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『エクセルで学ぶ ビジネス・シミュレーション超基本』ーマーケ投資対効果、ゴールシーク、データテーブル、CHOOSE関数、LTVモデル
買って良かったマーケティング本をリストしていくnote、その10冊目。
「投資対効果」分析ができなければ予算は預けてもらえない
信頼されるマーケターとは、どんな人物なのか。
・クリエイティブ含めアイデアをポンポン出せる企画屋、
・Webからのコンバージョンレートをひたすら追いかけるのが好きなデジタルマーケ職人、
・絶妙の人たらしで周りを巻き込み規模の大きなオフラインイベントを成功させる実行力を持った人…
さまざまなタイプがいて良い職種だと思いますが、その誰もに共通して要求されるのが、「マーケティングに使ったおカネの投資対効果をきちんとモニタリングし、改善につなげられる能力と習慣のある人」であること、だと思います。
これがあれば、経営者は安心して大きな予算を預けられ、マーケターは預かった予算を自分の裁量で(企画のたびにいちいち上に諮ることなく)タイムリーに施策が打てるからです。
収益計画を立て、その予実管理を行い、投資対効果を分析するのはビジネスの基本。とはいうけれど、マーケティング部門の仕事に紐づけて具体的にどうすればそれができるのか?
タイトルには「マーケ向け」とは書いてありませんが、まさにマーケター向けに、エクセルだけでマーケティングの投資対効果分析をできるように指南してくれるのが本書です。
ゴールシーク・データテーブル・CHOOSE関数などを使った収益分析
本書は単なる「エクセルの小技集」とは違い、収益分析、特にいくつかある仮説を何度も計算し直し検証する作業をラクにするエクセルならではの大技を、実際にかんたんな収益計画を作りながら手を動かして学べる構成になっています。
たとえばその一つが、「ゴールシーク」機能です。競合他社と競争になった場合、値引きキャンペーンを企画するのはよくあるシーン。「いくらまで値下げしたら利益がトントンになるのか」を把握した上でキャンペーンを打てるマーケターと、そうでないマーケターでは、説得力が違います。
普段1,000円で売っている商品を、来月の売上予算は守りつつ利益がゼロ、つまりセルG12=0となるまで値段を下げてよいとしたら一体いくらになるのか?エクセルなら自動的に・一瞬で求めることができます。
そんな機能知ってるよ、という人でも、マーケティングの戦略や打ち手を考える際、これを使って当たり前のように数字で人にプレゼンできている人とそうでない人には、大きな信頼の差があります。
このほかに、相関分析などの基本はもちろんのこと、感応度分析のための「データテーブル」、ケース分析のための「CHOOSE関数」を中心として、日々刻々と変わっていく売上と費用の変化から将来の収益の変化をシミュレーションするためのエクセルの使い方を漏れなく、ひととおり学ぶことができます。
サブスクリプションビジネスにおけるLTVを意識したマーケティング投資対効果の測り方
私が今この本を「買ってよかったマーケ本」としてオススメする理由は、単にマーケ担当として知っておくべきエクセルのテクニックの本として、ではありません。
オススメする一番の理由は、ビジネスがサブスクリプション化する今の時代に即した収益モデルを前提に、マーケティングの投資対効果を測ろうと提案している点です。
マーケティング利益を考える一番シンプルな計算は、
「顧客単価 − マーケティング費用」
です。たとえば1万円の広告宣伝で3万円の商品が売れたら、このマーケティングから生まれた利益は2万円となります。
ところが、上記の計算では1つ抜けているポイントがあります。それは、リピーターなど継続利用が含まれていないということです。この継続利用は、マーケティングの投資対効果を考える上で、非常に重要です。(P162)
つまり、
マーケティング利益
=1顧客から得られる利益 × 顧客獲得数
=(LTV − マーケティング費用 − 原価)× 顧客獲得数
であり、この「LTVモデル」を意識して収益予測をし施策を考えることこそが重要なのですが、すでにサブスクリプションビジネスが本格化した今でさえ、マーケ部門が具体的にどうLTV(Life Time Value)をモニタリングしていけばよいかについて教えてくれる本は、なかなか見かけません。
実際、このLTVを具体的に求めようとすると、エクセル作業の積み重ねは膨大なものになります。その作業をもっとも効率的に行う具体的手法とともに、重要性を体感させてくれるのは、唯一本書ぐらいだと思います。
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