超能力を使いたくなるとき
きっと誰しもが一度は超能力が使えたらなと思ったことがあるのではないだろうか。それは空を飛べるようなものから、相手の心がわかるものとか、ありえなさそうなものから、ありえそうなものまで。
でも、残念ながら少なくとも僕には超能力を使うことができない。だから、使える人にとっては、どうでもいい話なのであるが、何かちょっと遠くにあるものをその場に引き寄せる能力でもないかと思うことがしばしばある。
僕は寒いのが苦手で、この文章もふとんの中で書いている。どんな作家だ!っとツッコまれるかもしれないが、でも、寒いものは寒いからしょうがない。しかも、もう7月であるのにである。ほんとこの寒さはなんとかして欲しいものであるが、でも、それはただ僕が寒がりなだけであるということでもあるのである。
そんな時に、机の上にケータイがあるので、それをとりたくなる。でも、布団からは出たくはない。でも、とりたい。そのせめぎ合いになる。そんな時に僕はもし超能力を使えたらな、と思うのである。
本当にくだらないことだけど、でも、間違いなく欲しい能力のひとつである。それはもしかしたら、空を飛ぶことよりも多く使う可能があるのである。とても地味でくだらないけど使用頻度としてはもしかしたらかなり多いかもしれないのだ。
超能力を使う人たちが出てくる漫画は多いが、そういう人たちって特別な時しか超能力を使っていなくて、でも、実際のところは一番くだらないことが一番使用頻度が多いのかもしれない。もちろん、そんなのは漫画にはなかなか描かれないのであるが。
そういう日常的なことが一番力を使うのかもしれない。もし魔法が使えたら大魔法よりもきっともっともっと小さい魔法を使うことの方が多いだろう。消費MPの話とかではなく、使う場面の問題である。
だから、実は僕たちが欲しいと思っている能力というのは、何かだいそれたことをする能力とかではなく、本当に数メートル先のものを瞬間移動させたり、ちょっと手が伸びてそこに手が届いたりとかそんな能力を欲しているのではないだろうか。
そして、そういう能力って実は多くの人たちが持っていたりするのではないかと思う。それは、その人にとってはもう当たり前すぎて無意識でやっていることかもしれないけれども、ちょっとした冷蔵庫の中にあるもので、美味しい料理を作れるとか、夜どんなに遅く寝てもだいだい同じ時間に起きれるとか、どこへ行ってもちゃんと地図が読めるとか、一見、そんなの普通の能力でしょ、て思うものも、できない人からみたらそれはまるで超能力のようなものであって、一生かかってもそれはできませんというかやりたくありませんというのがほとんどで、僕たちは知らず知らずのうちにちょっとした超能力使っているのかもしれない。
でも、どんな思っていても、やっぱりケータイが瞬間移動することもなく、手がゴムのように伸びるわけでもなく、温かい布団からでて、それを取りにいかなければならないのである。そうなると、せめてふとんから出られる能力がほしいものだと思う自分はただの超能力に憧れる人間なのか、それともただのダメ人間なのだろうか。