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「世界りもーと街歩き」エストニア・タリン編 - 制作メモ
タイトルはパロディで、実在のあの番組との関係はありません。ごめんなさいw。
概要・趣旨
夏の真っ盛り2021年7月10日に、
エストニアの首都タリンの旧市街をカメラで「中継」しながらふらふら歩き、プロジェクターで投影したそれを見ながらおしゃべりしたり現地に質問したりして、まるでそこを一緒に歩いているかのような体験をしてもらおう
というのが趣旨でした。で、そこにもう一つの影の目的w
開発中のモバイル対応映像エンコーダーで高画質映像を中継してみる
というのも加わり、ちょっと大掛かりなことをやってみようと。スマホやZOOMでの海外街レポートはすでにたくさん溢れていますし、それらとは差別化したかったのと、「ほんとに歩いているかのような」錯覚をしてもらうためにはできるだけ高精細・高画質のほうがいいだろうと。
結果
アーカイブをご覧ください。前後はカットしていますが、それ以外は中継したそのまんまです(途中広場で15分ほど休憩しています)。
あ、この際ですのでチャンネルのサブスクもお願いしますw 。
パブリックビューイング会場w
の様子はこちら。
東京都調布市内のとある場所をお借りして、というよりもそこが主催の「世界と触れ合おう」ウィークの大トリのイベントとして共同で開催しました。
視聴中 -
会場オーナーと、弊社日本側スタッフによるスナックや飲み物の提供なども行い、まさに「座ったまま」「冷房の効いた室内で」「自分が歩いているかのような」体験を楽しんでもらえたと思います。
準備編
まず、「街歩き」を楽しむにはどんなコースが適切か、を検討しました。同じような風景が続いても面白くないし、やはり名所となっているところは紹介したいし、かつ「映像的に」素晴らしいところは見せたい。
ということで、タリン在住(合計)2年弱の筆者が、散歩に散歩を重ねてw 選定したコースがこちら。
タリンをよく知る人は「ああ」と思うでしょうが、要は一番目抜き通り(右端)から街の中心の広場を回って、少し小径に入ってから、古いお城のあるエリア(=現 行政府があるエリア)をめぐって、一番景色のいい展望台にたどり着く、というコースです。
アーカイブはまさにこの道の通りになっているのが分かると思います(わかるかなw)。
で、距離はあまりないものの、なんせ「中継」ですので、ほんとに可能かどうかを検証するために2度ほど、前半・後半を分けて、本番とほぼ同じ機材でリハーサルを行いました。そのリハーサル時に日本の会場との連絡や、質疑応答をどのように行うか、実際に大画面に映してみて「見るに堪える」ものか、などを検証しました。また同時に、その際の映像をまとめて少し編集し、雨天時のバックアップとしました。
さあこの辺から技術のお話です。
機器構成
図にしてみました。
言葉で説明すると、Blackmagic Design という映像機器メーカーの Pocket Cinema Camera 4Kという、映画・シネマ用のカメラ
に LAOWA というレンズメーカーの 10mm F2.0 (35mm換算20mm)の
超ワイドレンズを組み合わせ、それを映像安定化装置ージンバル・スタビライザーの DJI RSC2
に乗っけ、自社開発中のモバイル対応H.264エンコーダーから 4G WiFi ルータ経由でインターネット/YouTube Liveで中継する、というシステムです。
HDMIからUSB 3.0の映像ストリームへの変換には
を使用しています。
総重量はカメラ+ジンバルで3Kgぐらい、エンコーダ+モバイルバッテリー(20,000mAh)が1Kg弱。カメラには内蔵バッテリも装着していますが、USB PD対応12V出力ケーブル
を使用してUSB PD 15,000mAhのカメラ用モバイルバッテリから12Vを取り出して、自作変換コネクタ経由でカメラに供給しています。どちらのバッテリも、2時間程度の中継では半分も消費していません。ジンバルも15%ぐらいです。
全体はこんな感じです。
音声は、胸元で自分のガイド音声を拾うのに SENHEISER のワイヤレスシステム
