霜降りミキXITの教材研究
今週も霜降りミキXIT面白かった・・・相変わらず録画して繰り返し見ています。この番組に又吉さんが出演なさることのエモさについては各所でもう散々盛り上がっていると思いますので、多くは語りませんが、すごくよかったです。この多幸感・・・。あと、見るたびに3組の芸人さん全員を好きになる。
さて、ペライチ恋愛小説のコーナー最高だったのですが、個人的にはタイトルと書き出しのコーナーが興味深かったです。タイトルと書きだしで、「きっとこんな内容なんじゃないかな~」っていう想像が広がり、又吉さんの解説とずれていても「そういう発想もあるよね!」という発見につながり、これ、国語の教材として使えるんじゃね?と思っていました。
例えば、私が興奮したのはりんたろーさんの「迷子」の書き出し。
「僕のそうさくねがいを出すことにした」って、「捜索願」が、平仮名なんです。
平仮名ってことは、「迷子」は「僕」で、小さい子だろう。幼い子が迷子になり、自分で自分の「そうさくねがい」を出す。迷子になっているのに冷静だ。きっと自発的に迷子になったのだ。迷子になる理由があったのだ。幼いけれど、賢くて勇気がある子だ。そして、自らのそうさくねがいを出すことで、捜索されたがっているのだろう。だれかに。保護者かもしれないし、行政かもしれないし、社会かもしれない。助けてほしいのかもしれないし、捜索されることで隠されている何かを明るみに出したいのかもしれない。
目だけギョロギョロ光らせた、やせっぽっちの小さな男の子が、とにかく自分の周りの世界に働きかけたくて最後の手段を使う。
その絵がパーンと浮かんで、すごく興味をそそられました。
一方、又吉さんはこの書き出しにミステリーやサスペンスの雰囲気を感じ取ったのですよね。「あれ、私の解釈とは違うな」と思う、この気付きこそ、複数人数で一つの物事を考える「集団の学び」のだいご味です。
書いた本人にとっての「正解」があるのかもしれませんが、一般的にタイトルと書き出しだけで内容全体を把握することはできないし、できたとしても、思いもよらない方向に物語が展開する面白さを否定していてナンセンスです。つまり、この「遊び」は、タイトルと書き出しを読んで自由に内容を想像して語っていいのです。「遊び」に参加する人の数だけ解釈が生まれ、それを発表しあうことで一つの言葉のもつ たくさんのイメージに触れることができる。他者が自分とは違う感性で「ことば」を扱っているという実感を持つことができますよね。
このような「鑑賞活動」は要するに「大喜利」なんじゃないかと思っています。大喜利を一人でやったってつまらない。一つのお題について何人もの人がそれぞれの答えを出すからおもしろい。他の人と違う答えの方が楽しいんだよ、という共通認識ができれば、生徒も怖がらずに自分の意見を発信できるようになるんじゃないでしょうか。
昂生お兄ちゃんのパリなのにペルーから始まる話も面白そうだった!又吉さんがすぐサッカーに発想を飛ばすのがサッカー経験者だなぁと思うし、うまくいかなくてバイトばかりするという話も又吉さんらしい。答える人のパーソナルな部分が出て面白い。私は筒井康隆の「旅のラゴス」のように、どこにも所属することのできない男が流離う話のような気がしました。パリの空とペルーの空は全然違くって、そこに哀しさがある気がする。
せいやさんのタコを踏む話は、どこでタコを踏むのか気になったし、兼近さんは少しはボケろやとツッコみそうになったし、亜生さんは2本撮りだからだよねと思いました。
ゲストの一応又吉さんが「先生」という立場なので、又吉さんの解釈に乗っかって「それが言いたかった!」と笑いを誘う場面もありましたが、実際の教室では教員の解釈は不要です。国語の読み取り問題ではないので、正解にこだわらなくてもいいと思います。しかし、中にはどうしても「正解」が知りたい生徒もいますね。幼いころから「正解」を答える子が「好い子」という価値観で生きてきたのかなと思う。あと、単純に思春期ってとにかくどこかに「正解」があるはずと思って生きているから、それはそれで眩しい。
いずれにせよ出演者の皆さんが楽しそうにしてらっしゃるので、見ていて本当に楽しいです。ありがとうございます。お体に気を付けてこれからもご活躍ください。
まさか粗品さんが官能小説でくるとは思わなかったし、最後相手が「彼」になっててナチュラルにBLになってて面白かったです。