日本における、胆道癌に対する癌ゲノム医療への期待
働き盛りの命奪う「胆管がん」の厳しい現実に対する新規治療法の開発
日本では、胆道がんは珍しいがんではなく、年間2万人以上が胆道癌として診断されている。胆道癌は、男性では9番目、女性では7番目に多いがんである。また、胆道癌の罹患率は、50歳代から増え始めている。胆道癌の罹患は、70歳代、80歳代の高齢者に多く認められる。胆管がんと乳頭部がんは、男性に多く認められる。一方、胆のうがんは、女性に多い認められる。なお、最近では、日本では、印刷業務で、ジクロロメタン、ジクロロプロパンを長期間使用が、胆管がんの発症の起因とされている。
臨床病期において、胆管癌が、外科的切除可能な病変であれば、外科的治療法が第一選択の治療方法である。胆管がんでは、外科的治療法は、定まっていない。胆管癌の発症の箇所、癌の広がりに応じた外科的治療が選択される。胆管癌に対する化学療法として、ゲムシタビンとシスプラチンを併用する化学療法が標準治療として確立されている。特に、外科的切除が困難な胆管がんの患者さんに対して、ゲムシタビンとシスプラチンを併用化学療法は、行われている。しかし、これらの抗腫瘍剤による奏効率は、低く、胆管がんの5年生存率は21.8%である。
2019年12月から2021年12月までの期間で、日本の国立大学の癌ゲノム医療において、合計1309例(Ncc oncopanelでの検査:294例、F1CDxでの検査:1015例+含むリキッドバイオプシー)の治療法が、検討された。そのうち、胆管癌の合計25例(Ncc oncopanelでの検査:4例、F1CDxでの検査:21例)に対して、癌ゲノム検査が行われた。検査結果より、BAP1, STK11, BARM1, IDH1, TP53の因子において、pathogenic variantsが認められた。各pathogenic variantを標的とする抗腫瘍剤が、処方されている。
胆道がんの予後は極めて悪く、現在使用できる治療薬は非常に限られている。今後、胆道がんの検査として、がん遺伝子パネル検査が積極的に導入され、pathogenic variantsを標的とする抗腫瘍剤の臨床試験が進展しなければならない。
Disclosure of potential conflicts of interest
The authors declare no potential conflicts of interest.
がん医療専門/新興感染症専門ドクター
Published in Science at December 18, 2021 by 京都@takumaH