XGIMI HORIZON PRO 4K プロジェクタの明るさとヌルヌル感は異常
テレビ不要の時代においても、映像再生機器は必要
スマートフォンが普及し、YouTubeやNetflixのような動画アプリもメジャーなものになって、テレビを自宅に置かなくなった方も増えました。我が家でも、2011年のアナログ停波以降、テレビ受像機というものを一台も購入せずに今に至っています。
とはいえ、映画鑑賞や家庭用ゲーム機で遊ぶ場合など、大画面で映像コンテンツを楽しむための映像再生機器が必要となることはあります。
そんな時に、我が家では必要に応じ、プロジェクターやPC用のモニターディスプレイを利用してきました。中でも大当たりだったのが、2017年11月に購入したBenQ のプロジェクタ HT2150STでした。
・フルHDの解像度
・2200ルーメンの明るさ
・低遅延
を売りにし、NetflixやAmazon PrimeのHD画質、PS4やNintendo Switchぐらいの性能・fps値のゲームを投影するのであれば、今でも十分に楽しませてくれるプロジェクタです。
ところが、近年だんだんと4K高解像度・HDRの映像コンテンツが出始め、せっかくApple TV 4Kを購入しても、その性能をフルに発揮できずにいました。
4Kで最もコンパクトなプロジェクタを求めて
そこで今回、4年ぶりに新調したプロジェクタがこちら、XGIMI HORIZON PRO 4Kです。
4Kプロジェクタもピンキリです。15万円〜30万円ぐらいの価格帯にたくさん存在する家庭用4Kプロジェクタの中で、本機に惹かれたポイント、それは「コンパクトであること」でした。
我が家のリビングは天井が高く(5m超)、プロジェクタの吊り下げが不可能なため、必然的にテーブルの上か専用のワゴンか何かに置くしかないのですが、プロジェクタを買ってみて初めて気付かされる厄介な点が、そのフットプリント(設置面積)の大きさです。一度設置すると早々動かさないものだけに、多少性能が落ちたとしても、小さくできるものであればしたい、という希望がありました。そもそも、大画面テレビを購入しなかったのも、置き場所を固定的に占有されたくないためでした。
その点、このXGIMI HORIZON PROは、4Kかつ2200 ANSIルーメンという基本性能を満たしながら、設置面積は208.4 x 218.4mm、一般的な4Kプロジェクタの約4分の1程度のフットプリントしかありません。しかも、別売りではありますが、このプロジェクタを宙に浮かせる専用のスタンドまで用意されていました。
4Kプロジェクタの中で、最もコンパクトであること。ほぼこれだけの理由で購入を決めたと言っても過言ではありません。
異常な明るさ
購入・設置をしてみて、期待通りのコンパクトさだったのはもちろんですが、実際に映像を鑑賞して驚かされたのは、投影画面の異常な明るさです。
リビングの白壁は140インチぐらいのサイズを確保できる面積があり、以前からスクリーンを使わずにここに投影して映画等を鑑賞していたのですが、XGIMI HORIZON PROに変えると、その白壁がまるで発光体となったかのように壁の向こう側から思わず目を細めるほどの眩しい光が差してくる、不思議な体験に変わりました(動画のクオリティをiPhone画像で伝えるのは無理がありますが、雰囲気だけでもということで一応貼っておきます)。
このプロジェクタのランプの基本的性能もさることながら、HDR(ハイダイナミックレンジ)コンテンツではさらに顕著で、メーカーとしてもかなり「明暗差」にエッジを効かせたチューニングで再生させているように思われます。
明るさによって心が動かされる影響は大きく、映画の醍醐味が増したな、と率直に感じました。まだ若い頃に、初めてウーハー付きのサラウンドシステムに接続して映画鑑賞したときに似たインパクトがあります。
異常なヌルヌル感
