組み替え簡単! 引き出し収納達人への道 PREDUCTS Drawer & Gridfinity
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■ 概要
1万4千文字と長い記事なので、先に要点を3つにまとめます。
【1】
PREDUCTS社が販売している、引き出し「Drawer Mini / Drawer Three(以下、まとめて Drawer)」に最適な収納システムとして、「Gridfinity (グリッドフィニティー)」を紹介します。豊富な写真と共に、私の導入事例も紹介します。
【2】
Gridfinity を Drawer で快適に使うための、専用のパーツ(スペーサー)を設計しました。オレンジ色のパーツが自作したスペーサー、白色のパーツがGridfinityのベースプレートです。
【3】
3Dプリントに必要な3Dデータを無償配布します。
⚫︎ スペーサーの3Dデータ
⚫︎ Drawerのサイズにぴったり合うGridfinityのベースプレートの3Dデータ
また、3Dプリンターの機種・印刷可能サイズにあわせて、2種類のデータセットを用意しました。MITライセンス(ライセンスの説明は5章)です。
また、本記事の本編では、私が使っているGridfinityの小分け箱 (Bin) のダウンロード先も紹介します。
そして、おすすめの3Dプリンターやプリント設定、樹脂素材なども紹介しています。
引き出し収納達人への道を、しっかり舗装したつもりです。この記事をお読みいただければ、イチから取り組めると思います。
本記事や3Dデータがお役に立ちましたら、記事への投げ銭や、SNSでの拡散などの応援をしていただけますと嬉しいです。
よろしくお願いいたします🙇♂️
では、本編へ。
§1. はじめに (PREDUCTS Drawerとは)
私は、PREDUCTS社が展開するモジュール式のデスクシステム Drawer を愛用しています。
2024年9月現在、同社からは2種類の Drawer が販売されています。
【1】Drawer Mini (1段、トレイ付属)
【2】Drawer Three (3段、トレイ無し)
1段タイプの Drawer Mini には仕分けトレイが付属しています。
重厚な作りで、他ではあまり見かけないテクスチャ、デザインが素敵です。
私自身、Drawer Miniの仕分けトレイにぴったりな、ペントレイをデザインして、それを3Dプリントした品も販売もしています。
とはいえ、正直なところ、この仕分けトレイの収納力は高くありません。
仕切りの壁による余白が多く、右奥は小物の取り出しやすさのために底上げもされています。自分の使う道具が入らないこともあります。
そのため、自分で仕分けケースをデザイン、3Dプリントしたこともありました。
PREDUCTS公式からも、付属トレイよりも収納力のある仕分けトレイの3Dデータが無償公開されています。
一方、3段の引き出し Drawer Three には、仕分けトレイが付属しません。
内寸はMiniとほぼ同じなので、Miniの仕分けトレイも入りますが、Miniのトレイは単品販売されていません。
3段分のぴったり収納スペースを、イチから考えて3Dモデリング・3Dプリントできなくもないのですが、かなり大変です。そして、一度完成すると位置を入れ替えたりサイズを変更するのも大変です。
3Dプリントを諦めて、既製品の紙箱やプラスチックの箱を集めて敷き詰めることも可能ですが、やはり骨が折れます。完成後の変更のしづらさ、という課題は残ります。
そんな私は、見つけたのです。
Drawer に合う、最強の引き出し整理システムを。
その名は、Gridfinity (グリッドフィニティー)。
§2. Gridfinity とは
Zack Freedman氏が、2022年に提案した、3Dプリンターで造形することを想定した収納システムです。
縦横が 42 x 42 mm の正方形のグリッド (格子状) のベースと、ベースにピッタリとはまる高さ 7 mm の倍数 (unit) で規格化された容器 (Bin) から構成されます。
Gridfinitiyは、寸法や元データが無償公開されています(MITライセンス)。
世界中の3Dプリンターユーザーが、自分の使う道具にぴったりなBinをデザインして、3Dデータを無償公開したり、3Dプリント品を販売したりしています。
Binは重ねて置けるように設計されています。
デザインが秀逸で、3Dプリントしやすい形になっています。
3Dプリンター初心者の人でも、データをダウンロードして、3Dプリンターのデフォルト設定のまま3Dプリントしても、うまく造形できます。
さて、なぜ Gridfinity が PREDUCTS Drawer に最適なのか。
理由は4点あります。
🔶 最適な理由1:入れ替え簡単なモジュール式
PREDUCTS DESK システムは、天板裏のカスタマイズ性の高さ・変更しやすさが魅力です。