を使用し、街の音の収音用にはビデオ用ガンマイク
をそれぞれカメラの別チャンネルに入力して、カメラからHDMIに出力したものを、上記モバイルエンコーダー内部でモノラルミックスしています(これは直前に急遽追加した機能です)。
映像解像度はフルHD/29.97P、ビットレートは4Mbpsでエンコードして送信しています。アーカイブを見る限り、1か所だけほんの僅か途切れていますが、それ以外は安定して配信できていたようです。事前調査では、建物内をのぞいて下り30Mbps/上り15Mbpsをコンスタントに確保できていました。(通信キャリアは Telia
を使用 - データ通信専用プリペイドSIMで、30日間20GBで15ユーロ、20GBまでは速度制限なし)
日本の会場からの質問や、中継が途切れていないかなどの連絡を行うインカム代わりとして、スマホでZOOMを使用しました。こちらは上記WiFiルータとは別回線/SIMを使用し、いざというときはスマホでのZOOM中継に切り替えることにしていました。幸いなことにその出番はなく、質問とその回答のやり取りに使っただけです(アーカイブは未収録で、最後の展望台にたどり着いた後に行っています)。
実際に歩いた正確なルートと、その距離はこちら。2Kmちょっと、という感じです。小さな街ですね、今さらながら。
反省点と改善点
アーカイブはほんとにYouTube Liveに流し込んだものそのものなので、画質などはこれを参照していただきたいのですが、ほぼ想定した画質・解像度は出せていると思います。特にカメラでLogガンマを使用できるので、ハイライト・ローライトともに階調が失われてないのが分かると思います(それぞれ緑の丸の部分 - HDMI出力時のLUTは最新V5を使用)。
ただ、人手が足りないwため、カメラの露出は絞り固定でシャッタースピードをオートにしています。もともと映画用のカメラで、オートの時は若干アンダー気味で制御しようとする傾向があるのと、自動露出を補正する仕組みがないので、シーンによっては(特に南に向いて歩いている場面)アンダー気味になっています。
この辺は、将来的にはカメラのリモートコントロールインターフェース(Bluetooth経由)を使って、何らかの改善をしたいです。
そして、もう一つは音声です。音声が、特に私のガイド部分がところどころクリップしたようになっています。これは実はワイヤレスマイクの過大入力でクリップしているわけではなく、エンコード時も問題なく、エンコードしたものをRTMPで送信するときだけ起きている現象で、直前に原因箇所が分かったものの、修正には至りませんでした。
そして、これはアーカイブの前後をトリムするときに気づいたのですが、
こんな感じで、YouTube Live側で「著作権のある楽曲」が検出されています。
実はこれは中継する際のかなりクリティカルな問題で、YouTube Live側で「著作権のある音楽をずっと流している」と判断されると、中継中でもいきなり音声が止められたり、場合によっては中継そのものが中断されてしまうことがあります。
今回も、かなり気を使ってはいたのですが、旧市庁舎前広場のお祭り会場でBGMとして流されていた、民謡調の楽曲が「ひっかかった」用です。音声はミュートされなかったようなので、著作権者が「止めろ」という指定をしていなかったと思われますが、もしそうじゃなかったら音声ミュートか中継中断だったわけで、ちょっと冷や汗ものでした。
この辺は今後の中継時に気を付けるポイントで、マイクの音量をワンタッチで下げる仕組みをエンコーダーのほうに組み込もうとは思っていますが、ただこのYouTube Liveの仕掛けもあまりフェアではないように思います。配信側・システムも何らかの対策を考えようと思っています(実はこれも次のビジネスのネタになるかなとw)。
なお、開発中のエンコーダについては、そのうち情報公開します。興味を持たれた方は、コメントで書き込むか、
info @ studiobluegreen.com (スペースは取り除いて)
あてにメールでご連絡ください。
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