ビジネスでの画像生成AI活用: 強力なメリットを手に入れる方法
発展を続けるテクノロジーの中でも、画像生成AIは特に注目されている。Stable DiffusionやMidjourneyなど、使ったことはなくてもSNSなどで名前を聞いたことがある人もいるのではいだろうか?
一方で、「なんでこんな話題になってるのか分からない…」「ビジネスにどう使えばいいのか迷う…」そんな考えもきっとあるはず。
そこで今回は、ビジネスシーンでの画像生成AIの強力なメリットについて詳しく解説していこう。
結論から言うと、画像生成AIはビジネスにおいて、生産性向上にコスト削減、新らしいビジネスチャンスの創出など現時点でもすでに複数のメリットをもたらす。
本当にそんなことが可能なのか?その辺りも事例を含めて解説していこうと思うので、ぜひ最後まで見てほしい。
ちなみに、前回は画像生成AIがどのように発展していったのか、その大まかな流れについて解説した。まだ見ていない方はぜひそちらも併せてご覧いただきたい。
では早速いこう。
ビジネスでの画像生成AIのメリット
改めて、画像生成AIのメリットについて書き出しておこう。大きく分けて以下の3点がある。
生産性の向上: 画像生成AIを使用することで、手動での画像作成や修正の手間を大幅に削減できる。
コスト削減: 高価なグラフィックデザイナーやモデルを雇う必要がなくなるため、長期的に経費を削減することが可能です。
新たなビジネスチャンス: 画像生成AIを活用することで、新しいサービスや商品を生み出すことができます。
最初の1点目についてはイメージがしやすいだろう。Stable Diffusion やMidjourneyといった言語モデル、あるいはサービスを使うことで、今まで手動で行なっていたサムネイルの作成、記事に挿入する画像の修正など、手間がかかるとされていた作業を大幅に削減することができる。
なぜなら、チャットに作りたい画像の指示文を送れば、ものの数秒でそれに沿うような画像を生成することができるからだ。
違和感のない画像にするためには指示文(プロンプト)をうまく調整する必要はあるが、ネット上でうまく画像を作っている人の意見を取り入れつつ使い慣れていけば、人が作ったのかAIが作ったのか見分けがつかないくらいの画像に仕上がっているだろう。そしてここまでの行程が全て、一人で実現可能な点がポイントだ。
2点目のコスト削減。これも画像生成AIの魅力の一つ。
これまではサムネイルや書籍の表紙にできるような画像を作ろうと思ったら、デザイナーや写真家に頼むのが一般的だった。当然、このような方々の作る作品には価値があり、私もInstagramで流れてくるデザイナーさんたちの作品にはいつも感動させられている。
一方で、すべてのオリジナルな画像を必要とする事業者が全て、人に頼みたいと思っているわけではない。
例えば、WEBメディアを運営している会社で、ほぼ毎日最新記事を投稿するような方針をとっているのであれば、一つ一つの記事に使う画像にデザイナーや写真家のようなプロを雇って作るのはコストが大きい。かといって、Adobeなどが配布している画像を何度も使い回すのは、記事に存在感が無くなってよくない。
「独自性は出しつつ、コストは抑えて画像を作れないだろうか?」そんな時に画像生成AIは役に立つ。
画像生成をAIに任せられるのであれば、人間がする作業は希望する画像を生成してもらうための文章をどうやって作るかと、できた画像をどこに使うか。大まかにこの2点だけだ。であれば、わざわざプロのデザイナーや写真家を雇わなくても、記事の内容に合っていて、独自性のある画像を作れるAIに任せた方がコストは大幅に削減できる。
繰り返しになるが、私は「デザイナーや写真家は必要ない」と言っているわけではない。彼らの作り出す作品はどれも素晴らしいし、彼らの感性や論理に基づいた作品は今後も絶対に必要となる。
その一方で、高いコストをかけてプロをわざわざ雇わなくても画像が手早く欲しいと言うニーズは確かにある。そのようなニーズに向けて画像生成AIは一役変えるだけの実用性を秘めている。そういう話だ。
最後の3点目。ビジネスチャンスの創出について。
これは今までの2点と密接に関わっている。つまり、生産性が上がってコストも削減できるのであれば、画像生成AIはもうすでに、人に価値があると感じさせるだけのポテンシャルがすでにあるということだ。ならば、これを活かしてビジネスに役立てようとする人が現れるのは当然のいえば当然だろう。
例えば、自社で作ったAIモデルでアパレルブランドの服を着せるよう画像生成したり、自分のモデル写真を数百枚撮っておき、それを解析した上で自分と瓜二つのAIモデルの画像を生成し写真集としてまとめたり、画像生成AIで作ったハイクオリティなAIモデルを3Dオブジェクト化してCMに起用したり。
ファッションに広告など、活用の仕方は無限にあるのだ。