Gridfinity も Bin の位置替えやサイズ変更が簡単なモジュール式のシステムです。とりあえず Bin を置いてみて、納得いかないことがあれば何度でも並び替えて、心地よい使い勝手を追求できます。
ガジェット・道具に興味があるかたであれば、道具を入れ替える頻度が人よりも多いかもしれません。その度に収納スペースの大きさや配置を、簡単に組み替えるられるのです。
ガジェットやツールが好きなかたにピッタリなシステムなのです。
🔶 最適な理由2: Binの3Dデータが豊富
無償で利用できるシステムということで、世界中のユーザーが自分の持っている道具に合わせてカスタマイズしたBinを、3Dデータ公開サイトにアップロードしています。
おそらく数万種類のBinのデータが存在すると思います。
汎用的な四角形のBinから、ニッチなツールがぴったり入るサイズのBinまで、デザインして公開してくれているユーザーがたくさんいます。
ほとんどの場合、すでに公開されているデータを選んで3Dプリントするだけでよいのです。
まずは既存のBinをダウンロードして整理しはじめ、どうしても自分の道具にぴったりあうBinが見つからないときには、3Dモデリングするのがよいでしょう。
単純な四角形・長方形以外の形もあります。
🔶 最適な理由3:高さがシンデレラフィット
Drawerの引き出しの高さと、6unit高のBinの高さがピッタリ合います。
つまり、Binをテキトーに重ねてもスッキリ・ぴったりと小物をしまえます。
深く考えなくても、システムに従ってBin を詰めていけば、勝手にスッキリ揃っていくのです。
ペンなどデスクで使う小物には 3 unit 高に収まるモノも多く、3 unit の Bin を2段に重ねて、収納力を2倍にすることも容易です。
一方、Drawer Mini の方は底面の一部に傾斜がついています。
このため、奥の方 2 grid 分は 6 unit高、手前の方は 5 unit と 4 unit の高さに制限されます。それでも、十分ピッタリ・すっきりと多くの小物を収納できる魅力に変わりありません。
この部分的な傾斜があるせいで、Drawer Mini では単純にBaseを並べただけでは、Binがうまくはまらない場合がある、という問題がありました。
Mini 用のスペーサーの設計には苦労しました。最終的には、少し隙間のあるスペーサーを利用することが1番スマートだという結論に至りました。詳細は4章にて。
🔶 最適な理由4:幅も奥行きもシンデレラフィット、にできる
幅と奥行きも、ほぼシンデレラフィット。Drawer Three の内寸は約 356 x 232 mm。Gridfinity の8 x 5 grid (336 x 210 mm) とほぼ同じです。
そして、余白のサイズ感が、また絶妙なのです。
奥行きの余白は 22 mm、横幅の余白は 20 mm あります。
実は、Gridfinity のグリッド 42 mm を半分にした 21 mm のハーフGridfinity も有志ユーザーが作って公開しています。つまり、奥行き方向は余白が22 mm ですから、5.5 grid + 1 mm という、シンデレラフィットなサイズ感になるのです。
一方、横幅の 20 mm はハーフサイズの 21 mm より 1 mm 狭いのです。1 mm も狭いと、引き出しの中には収まりません。実際、世の中に出回っているハーフサイズのBaseは収まりませんでした。
しかし、入らないのはあくまでハーフサイズの Base であって、上に載せるBin の方はハーフサイズでも、ギリギリ入ってくれるのです。
なぜなら、3Dプリントには造形時の誤差が付きもので、上に載せる Bin は 0.5 mm ほど小さく設計する仕様になっています。0.5 mm 程度の誤差であれば、隣り合った Bin が少しスレてきついくらいで、ぴったり収まってくれるのです。
そこで、ハーフサイズ 21 mm 幅ベースからさらに 1 mm 幅を削ぎ落とした、Drawer 専用の20mm ハーフサイズベースを設計しました。
まとめますと、Drawer にピッタリ、かつハーフサイズ Bin を載せられる、Drawer 専用ハーフサイズ対応の 22 mm & 20 mm 幅 Base を設計しました。
これらハーフサイズの Base を隅に詰めて入れてあげれば、Drawer の容量をほぼ完璧に使えます。Drawerの容量を余すことなく活用できます。
一方、Drawer Mini には、純正仕分けトレイを乗せるための突起が四隅についているため、ハーフサイズのスペーサーは使いづらいのです。
突起をうまく避けつつ、Drawer Miniの容積を最大限活用するスペーサーを別途デザインしました。詳細はまた後ほど。
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Gridfinityをより深く知りたい方は、クセつよつよな提案動画もご覧ください。さまざまなBinが登場するので、興味深いです。
🔶 Gridfinity: Your Ultimate Modular Workshop is FREE!
