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世界トップの生産性向上系YouTuberが愛用するツールとその使い分け

ケンブリッジ大学医学部出身の才人は、複数の生産性向上ツールをどのように使い分けて成果を生み出しているか

生産性向上系YouTuberとして著名なAli Abdaal氏。彼が構築した「第2脳システム」を、ノート術系YouTuberのTiago Forte氏が本人をインタビューし、一枚の図にマッピングして無料公開しています。

Ali Abdaal's Second Brain Map 2022.png

登録者数300万人を超えるYouTubeチャンネルを運営するAli Abdaal氏は、ケンブリッジ大学医学部在学時より、iPadをはじめとするガジェットとNotability等のアプリを活用した勉強法の紹介を中心に配信をスタート。卒業後も、勤務医を兼業しながらヒットコンテンツを生み出してきた才人です。

Ali氏自身のチャンネルでも、こうした生産性向上ツールの紹介・使い方について、いくつもの動画がUPされています。しかし、そうした複数のツールを実際にどう使い分け、情報を統合して成果に繋げていくのかといった全体像については、これまで詳しく語られることはありませんでした。

冒頭で紹介したTaigo Forte氏の動画とマップは、世界有数のYouTuberが具体的にどのツールを使い、どのように情報をインプットし、アウトプットまで持っていくのかを、

  1. CAPTURE(収集)

  2. ORGANIZE(整理)

  3. DISTILL(蒸留)

  4. EXPRESS(表現)

の4つのフェーズに分けて明らかにした貴重なインタビューとなっています。ノートテイキング術に興味がある方は、動画と合わせてご覧になることをお勧めします(初めて見た方は、頭の回転が速いAli氏の倍速再生並みの早口に驚くかもしれません…)。

Ali氏のツール活用テクニックとそのエッセンス

(1)CAPTURE(情報収集)フェーズでは、ツールの数を絞らない

まず、マップ画像と動画での氏の説明を見ていて気づく特徴は、CAPTURE(情報収集)のフェーズにおいては、

  • 紙の(物理)ノート

  • Apple 標準メモアプリ

  • Kindle

  • Instapaper

  • Reader

  • Readwise

  • Roam Research

  • Day One

  • Cleanshot

  • Todoist

  • Otter

と、たくさんのツールにCAPTUREした情報が分散してしまうことを厭わない点です。

私のような一般人のノート術では、効率化・省力化ばかりに意識がまわり、後々発生するであろう転記やコピペを避けようと、ツールを無理やり一つに絞ろうとしてしまうのが普通だと思います。

そこをはなから諦めているのが新しい・潔いところです。

(2)CAPTURE(情報収集)フェーズ以降、ORGANIZE(整理)フェーズからはツールを絞り、DISTILL(蒸留)の品質を上げる

氏がそうしてCAPTUREフェーズで複数のツールを使い分けていたのとは極端に対照的なのが、ORGANIZE(整理)→DISTILL(蒸留)フェーズで用いるツールの少なさです。

このフェーズでのAli氏は、

  • Roam Researchに情報を集約

  • Notionで彼が抱える動画製作チームとの共同作業のための情報共有

をしています。

Roam Researchは日本ではまだマイナーなツールです。いわゆるネットワーク型のノートツールであり、「情報」と「情報」のつながりをビジュアルで可視化することで、アイデアを創発できる点に特徴があります。もう一つのツールであるNotionは、日本でも愛好者が多数いますので説明不要でしょう。

ここで注目すべきは、Ali氏はRoamやNotionをCAPTURE(情報収集)ツールとしては極力使わずに、Roamは情報を整理するツールとして、そしてNotionはチームメンバーへ整理した情報を共有するツールとして、それぞれ限定的に使っている点です。

ふつうなら、最初から情報を分散させたくない、できるだけひとまとめにしたいがために、Notionのような多機能ツールをCAPTUREフェーズから統一的に・一気通貫で使えないかと考えてしまうのが人情です。

しかし氏はそれをここでもグッと堪え、CAPTUREした情報を一手間かけてORGANIZEし、RoamやNotionのような多機能ツールに転記しながらその過程を噛み締めることで、品質の高いアウトプットにつながるDISTILL(蒸留)が行われていることが分かります。

(3)EXPRESS(表現)フェーズは「扱いやすさ」でツールを選ぶ

最後、成果物に仕上げるEXPRESS(表現)フェーズでは、一転して多機能性は求めず、いつでも・どこでも、思いついた時にすばやく立ち上げて使えるツールが重宝すると言っています。

どの端末からでもアクセスでき、書き込んだ情報がクラウド上でどの端末からも閲覧・更新・修正できることが重要になります。

この点では、生産性向上を追求しノートアプリを多数試してきたAli氏をもってしても、結局のところ

  • Apple 標準メモアプリ

が一番使いやすいとのことでした。

Ali氏が課題視するRoamの欠点は、Obsidianで解決可能かも

4年前にAli Abdaal氏の動画に感化され、iPadベースの手書きノートアプリの一つNotabilityと心中することにした私。

その氏が、気がつけばいまや紙のノート以外では手書きを捨て、テキストジャーナリング中心のノート術に移行していたのには、かなりショックを受けました。一方で、システム全体の完成度の高さはさすがだなと。

そうして変化し続けるAli氏の最新のノート術から良いところは取り入れてみたいと思っているものの、氏が課題視しているRoamの欠点の多くは、まだマイナーながら注目株と言われているObsidianに置き換えることで解決可能なのでは、とも思いました。

Roamは、ノートデータの全てをクラウド上に置くサービスです。そのため、ノートデータへのアクセスとローディングに必ずワンクッションが発生し、書き込みたい時・閲覧したい時にすぐにアプリが起動しないという欠点があります。

氏はこの欠点をApple標準メモを併用することで補おうとしていますが、Obsidianであれば、ファイルデータをローカルに置きつつ、そのファイルデータをiCloud経由でバックグラウンド同期できる作りになっているので、氏がRoamで課題視していたストレスは発生しません。

CAPTUREフェーズは氏のようにさまざまなツールを臨機応変に取り入れつつ、Roamの欠点を補うObsidianを使うことで、ORGANIZEから最後のEXPRESSフェーズまでを一つのソフトウェアに統一することができ、情報活用がよりスムーズに進むのではと考えています。

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