アニメ×NFTの可能性と課題についてイチファンが考えてみる
唐突ですが、
いやー、盛り上がってますよねNFT!
2年ぐらいに前に社内で「NFT可能性あると思うんだよねー!」みたいな話をしたら、後輩から「いやー、あんま興味持てないんすよね、NFT」と言われてシュンとしたのはいい思い出です。
まぁ今更NFTとはなんぞやとか、NBA Top Shotがヤバいとか、Hashmaskが凄いかとか、なんでこんなに盛り上がってるの?などのお話は各所でされているためここでは置いといて、アニメとNFTについて徒然書いていきたいと思います。
※今の盛り上がりに対して「過熱気味だ」とか「本質的な価値~とか」を議論するつもりはありません。どこまで行っても感性の世界でしかないと思っている(暴論)ので、いくら高値でも買いたい人がいるならそれが適正価格です。知らんけど。
※個人クリエイターさんの新しいマネタイズ手法としてNFTは可能性あると思っていますし、そこに取り組んでいる人も応援しています!日本のイラストレーターさんは世界的にもめちゃくちゃハイクオリティな人が多いと思っているので。が、その話も今日は一旦置いておきます。
アニメ×NFTの本命
いきなり結論ですが、個人的なアニメ×NFTの本命はIPの所有権の小口化と思っています。製作委員会に代わる一つのモデルになり得るポテンシャルを感じています。
また、小口化するだけならFTでも事足りるんですが、例えばシリアルナンバー入りにするなどオタク心をくすぐる設計とするならNFTの方が相性いいかなーと思っています。
ここで議論として出てくるのは収益分配型とするか、特典付きの会員権にするかですが、NFTアートの過熱ぶりをみるに、それなりに投資的要素があったほうが大きいお金が入ってきやすいのかなと最近は考えておりまして。そうすると収益分配型になるのかなと考えています。今は。
収益分配型のいいところは、作品の盛り上がりにより金銭という具体的なメリットがファンにも還元されるところです。対象作品のNFTの価値が上がればホルダーの方にとっては強いメリットになるため、ファンが頑張って布教します。
さらに言えばアニメの製作途中から制作物をNFT(これは所有権とかじゃなくて一点物の作品)として配布すれば、発表前からマネタイズが可能になるのではとも思っています。(まぁこれは収益分配型だろうが会員権だろうがどちらでもやればいいですね)
IP小口化の課題
では上記実現に向けた課題ですが、一つはライセンス、そして嫌儲文化、最後に既存モデルの壁というのがあると思います。それぞれお話ししていきましょう。
ライセンス取得
やっぱり一番の課題はライセンスかと思います。収益分配型のNFTは証券性ありと判断されて(多分STOに分類される)、そもそも募集するのにライセンスが必要になってくる可能性が高いです。
アニメですと30分1クール製作するのに2億~3億かかると言われています。ですのでそれだけの金額を集めるとなると私募では難しく、1億がMAXにはなってしまいますが第一種少額電子募集取扱業者又は第二種少額電子募集取扱業者当たりが必要になってくるかと思います。
ただ、これらのライセンスを取得するのは言うまでも無く難易度高いです。難易度も色々あると思いますが、個人的には取得までにかかる期間と目利き力の証明が特に難しいのではと考えています。
まず期間についてですが、申請してから取得するまで普通に年単位で時間がかかります。その期間上記のようなNFTの発行はできないので、ライセンス取得するまで生き残るための金策は必須です。そしてこれだけ動きの速いクリプト界隈ですから、数年待ってようやくライセンス取れたぞ!!では時すでに遅しです。
続いて目利き力についてですが、投資家保護の観点から目利き力はライセンスの審査において重要なポイントとなります。ただ「必ず当たるアニメを見極める方法」なぞ皆無で、そんなものがあればアニメはもっと盛り上がっているはずです。なので、ここを金融庁や財務局に高い説得性をもって説明しきるのはめちゃくちゃ難易度高いんじゃないかと思います。
嫌儲文化
多分ですが、表立って収益分配型のアニメみたいなプロモーションをしたら100%叩かれます。ファンがつきにくくなって、信者扱いされたりする未来が見えます。
また、この辺はIPを持っている側もとても意識されていて、さらに言えば「お金の無い中高生にも平等にコンテンツを広めていきたい」という意識が強い部分もあります。ですので、アニメというコンテンツにお金というものがちらつくことを嫌がるという課題もあるでしょう。