§3. Drawer x Gridfinity. Takumaの事例
この章では、Drawer に Gridfinity をインストールした、私の実例をご紹介します。上の段から順にお見せいたします。
🔶 Drawer Three 1段目の構成
3Dプリントしたものを加工する工具などを入れています。
よく使う工具はほぼ毎日出し入れします。黄色い持ち手がついた専用の4x4x3 Binを設計しました。まとめて机上に出せます。
🔶 Gridfinity Master Collection by GlitchPrinter
https://www.printables.com/model/242711
正方形、長方形といった基本的なサイズのBin、ラベル貼り付け可能なBinや中に仕切のついたBinは、このページに網羅されています。
まずは、このページにまとめられているBinを使って、自分なりの引き出しを組み立てるのが良いと思います。
🔶 Gridfinity base cover by hFlash
https://www.printables.com/model/526045
デジタルカメラ SIGMA fp の3Dプリントモックの下にはカバー板を敷いています。このカメラモックは、自作のアクセサリーをデザインする際に使用しています。
🔶 Gridfinity Tray / Bowl - Catch-it-all organizer for the desk by GlennovitS 3D
https://makerworld.com/en/models/147393#profileId-160859
2色のトレイがおしゃれだなーと思い試しにプリントしてみました。かわいいです。
PB SWISS TOOLS の六角レンチやビットドライバーがぴったり入る Bin は、自分でデザインしました。
🔶 Drawer Three 2段目の構成
文房具や、音楽関連の小物を中心にしまっています。
2x4x3のBinを主軸に構成しています。2x4x3 Bin は前述の Master Collection からダウンロードできます。2x4x3 Bin は、文房具などをしまってスタッキングするのにちょうどよいサイズ感です。
Drawer Mini の純正トレイのために作ったペントレイも2x4x3 Bin に収まります。
3Dプリントしたペントレイは販売しており、その3Dデータは無償公開しています。仲良くしていただいている Nobuki Inoue (@black_trooper) 氏が、CNCでウォルナット版ペントレイを彫ってくださったので、大事に使っています。Gridfinityにぴったり入って本当によかったです。
🔶 Leatherman Wave Holder for Gridfinity by Tactical Grizzly
https://www.printables.com/model/425583
左・手前側。レザーマンのマルチツール WAVE の専用ぴったりBinを作ってらっしゃる方を発見したときは、そのニッチさに感動しました。
2段目はスペーサー・Baseの位置を変則的な組み方にしています。左半分は奥に、右半分は手前にスペーサーを配置しています。
右端のスペースは、ハーフサイズのBaseスペーサーではなく、単なる板タイプのスペーサーにしています。ステープラーの芯やカッターの替え刃などをしまうのにちょうどいい余白です。
🔶 Drawer Three 3段目の構成
色鉛筆や色見本、マスキングテープなどカラフルなものを中心に収納しています。Master Collection からダウンロードした、基本的な長方形の Bin が多めです。
🔶 Gridfinity Keycap Storage Bins
https://makerworld.com/en/models/398296#profileId-299814
🔶 Drawer Mini の構成
現在、私は Drawer Three をメインで使用しており、Drawer Mini は使っていません。Mini を使うならこんな風かな、と想像して組んでみました。
そもそも、こういう仮組みが容易なのがGridfinityの良いところです。
意地悪な比較ですが、純正の仕切トレイに同じ物を入れてみました。
Gridfinityの方は、ペントレイにまだ余裕がありますし、なによりスッキリとして、見通しが良いと感じます。
§4. 自作・デザインしたパーツ
1つの引き出しに 8x5 のBaseを敷き詰める必要があります。
Drawer Mini の場合や、3Dプリントできる面が21cm四方未満の小型の3Dプリンターをお持ちの場合は、3x4 の Base を2枚、2x4 のBase を2枚プリントして並べましょう。
Drawer Mini は底面に傾斜があり、この構成で3Dプリントすることで傾斜の問題を解決して並べられるようになります。
