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「昔はよく見てたけど最近忘れてた人」になろう

時は2019年。元号はまだ平成で、世界がコロナウィルスに出会うちょっと前。当時28歳、Youtubeを見ることにハマっていた僕は画面越しである人に出会う。

彼は料理が上手くDIYも得意、動画や写真の雰囲気も圧倒的に素晴らしく筋肉モリモリ。ついでに英語も流暢でインテリアセンスも抜群。あとピアノも弾ける。あと優しい。会ったことないけどわかる。絶対優しい。もう完璧。彼は一瞬で「憧れの人」になった。また同時に「俺は今まで何をしていたんだ」と呆然とした。

それからは彼の動画を見漁る日々。そして自分の平凡な人生と比較して少し落ち込む日々。憧れと現実が混ざった不思議な感情。

そんな中迎えた2019年5月、元号が令和に切り替わる頃。今まで足りなかった「最初の一歩を踏み出すきっかけ」として丁度いいと思い、「令和になるし、何かやるかー!!」と奮起してYoutubeを始めたわけです。

↑最初の動画です。やっぱり嘘ですごめんなさい、本当はこの前にレンズのレビュー動画をアップしてます。でも「レンズレビューなのに作例無し」という謎動画だったので申し訳無さすぎて消した。本当にすまなかった。



時は流れ2024年、Youtubeの登録者は1.3万人くらい。「5年かけてこれかい」と思う気持ちもあるけども、子育てしながらマイペースに進められたと思う。いわゆるインフルエンサー的な経験は2%くらい噛じる事ができたし、今もnoteで好き勝手発信して楽しんでいるし、なんだか「憧れたあの人の生活」とは似ても似つかないけれど、自分らしさが詰まったいい人生に近づいてる...気がする。よかったよかった、あのとき令和の後押しがなければ今頃どうなっていたことか…なんてことを考えつつ、ふと思い出したのです。

「あれっ、最近あの人どうしてるかな」と。

忘れてた。完全に忘れてた。あんなに好きだったのに、毎日全てを追っていたのに、なんで忘れていたんだろう。もしかして更新停止した?

親でもないくせに謎に心配になり、久々に彼のSNSを見に行くとちゃんと更新してた。むしろ数年前よりかなりカッコよくなってて、色々割愛するけど何かすげぇことになってた。安心すると同時に「やっぱり憧れの人を彼にして良かった」と上から目線の自己肯定をするのであった。

そして僕は再び思う。「こういう人になりたいな」と。
また憧れてしまった。どこまでカッコいいんだ彼は。

主体的に誰かの人生を変えるわけじゃない。好きに発信して、好きに生きて、勝手に誰かの憧れになったり、勝手に誰かの決断を後押しする。そしてその「決断した誰か」は、憧れの人を忘れて何かに夢中になる。

この「忘れる」ってのが凄く大事な気がしていて、これが人生なんじゃないかなぁと。お互いの人生がちょっとだけ、1mmくらい干渉して、その後また別の道に向かって旅立つ感じ。人生はその「1mm干渉」を無数の人から受け取ることで成り立っていると思うわけです。『彼』は僕に20mmくらいめり込んでたけど。


ずっと憧れてちゃダメなんです。ずっと追いかけちゃダメなんです。だっていくら憧れたって同じ人生にならないもん。「憧れは理解から最も遠い感情」と藍染様もおっしゃっています。やっぱり人は人。他人から与えらえるのは、せいぜい「きっかけ」くらいだと思うわけです。これは子育てにも言えることかもね。親離れ/子離れもだいたい一緒。

僕がYoutubeをやってて色々コメントを頂くことも多いのだけれど、特に嬉しいのは「Takuさんの動画みてカメラ買いました!」とか「vlog始めてみました!」みたいなコメント。これはシンプルに嬉しい。僕は自分のことを「憧れの対象足りうる人」だとは到底思っていないけれど、それでも彼らの「カメラを買う」とか「vlogを始める」程度のきっかけにはなっている可能性はある。

そして今、このnoteを書きながら僕は思うのである。「彼らはもう僕のことを忘れてくれただろうか」と。僕のことを忘れて写真に夢中になり、vlogで好きなことを発信できているだろうかと。いや、むしろ写真すら忘れて別のことをやっててもいい。写真より楽しいものが見つかったのなら全然嬉しい。

もちろん「前からずっと見てます」って人も最強に嬉しいですよ。いつもありがとうございます。でも僕が誰かの人生において「昔はよく見てたけど最近忘れてた人」になるのもカッコいいなって。忘れるということは、夢中になっている証拠だから。


もう僕のことを忘れた人が、ふと僕を思い出してこのnoteを読んだらなんて思うだろうか。

「Taku...? ああ、そういえば見てたかも。最近なにしてるのかな...どれどれ.…..うわっ、しょーもねぇポエム書いてやがる…(そっ閉じ)」

大変申し訳ない、こっちも色々あったんだ。
やっぱり僕のことは忘れてください。



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