コートジボワールってそういう名前なのか!
「象牙の塔」という言葉がある。世俗から切り離された知的探究を行う場所を表す言葉、また皮肉に転じてその閉鎖性や世間からの乖離を表す言葉だ。この言葉に初めて出会ったのは幼稚園か小学校のころ、映画『ネバーエンディング・ストーリー』を観て、その中で登場したときだった。もちろん当時は「象牙」なんて言葉は知らなかった。ちなみに、象牙は1989年から原則として国際的な取引が禁止されている。
「象牙の塔」で検索すると、「フランス語の『tour d'ivoire』の訳」と出てきた。なるほど、字面から「tower of ivory」だと分かる。「アイボリー」は薄クリームがかった白の色名としてよく使われるので、聞いたことある人も多いと思う。
※「フランス語の訳」というのは、まあそうといえばそうかという感じだ。というのも、元々「象牙の塔」は聖書のソロモンの雅歌7:4、「Thy neck is as a tower of ivory;」に由来するからだ(旧約聖書なので元はヘブライ語)。紆余曲折あり、現代の用法で最初に用いたのがフランス人だった。
ところで、フランス語ではoiの発音は「ワ」だ。noir(ノワール;黒)が有名だろうか。とすると「d'ivoire」は「ディヴォヮーR」だ。
※あえてRと書いたのは、フランス語のRは全然「ル」ではないから。試しに「noir 発音」とかで検索して聞いてみてほしい。どちらかというと音としては「ハ」や「ガ」が近く聞こえる。つまり全然「ノワール」ではない……が、日本語として書くときは一般的に「ル」で書くことになっている)
ディヴォヮーR……、ジボワール!!(頭の中でゴー☆ジャスが地球儀を回し始める)
調べてみると、コートジボワールは「Côte d'Ivoire」と書くらしい。Côteは海岸、つまり「Coast of Ivory」というだ!! かつて、先住民が採集した象牙の貿易が盛んに行われた場所だったことに由来して、この国名になったようだ。
だからなんだではあるが、こういう知識が繋がる瞬間というのが、takubonnにとってはとても楽しいのだ。何度でも書きたい喩えなのだが、これは、いつも通らない小道をさまよい、偶然大通りに出たときの感動と同じだ。いつも大通りからなんとなく眺めては通り過ぎていた路地の向こうに、あの小道があることが想像できる。いつもの大通りが、ずっと素敵な通りになるのさ。