性頭頸部がん合計34例、脂肪肉腫合計14例に対して、癌ゲノム医療で、治療法が検討された。癌ゲノム遺伝子検査による結果から、進行性肺がんの14例、進行性頭頭頸部がん6例、脂肪肉腫9例おいて、CDKN2A/B lossが認められた。そこで、これらの患者に対して、CDK4/6阻害剤であるパルボシクリブまたはアベマシクリブの処方が推奨された。現在、CDKN2A/B lossが認められた進行性腫瘍を発症している患者に対して、パルボシクリブまたはアベマシクリブによる治療が行われている。
今後、日本においても、厚生労働省によって、進行性乳癌に対するCDK4/6阻害剤の治療が承認されれば、進行性乳癌に対する新たな治療法が積極的に推奨されると考えられる。
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染咽頭がん(頭頸部がんの1つ)は、免疫チエックポイント阻害剤の奏効性がやや良い
がん医療専門ドクター/新興感染症専門ドクター
JAMA Network Open Publised on February 19, 2023, by 京都@takumaH