中型3Dプリンターをお持ちの場合、Drawer Three には 4x5 の Base を2枚プリントすると効率的です。
これらのBaseは、すべて今回配布しているデータ一式の中に同梱してあります。Baseの3Dデータは、Takuma自身が作成したデータです。
🔶 Drawer Three 用パーツ
全部で7つのスペーサーを設計しました。
ハーフサイズのBinを使わない場合と使う場合、それぞれのスペーサーを用意しています。
ハーフサイズのBinは、公開されている3Dデータが少ないので、自分にぴったりなBinが見つからないこともあります。ご自身での3Dモデリングが難しい場合は、ハーフサイズBin用のスペーサーを諦めるのも悪くない選択肢です。
と言いますのも、この余白は30cm定規などの長ものや、ステープラーの芯の箱など細長い小物を収納するのに、ちょうど良いスペースだからです。また、スペースが空いていると、Binを掴みやすくて出し入れしやすい、という利点もあります。
🔶 Drawer Mini 用パーツ
全部で4本のスペーサーを設計しました。
Mini は純正の仕分けトレイをピッタリはめるために、四角に突起がついています。このため、Three のスペーサーを使うと Bin が突起と干渉してしまい、うまく Bin を並べられません。
また、Drawer Mini の底面は傾斜がついています。手前から3 grid 分は斜めになってしまいます。
これをいい感じに解消するために、スペーサーの寸法を工夫しました。
Drawer Miniの四隅の突起を、うまい具合に回避できています。
とくに試行錯誤して工夫したのは奥行方向の余白。3x4のBaseと2x4のBaseの間に、ほんの少しの遊びができるように設計しました。
これにより、奥の平たいBaseに置いたBinと、斜めに置いたBinと、別のBinを置いたときに互いに干渉しません。
一方、平たいBaseと斜めのBaseにまたがる長いBinを置いてもちょうどよくハマってくれます。
これにより、Drawer Mini でもかなり柔軟にBinを配置できます。
次の写真のように、傾くBinとまたがるBinとが混在する場合は、多少の高さのズレは発生するものの、ちゃんとまとまります。
🔶 自分用に設計したぴったりBin
道具をぴったり収納させたい性格でして、ちょうどよいBinが見つからなかったものは自作しました。
§5. ライセンス情報
🔶 Gridfinitiyのライセンス
2024年現在、Gridfinity の3Dデータは、 MITライセンス で提供されています。公開当初は別のライセンスでしたが、途中で変更されました。
MITライセンスとは、簡単に言えば、著作者が誰であるかと、MITライセンスであることを明記すれば、商用・非商用、改変、配布等を実施してよい、という使用許諾です。
言い換えると 「自由に使っていいよ。ただし何かあっても作り手は責任を負わないよ。そして、自由に使っていい代わりに、作り手に最低限の敬意を払って、著作者が誰かは書いてね」ということです。
MITライセンスの日本語文面は以下の通りです。
ライセンス規定に従い、Gridfinityの著作権表示、ならびに本許諾表示を記載します。
🔶 Takumaが配布している3Dデータのライセンス
スペーサーのファイル、PREDUCTS Drawer用のBaseファイルのセット一式は、同じくMITライセンスで提供いたします。許諾表示は上記と同一の文面ですので、ここでは省略します。配布しているZIPファイル内に、ライセンス規約のファイルを同梱しています。
もしも、スペーサーを3DプリントなさってSNSで紹介していただける場合、MITライセンスを正確に守るのは大変でしょうから、私のSNSアカウント(@takuma3_)をメンションしていただくか、本記事へのリンクを貼っていただければOKです。
§6. おすすめ3Dプリンター
3Dプリンターをお持ちでない Drawer ユーザーさんには、この機会にぜひとも購入を検討していただきたいです。生活が大きく変わる道具です。
🔶 小型プリンターのおすすめ機種
新進気鋭 Bambu Lab社 - A1 mini や、根強い人気の PRUSA社 - Original PRUSA Mini+ など、比較的小型なプリンター(21x21 cm 未満の平面でプリント可能)が最初の一台として人気です。
これらは十分な3Dプリント性能を持っています。注意点としては、Gridfinitiy の4x4 gridのサイズまでしかプリントできないことです。
ボールペンや小ぶりなハサミといった一般的な文具は 4 grid の長さで足りるので、小型の機種でも大きな問題はありません。
ですが、例えば、Apple Pencil や削ったばかりの鉛筆を収納するには 5 gridの長さが必要です。長めな道具やガジェットに対応した Bin を3Dプリントしようと思うと、21 cm (5 grid) 以上の長さの平面を3Dプリントできる機種が必要となります。
