日本における臨床試験より、転移・再発トリプルネガティブ乳癌に対するプラチナ製剤の効果

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転移・再発トリプルネガティブ乳癌は、予後不良の病態である。しかし、転移・再発トリプルネガティブ乳癌は、抗癌薬に対する感受性が高い癌種である。トリプルネガティブ乳癌に対して、DNA傷害性抗癌薬の抗腫瘍効果が認められている。さらに、トリプルネガティブ乳癌に対するプラチナ製剤の抗腫瘍効果も報告されている。2020年に、私達のがん医療ネットワークでは、転移・再発トリプルネガティブ乳癌に対するプラチナ製剤を含んだ治療法による奏効性とプラチナ製剤を含まない治療による奏効性が比較された。

HER2陰性の乳癌患者を対象とした術前化学療法のランダム化第II相試験では、CEF療法*に先行する毎週Paclitaxel (PTX)の投与にCarboplatin (CBDCA)を4サイクル併用投与する治療法が行われた。私達の臨床試験の結果より、全体のpathological Complete Response (pCR)の有意な上昇が認められた。特に、トリプルネガティブ乳癌の患者において、高いpCRが認められた。この臨床試験より、トリプルネガティブ乳癌の患者に対するプラチナ薬の有効性が示唆されている。

私達の臨床試験の結果より、転移・再発トリプルネガティブ乳癌に対する治療法において、医学的エビデンスの強さ、益と害のバランスなどが検討された。転移・再発トリプルネガティブ乳癌に対する治療選択肢として、プラチナ製剤が推奨される。しかし、日本では、プラチナ製剤が、乳癌に対して保険適用となっていない。さらに、カルボプラチンは、HER2陽性乳癌のみの保険適用となっているため、処方における注意が必要である。

CEF 療法*:シクロホスファミド(Cyclophosphamide)、エピルビシン(Epirubicin)とフルオロウラシル(Fluorouracil)という3種類の抗がん剤を組み合わせた治療

Disclosure of potential conflicts of interest
The authors declare no potential conflicts of interest.

Data availability and Consent to publish
This manuscript is an editorial and does not contain research data.
Therefore, there is no research data or information to be published or opened.

Acknowledgments
We thank all the medical staffs and co-medical staffs for providing and helping medical research at National Hospital Organization Kyoto Medical Center.

がん治療専門ドクター/癌ゲノム医療                      JAMA Oncology Published on January 2021. by 京都@Takuma H


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