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こりゃーオレたちもロケット作ったほうが良くね?byフランス

※この記事は2022年4月17日にstand.fmで放送した内容を文字に起こしたものだ。


前回まで戦後のロケット開発がどう発展してきたかをアメリカとソ連に焦点を当てて解説してきた。

両者はその後もロケット開発を着々と進めていくのだが、現状を見るとロケット開発を行っているのは米ソだけではない。中国、欧州、日本、インドなど、先進各国でもロケット開発に乗り出している国は数多く存在する。
今回はそのうち欧州、特にフランスを中心としたロケット開発の歴史を簡単にさらっていこう。

1958年のソ連によるスプートニク1号の打ち上げ成功に衝撃を受けたのはアメリカだけではなった。戦後、欧州の大国として歩みを始めたフランスも即座に反応し、人工衛星を打ち上げるロケットの開発に乗り出す。

再三伝えている通り、ロケットの開発はミサイルの開発とほぼ同義だ。なぜなら、人類史上初の大型ロケットとしてドイツで開発されたV2ロケットは、もともとミサイルとして開発された歴史があるからだ。

また技術的な違いは大きく分けると、燃料を燃やす際に使う「酸化剤の量」と、ロケットの先端(フェアリングと呼ばれる)に積まれているのが「人工衛星か、弾頭か」の2つ。逆にこの2つの違いを無視すれば、全体の構造はロケットもミサイルもあまり変わらない、ということだった。
つまりロケットを開発できるということは、有事になったとき、敵地を遠距離から攻撃できる兵器も開発したことになるのだ。

宇宙開発という新たな産業の開拓と軍事的な懸念の両方に直面したフランスは「こりゃー俺たちも作ったほうが良くね?」となる。

そこでフランスは1959年、ミサイル開発管理機関(通称:SEREB)を設立して、様々な弾道飛行ロケットの開発・実験の結果、低軌道へ50kgの打ち上げ能力を持つ「ディアマンロケット」の開発に乗り出したのだ。

数年後には、フランス国立宇宙研究センター(CNES)が設立され、ディアマンの開発が本格的にスタート。そして1965年11月に、フランスは初となる人工衛星・アステリックスの打ち上げに成功する。これによって、フランスはソ連、アメリカに次ぐ世界で3番目の人工衛星打ち上げ国となったのだ。

独自の人工衛星を宇宙に送ることに成功したCNESは、他の欧州各国が宇宙開発に消極的だった中で存在感を大きくしていく。

ただ、フランスだけではアメリカとソ連の宇宙開発競争に太刀打ちするのは、人口や国土の面でもやはり困難だったので、フランスは欧州各国に提案し、1975年に「欧州宇宙機関(ESA)」が誕生した。2022年現在は22カ国が加盟している。

特に直近10年では、人工衛星打ち上げロケット「アリアンシリーズ」を開発し、欧州各国の企業が共同出資して設立されたアリアンスペース社」を通じて世界の民間衛星打ち上げ実績を着々と伸ばしている。

今年4月のニュースでもアマゾンとアリアンスペースが、開発中のロケット「アリアン6」で「プロジェクト・カイパー」の低軌道衛星を18回打ち上げる契約をしたことも発表しており、宇宙開発の裾野も広げている。

アメリカやロシアだけでなく、欧州の今後の宇宙開発も注目だ。

参考文献:ロケットの科学 改訂版 創成期の仕組みから最新の民間技術まで、宇宙と人類の60年史 (サイエンス・アイ新書)


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