4x4 gridを超えるBinを、4x4 grid 以下に分割して3Dプリントして、あとで接着する解決方法も可能ですが、ピッタリと貼り合わせるのは手間ですし、強度が落ちてしまう場合もあります。
このため、2024年にはじめて購入する3Dプリンターとして皆がお勧めするのは、A1 mini です。ですが、Gridfinity を存分に活用したいと考えているかたには、最初から中型サイズ(21 cm 四方以上の平面)の3Dプリンターも検討に値します。
🔶 中型プリンターのおすすめ機種
中型機では、Bambu Lab社 - A1・P1S・X1、PRUSA社 - Original PRUSA MK4 などが挙げられます。
中型機種になるとA4用紙の短辺 (21 cm) 以上のサイズの立方体をプリントできますから、造形できるモノの種類がグッと広がります。
またP1SやX1、MK4は、プリントできるサイズだけでなく、使える樹脂素材も豊富です。
曲げに強いPETG樹脂や、LEGOにも使われているABS樹脂、日差しや雨などの耐久性が高く自動車にも使われているASA樹脂、サングラスや防弾器具などに使われているポリカーボネート、その他のカーボンファイバー・グラスファイバー混交樹脂などなど…。
レゴなどの射出成形で作った樹脂製品と、家庭用3Dプリンターで作った積層型の樹脂製品とでは、同じ樹脂でも強度や特性が異なります。それでも、上記の樹脂が使えると、作れるモノの幅が格段に広がります。
なお、私自身は Original PRUSA MK4 がメイン機種です。2024年8月、後継機種のMK4Sが発表され、日本にも入荷しはじめました。私個人としては、MK4Sが一押しです。
理由を挙げればキリがありません。自分が数年使ってきて信頼しているブランドの機種である点、自分が造形スピード以上に精確で美しいプリントを重視している点、使用者の健康面で安心できる点、などがあります。
一方、2024年現在の日本では、空前のBambu Labブームです。実際、Bambu Labのはどれも良い機種だと思います。
3Dプリンターを、技術者が苦労しながら使うプロツールから、ボタンを押すだけでよい「家電」にかなり近づけました。
SNSや身近に、同じ機種を使う人が多いのもアドバンテージでしょう。
そのほか、例えばCREALITYやFlashForgeなど、Bambu Lab、Prusa以外にも良い3Dプリンターメーカーは多数ありますが、紹介すると話が尽きないので自重します。
🔶 3Dプリントの設定について
その3Dプリンターのデフォルト設定で問題ありません。BaseもBinも「サポート」は不要です。
高速でプリントする設定だと、造形時にブレて寸法誤差が大きくなり、スペーサーやBinがハマらなくなる可能性があります。
なので、その機種の標準的な速度でプリントすることだけ気をつけてください。
🔶 使用する樹脂素材について
BaseもBinは、もっとも一般的なPLA樹脂でプリントしてOKです。ただし、PETG樹脂の方がたわみなどに強いので、BaseだけでもPETG樹脂でプリントしていおいた方が良いかもしれません。
どのメーカーの樹脂を使うべきか。Bambu Lab や Prusa から販売されている純正樹脂は品質が高いのですが、やや割高ではあります。
下記に挙げるフィラメントメーカーの品は品質が良く、使っているユーザーも多いので、おすすめです。
なお、スプール(リール、糸巻き)は、紙製よりプラスチック製の方が回転が滑らかでプリントの失敗が減ります。とはいえ、下記の品は紙製でも品質が高く、SNSで見かける失敗事例も少ない印象です。
色については、メーカーによっては鬼門の色があります(なぜかその色だけ失敗率が高まるなど)。そのあたりの情報は、経験豊富な先輩3Dプリンタラーと仲良くなって知っていきましょう。黒色は、ほとんどのメーカーで無難です。
§7. おわりに
この記事では、PREDUCTS社が販売している引き出しシリーズ Drawer に最適な収納システムとして、Gridfinity を紹介しました。
具体的な導入事例や自作のスペーサーを紹介し、3Dプリント用のデータも無償公開しました。
あらためて、Drawer用ベースプレートと治具の3Dデータセットを記載します。
たかが長方形のスペーサーではありますが、この記事を含めてかなりの労力をかけました。
本記事や3Dデータがお役に立ちましたら、記事への投げ銭や、SNSでの拡散をしていただけますと励みになります。よろしくお願いいたします。
引き出し収納達人への道は、眼前に開かれています。
あなたと、あなたの引き出しに、幸多からんことを。
最後に、Gridfinitiyの世界は、PREDUCTS Drawerにとどまらないのです!
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