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「AIで簡単にサービスをつくる」とか言う前に

お久しぶりでございます。
noteの更新は久々ですが、「会社の副業化」は順調に進んでおります。


本題とは反れるので経緯は割愛しますが、会社の副業化を目指す上では「結局、なにか作らなきゃいかんなぁ」という結論に至り、ここ最近は「webサービスって自分で作れるんだろうか」という調査、勉強、検証ばかり行っておりました。(経緯はまたじっくりお話します)


僕自身は理系の大学院出身ですが、IT系の知識は浅く、もちろんエンジニアでもないため、できることと言えばnoteやYoutubeなどのプラットフォームに乗っかって何かを発信することくらいです。

とはいえ、最近はAIの能力が上がってきて「開発の民主化」なんて言われてたりするじゃないですか。

要は「アイデアや知名度はあるけど実装スキルがない」という人が、AIの力を借りて実装力まで手にすることで何でもできちゃうよね、みたいな流れです。

※この流れ、SNSの台頭によって起こった「発信の民主化」に似てるよね。


そして僕はと言うと、典型的な「アイデアは出せるけど実装力が皆無の人」なんですよね。口先だけのやつです。本当に使い物にならない人間でございます。

そんな僕にとって「開発の民主化」は革命的とも呼べる潮流なので、冒頭述べたように「IT知識皆無の僕は、AIの力を借りて何か作れるんだろうか」ということを数ヶ月かけて検証して参りました。

【参考】数日〜数週間以上触ったもの
chatGPT(課金)、Claude(課金)、Wordpress(一部課金)、Bubble、Adaro、Glide、Notion、Studio、Cursor、V0、Bolt、Vercel、Figma、miro、create.xyz…
※AIだけでなくノーコード系も結構みてた



そして結果は…

タイトルから察すると思うけど「まだ無理だな」が結論ですね。民主化にはまだ遠いです。

いや、幾分誤解を招きそうな表現なので補足させてください。


「AI任せのコーディングで超簡単にWebサービスを作れる!」
→嘘です。めっちゃ難しいです。難しいというより基礎知識が必須です。
言語、フレームワーク、ライブラリ、どうやって選ぶんですか。それはなぜですか(たぶんJavaScriptだけど)
ホスティング、バージョン管理、どうするんですか。自分で更新できますか。セキュリティもしっかり見てね。
ディレクトリとファイル構成、それで合ってますか。それはなぜですか。どのファイルがどの機能を担保してるかわかってますか。AIに「機能追加して」と言ったら破壊されませんか。
本当にAIに全部コーディングさせるんですか。それはなぜですか。決済はStripe、データはSupabaseでもいいんじゃないですか。


「コーディング、ドメイン取得、ホスティングまで可能なオールインワンAIサービス!これなら悩まない!」
→嘘です。仮にロンチしたとして、例えばデータ追加時にどこで何すればいいか分かってますか。もしかしてWordpressみたいなCMSをイメージしてませんか。「データの追加ボタン」とか「ソート、フィルタリング、削除」まであると思ってませんか。あれも作るんだぞ、自分で。


「プロンプトだけで数分でwebサービスを作れる!!」
→嘘です。基礎知識の習得をすっ飛ばせるわけではありません。
ただしあなたが「プロ驚き屋がAI任せで作ったToDoリスト」をwebサービスと呼ぶのなら、きっとそうなのでしょう。



というわけで、現状は「もともと基礎知識がある人が更に力を得た」という状況で、僕の頭の中にあるアイデアが実現される日はまだまだ遠そうです。

とはいえ、この数ヶ月は非常に勉強になりました。
特に「AIでなにか作る」とか考える以前の問題があるな、と気付けたのが非常に大きかった。


例えばAIに「写真を添削しあえるSNSを作って」とお願いしたとします。
すると最近のAIは賢いので「まぁそれっぽいもの」は一旦出てくるわけです。

でも作っていくうちに「AIになにか作ってもらう作業」よりも、「この機能いるんだっけ」とか「そもそも誰が使うんだっけ」みたいな思考作業の方が増えてくるんですよね。

たとえば写真添削SNSだったら、「フォロー機能っているのかな」とか「別にTwitterで良くないか」とか思ってくるわけです。つまり要件定義とかコンセプト設計と呼ばれる段階の話。

要件定義、コンセプト設計がおろそかな状態で実装に走り、「これ足して」とか「やっぱりこっち」を繰り返すと、やっぱりしょーもないアウトプットしか出てこないんです。それは相手がAIでも人間でも一緒ですよね。

頭では薄々分かっていたけど、自分で数ヶ月試行錯誤したうえで「やっぱりそうなんだな」と体感できたのは非常に良かったと思います。



誤解を恐れずに言うと、ここ最近でAI実装に飛びついた人って、たぶん「近道したがりな人」なんですよね。

そして「近道したがりな人」って、要件定義やコンセプト設計みたいな「そもそも論」もすっ飛ばしてる可能性が高いと思ってます。ええ、なぜなら僕がそうでしたから。


実は本業のほう(サラリーマンのほうです。ややこしい)ではUXデザイン、コンセプト設計、インサイト発掘みたいな仕事をしているので、実装以前の設計はそれなりにできている自信があったんです。

しかしいざAIで実装するとなると、「この機能いるんだっけ」「必要なデータは他にあるんだっけ」「そうか、これも考えなきゃいけなかったか」という点が随所に出てきて、まだまだ設計が甘かったんだなと大変反省しました。


そう考えると、僕らがAIを使って行うべきは「実装ではなく、どちらかと言うとコンセプト設計」なんじゃないかと思っています。AIに自分のアイデアを伝えて、ニーズ、インサイト、マーケット、マネタイズ等々、多方面から徹底的に叩いてもらったほうが間違いなく良いはず。

特に最近は実装フェーズにおけるAIの進歩が目覚ましく、半年も経てば「以前2時間かかっていた作業が15分でできる」という状態も珍しくありません。だからコンセプトを叩いている間にもっといいサービスが生まれ、実装が容易になる可能性もあります。


一方で「コンセプト設計」は基本的にテキストベース+α程度なので、現在のAIでも十分に活用でき、今後「今までやってた作業が10分で終わるようになった」ってことは比較的少ないかと思います。

なによりコンセプト設計を通してアップデートする必要があるのは「自分の脳みそ」なので、どんなにAIが進歩しても効率化には限度があるはずです。


なお当然ですが「絵に描いた餅」を避けるためにも、近年の実装技術を広く浅く調査することも大切です。

むしろ僕の場合は「実装を試みることで色々気づけた」という側面があるので、コンセプトと実装を行き来しながら知見を得ていくのが結局近道になるような気がしております。

言い換えれば、WhyとHowを同時に育てるイメージ。
このマインドが大事かなと。



というわけで、「AIでなにか作る」とか言う前に考えておきたい話でした。

「WhyとHowを同時に育てる」については、次回のnoteでもう少し深ぼっていきます。


【余談】

素人目線ですが、個人開発の民主化に関しては、AIよりもNext.js、Vercel、Stripe、Supabase等の「めんどくさかった作業を一括管理できるサービスの発達」のほうが寄与しているように思いました。

そしていつからJavascript一強になったんですか。もう全部JSで良くないですか。なんでもできるやん。みんな最近までRubyだのRustだの言ってたじゃん。どうなったの彼らは。

とにかく現在の個人開発環境がなんとなく理解できて良かったなぁと。今一番気になってるのは「Figma AIまだなの?」ってところです。



【ご報告】
実質月々50万円貰ってたので「会社の副業化達成」ということにしていいですか(ダメです)







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