日本での、病期Ⅰのトリプルネガティブ乳癌患者に対する治療
日本乳癌学会の治療ガイドラインでは、病期Ⅰのトリプルネガティブ乳癌患者に対して、抗癌剤治療と放射線治療が行われる。手術前の抗癌剤の治療成績と比較して、手術後の抗癌剤の治療成績(遠隔転移率、全生存率)は、ほゞ同じである。最近の乳癌に対する治療では、抗癌剤治療の効果判定と乳癌組織を縮小させるために、手術前に抗癌剤治療が多くの症例に対して行われている。
日本乳癌学会より、トリプルネガティブ乳癌の再発時期は、手術後2~3年であることが報告されている。
日本乳癌学会の報告では、トリプルネガティブ乳癌に対して手術後の抗癌剤での治療が行われない場合、10年無再発生存率が58.5%、10年生存率61.9%という結果が示されている。つまり、手術後の抗癌剤での治療が行われなかった場合、トリプルネガティブ乳癌の全患者の30~40%は再発すると考えられている。
日本乳癌学会の治療ガイドラインでは、トリプルネガティブ乳癌に対する主な治療法は、抗癌剤での治療である。抗癌剤での治療により乳癌が完全に消えた患者での5年間無再発生存率は、おおよそ90%である。一方、抗癌剤での治療により乳癌が完全に消えなかった患者での5年間無再発生存率は、50%以下である。2017年に日本と韓国の合同で行われた臨床試験の結果では、手術前の抗癌剤での治療により乳癌が消えなかった患者に対して、内服の抗癌剤治療が行われなかった患者と比較して、内服の抗癌剤治療が6カ月間行われた患者の5年無再発生存率が69.8%、5年生存率が78.8%と良好であることが示された。
今後、再発予防のために、アテゾリズマブ(免疫チェックポイント阻害剤)、オラパリブ(PARP阻害剤)などが、日本の厚生労働省によって追加承認される可能性がある。
がん治療専門ドクター/癌ゲノム医療/新興感染症 JAMA Network Open Published on November by 京都@Takuma H
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