さらにしばらく鑑賞して気づいたのが、見慣れた映画を見ているはずなのに、映画特有のフィルムっぽさが全く消え、高性能なミラーレスデジタル一眼で撮影された、最新のYouTube動画を見ているかのようなヌルヌルした映像になっている、という点でした。
当初、これが4Kの映像体験からくる感覚なのかと思ったのですが、しばらくプロジェクターの設定画面からさまざまなオプション機能をON/OFFし、映像を見比べてみて、実はXGIMI独自の「動き補償」技術の効果であることわかりました。この機能をオフにすると、明らかに今まで見ていた映画の雰囲気に戻るのです。特に、コマが目視しやすいアニメなどでは、効果が顕著に感じられます。
ご存知の方も多いように、映画は通常24fps、つまり一秒間に24コマの絵が動くことで動画となるように撮影されています。一方、テレビでは30fps、最新のYouTubeコンテンツでは4Kに加えて60fps、つまり一秒間に60コマで動くようになっているので、より動画がスムーズに見えるわけです。
XGIMI社プロジェクタは、この動き補償技術によって家庭用プロジェクタにつきものの残像感を消去した上で、AIでフレーム間の差分を埋める処理をしているようです。AV機器におけるこの手の補正機能はしょせん子供騙し・気休め程度のものが多いので、購入前の検討段階では気にもとめていませんでした。しかし、本機で実際に設定をオフ→弱→中→強と変えるたびにヌルヌル加減がガラッと変わるのを目の当たりにし、同社の技術力の高さに驚かされた次第です。
その他にも、
・ボタンを押してから6秒で映像が立ち上がる高速起動
・圧倒的な低騒音(プロジェクタ特有のファンの風切り音がしない)
・リモコン含むハードの質感・UIなどソフトの操作感が高級機レベル
などの特徴を持ち、コストパフォーマンスはかなり高いと言って良いでしょう。
いくつかの注意点(2021.10.13追記)
基本的には手放しで褒めたい本機ですが、XGIMI HORIZON PRO 4Kをご購入検討される方向けに、一応注意点もお伝えしておきたいと思います。
まず第一に、メーカーのXGIMI社自体が中国発のベンチャーであるという点です。SONYやEPSONなどの老舗国産メーカーの安心感や、新興勢力でもBENQなど近年実績を積み重ねたメーカーと比べると、数年間使った時の故障率、保証対応などは全くもって不明です。なので、私は日本正規代理店の株式会社ビーラボさんのサイト(https://glimpse.jp/)で購入しました。
ついで、本機の売りとなっているHarman Kardon社製スピーカーのクオリティについて、これは正直あまり期待しすぎない方がいいと思います。プロジェクタ内蔵のスピーカーとしては音のボリュームや厚みはあるほうです。しかし、サイズからくる品質限界は自ずとあり、「これ一台でホームシアター」にはなり得ません。折角の映像クオリティを活かすためにも、別途オーディオとの接続は必須であると考えてください。この点、Apple TV 4Kをお使いであれば、AirPlayでAirPods Maxに無線接続し、Dolby Atmosで視聴するというのがベストな選択肢でしょう。個人的にはHomePodステレオペア出力もぜひ体験いただきたいところですが。
最後に外部接続機器との連動について。上述のとおり私は映像インプットソースとしてApple TV 4Kを利用しています。本機にはAndroid TVが内蔵されていて、単体でアプリからも映像を再生できるのが利点である反面、私のようなユーザーはApple TV 4Kをリモコンで立ち上げたあと(電源オン/オフは連動)、外部ソースへの接続を選択する一手間が発生しています。プロジェクタ側のソフトウェアでAndroidのホーム画面をスキップすることはできるはずなので、メーカーにはぜひご一考いただきたいところです。→【追記:2021年10月のアップデートで解消しました!AppleTVのリモコンで電源をオンにすると、XGIMIの電源も連動してオン、その後2秒ほどして外部HDMIのAppleTVに自動で飛んで接続してくれるようになりました。】