既存モデルの壁
これは身もふたもない話なんですが…一般のアニメファンから1億集めるような作品って恐らく監督が凄いとか作画陣が豪華とか声優がめちゃ有名とか、そういう要素が必要になってくると思うんですね。ですがそういう作品って今の資金調達モデル(製作委員会方式)で普通にお金集まっちゃうんですよね。そしてそっちの方がアニメ作品として成功する確度が高い。商品化のノウハウも持ってるし、ライセンスを活用した商品が売れてほしいので、その会社の宣伝費を使ってアニメを宣伝することもできる。
となると、ここまでの課題を解決してまで本当に収益分配型のNFTを発行するメリットある?となると茨の道だなぁ…と思うわけです。
それでも応援したいプロジェクトたち
上記のような状況から、今の日本では単純に購入として扱うNFTが多いです。購入になってしまうとサイズは少し小さくなってしまうのですが、ただそれでも個人的には特にAniqueさんやGaudiyさん、スタートバーンさんに期待しています。
何故かというと、上記の3社はすでに出版社に食い込んでいるからです。私は日本のコンテンツ力の源泉は漫画および漫画家を育てることの出来る出版社にあると思っていて、実際世界的に有名でお金を稼げている作品であるドラゴンボール、セーラームーン、ナルト、ワンピースなどは全て漫画原作です。最近破壊的な興行収入を記録した鬼滅の刃も漫画です。漫画は凄いのです。あの文化的にプライドの高いフランスにおいて『MANGA』が言語として認められているぐらいです。漫画は凄いのです。
話は脱線しましたが、そんな出版社に食い込んでいて注目しているのは上記の3社です。
Aniqueさんは攻殻機動隊を始めとしていくつも有力なIPを扱っていますし、何より私はAniqueさんの出す企画が大好きで、特に「五等分の花嫁」の公式パートナー企画は本当に最高だと思いました。漫画のキャラクターのパートナーになったという事実がブロックチェーンに記録されるとか、なんてロマンチックなんだろう!と。「XXは俺の嫁」がこんな形で実現されるなんて!その手があったか!!と非常に衝撃を受けたものです。
ただコンテンツをNFT化するだけでなく、そこにオタクが本当に欲しいモノを載せる企画力があるのがAniqueさんだと思っています。
Gaudiyさんは約束のネバーランドというIPを扱っていて、更に当該コンテンツを中心としたコミュニティ運営を行っているのが一番注目できるポイントかと思います。
私はアニメの新しいマネタイズ手法としてコミュニティという要素は外せないと考えていますが、どういったコミュニティ運営が正解かという点はやはり実際に運営している会社にしか分からないですよね。
そういった中で、かなり強いIPである約束のネバーランドというものを中心としたコミュニティ運営に携わっているというのは大変大きなアドバンテージになるかと考えています。
スタートバーンさんは何よりワンピースを獲得したことが凄いですよね!ここまで世界的に有名、かつ現在も連載が続いているIPを取れたのは本当に素晴らしいことだと思います。
スタートバーンさんは元々アートにNFTタグをつけるソリューションを展開していましたが、漫画よりも"固さ"が求められるであろうアート業界において一定の実績を持っていることが評価されたのだと思うのですが、日本一と言っていいIPをNFTに載せた実績は本当に凄いことで、尊敬すべきことと思います。
ということで…
アニメのIPの所有権を収益分配型のNFTで小口化するのがアニメ×NFTの本命と思いつつ、課題もそれなりにあるよという話をしてきました。また、その中でも出来ることを進めている日本のプロジェクトや企業もあって、そこに非常に期待しているし応援しているという気持ちも書いてきました。
※アニメという枠を外すとNFT関連で魅力的なプロジェクトをやっている日本の会社はもっとあるので、そこはまたどこかで紹介するかもしれません…!
NFTは今大変過熱していて色々批判的なコメントも見かけますが、コンテンツの可能性を広げることのできる技術であることは間違いないと思っています。そして日本が世界にマウントを取れる数少ない領域がアニメであって、そこでの活用がもっと広まっていくことで、私の大好きなアニメが今後も発展し長く楽しむことが出来ればと願いを込めて、この記事を閉めたいと思います。
そして出来ればナデシコの続編を…!