ビジネスでの具体的な活用例
ここまで見てくれた方は、「画像生成AIってこんなにも使い道があるんだなあ…」と言うことがだんだん分かってきたと思う。
では、具体的にどんな使われ方をしているのか。それをビジネスの事例と併せて紹介していこう。
まず、画像生成AIの具体的な活用例として、例えばこんなものが挙げられる。
広告業界: 個別のターゲットに合わせたカスタマイズ広告の生成
ファッション業界: 顧客の好みに合わせたデザインの提案
不動産業界: 顧客の要望に合わせた物件画像の生成
特に広告とファッションについては、日本でもすでに活用された事例がある。
まずは2023年10月13日にお茶の会社でお馴染みの伊藤園が公開した新商品のCM。実はこのCMに登場する女性モデルが全てAIによって作られている。
伊藤園が公開しているこのCMのモデルは全て、AIによるモデルである。この完成度たるや凄まじい。
開発を担当したのはAI modelという企業。この企業は自社でAImodelを作成して、それをアパレルブランドのモデルとして売り出すというのを主な事業としている。
ここで使われている技術がまさに画像生成。自社の中でAIモデルを作り出すための指示文を考えるプロンプトデザイナーという人がいて、その人が言語モデルに対しより自然で違和感のないAIモデルを生成したり、アパレルブランドの提供する洋服にモデルをカッコよく着せるための文章作りを行なっている。
もちろん指示文だけではなく、言語モデルや、生成したAIモデルを自然に動かすための3G技術などいろんな要素がないとここまでの完成度は実現できないが、とにかく画像生成という技術をうまく利用すればこんなものまで作れてしまうということ。私も初めて見た時は衝撃だった。
次にファッションでの事例。これはタレントであり、経営者でもあるくりえみさんという方が発売した「自分に瓜二つのAIモデルで作った写真集」である。
これもなかなか衝撃だ。このくりえみさんという方はそれまでタレントとして活動していたが、キャリアを重ねていく中で「経営者としても活動したい」という思いがあり、数年前から美容商品の開発やエステ事業を開始。その中で、「タレントとしての活動も続けたいけど経営者としても頑張りたいから時間が取れなくて困っている」、そんなときに目をつけたのが画像生成AIだった。
くりえみさんはまず自分をモデルに写真を1000枚ほど撮影し、それをデータセットして画像生成を実行。結果、自分と瓜二つのAIモデルを作ることに成功した。見てもらえればわかるように、本物のくりえみさんとほぼ区別がつかないほど、完成度の高いモデルが作られている。くりえみさんはこの瓜二つAIモデルを使った写真集をAmazonで出版した。
ところがこの写真集、なんと発売から4日でAmazon側から発売停止措置が取られてしまい、現在は購入ができなくなっている。
原因はAmazonの方からは「コンテンツの規約違反」ということ以外詳しく教えられなかったとのことだが、本人がメディアでのインタビューで語ったところによると、「顔が童顔だったことで児童ポルノだと認識されてしまったのではないか?」とのこと。
つまり、AIを使ったことによる権利関係が原因ではないということだ。
それもそのはずで、何せこのAIモデルは他でもないくりえみさんご自身の写真から生成されたモデルであるから権利の違反になりようがないのも頷ける。
とはいえ、AIモデルによる写真集が販売停止されてしまったことは事実。これをどう捉えるか?
私個人としてはすごく興味深いし、今後もこの手の作品がもっと出てきて欲しいと思っている。なぜなら、私たちが作品が作品に求めるのは、それが良いものかどうかだけであって、AIで作られたかどうかなど関係ない。たとえすべての写真や文章がAIで生成されたもだとしても、作品として面白ければ、それは良いものであるし、価値がある。
メディアアーティストの落合陽一さんもXでこう呟いている。
私もその通りだと思う。
結論
このように、画像生成AIというのはビジネスの場でも価値を生み出せる可能性がある。くりえみさんのような失敗例もあるが、これは逆に画像生成AIを駆使する上でとても参考になる。そういう意味では成功とも言えるだろう。
とにかく、AIが作ったものであろうと、適切に活用することでビジネスの競争力を大きく引き上げることができる。そうなれば現代ビジネスにおける強力なツールとなることは間違いない。
なので私たちに必要なのはこの技術をまずは理解すること。そして試行錯誤しながら使ってみること。これに尽きる。
なので安価に使えるようになった今こそ、適切に活用し、ぜひ多くのメリットを享受できる人が増えて欲しいと思う。
私も今はChatGPTに使い慣れるための勉強している。初めての人でも、焦らず、一緒に少しずつ勉強していきましょう。
全ての知に「幸」あれ。