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UTMB2024

今年も昨年に引き続き、2回目のUTMB挑戦。
結果としては26時間28分52秒。総合77位。
今年はホットウェザー(暑さ注意報)となり
去年よりも厳しいコンディション。
後半、脱水によりうまく走る事ができませんでした。

今回もトレーニング、現地での調整、レースの振り返りをしていきたいと思います。


レースまでのトレーニング

5月

Fuji100後のGWはしっかりと休養し
明けてからトレーニング再開。

5月はコーチングの人と一緒に
マンツーマンのトレーニング。
計3回。
長時間ポールを使い正しい動きで続ける。
ここで、思ったのがニューカーブを使い始めてから
上半身と下半身の連動性が良くなったこと!
ニューカーブが正しい動きを誘導してくれるおかげなのかもしれない。
ニューカーブすごすぎる。。(おい、いきなり宣伝かい笑

マンツーマンレッスン


そして合間に彩の国100マイル駅伝
フルトーンズメンバー精鋭3人で!
距離50km、獲得3,500mなのでそこまで疲労も残らず。
やっぱりレースは50kmくらいが体の負担が少なくて丁度良い笑

彩の国駅伝 
2022年サイラーTシャツ 3人お揃いはかなり奇跡

5月はFuji100明けにも関わらずしっかりと距離と累積を積むことが出来た。
UTMB4ヵ月前のベース作りとしては良かった。

5月のストラバまとめ

5月の主なトレーニング目的
①ニューカーブでポールワークに慣れる
②ショートレースで軽い刺激を入れる
③長時間低負荷でベース作り

6月

奥武蔵ロングトレイルにてニューカーブデビュー戦。
これは完全にニューカーブがハマった。笑
想定では17時間30分で見ていたけど結果としては16時間38分。
1か月みっちりポールワークした成果が出て良かった!
因みに奥武蔵ロングトレイルは
距離105km、獲得8400mという全然走れないコース笑
走力というより、奥武蔵特有の細かいアップダウンに適応できる山力が求められる。
あとポールワークも必須。

奥武蔵ロングトレイル

レースが明け、走力を高める為に峠走を開始
場所は秩父や、奥多摩。
この時期から気温や湿度も上がり峠走は中々ハード。
計3回。

奥多摩にて峠走。湿度との闘い。。

それと奥多摩でのロング走イベント
10時間にも及ぶロング走。登り6時間、下りは3時間で爆走。
下りみんな速かった笑
またニューカーブレンタルも大盛況!
実際にフィールドで試すとその良さがわかります。

雲取山でのロング走イベント
ニューカーブ大盛況!

6月は100kmのレース後もリカバリーは早く
距離、累積も5月より20%ほど増やすことが出来た。

6月まとめ


6月のトレーニング目的
①レースでのポールワークチェック
②峠走登りで走力強化
③長時間低負荷でベース作りは引き続き

7月

ここからいよいよ2000m以上の高山へ。

1週目 八ヶ岳
6月の疲労が出たのか、初日から非常にしんどかった。
結局強度はあまり高めれなかったが、距離と累積だけは積むことが出来た。
4日間で145km 7100m

八ヶ岳 
2500m超えると別世界

2週目 野沢温泉レース
UTMB前の最後の調整レース。
距離65km 累積4100m
ここで感じたのが、斜度7~10%の登りが弱いという事。
6月の中旬から峠走の登りを始めたが、正直足りてなかった。
特に3本目のゲレンデの緩い登りは、全然ダメだった。
悔いの残る走り。ニューカーブでなんとか乗り切る。

野沢温泉トレイル
そうすけさんめっちゃ速い笑

3週目 北アルプス
レース後、そのまま北アルプスへ。
7日間で160km 10000m達成。
レース後だったから、疲労はあったけどなんとかやりきる。
ただ絶景すぎて、止まる事が多かった笑
林道は走れたけど、稜線区間はあまり走れず。
持久力と高地順応。

笠ヶ岳 罪深き絶景

4週目 富士山一筆書きイベント
一筆書きイベント。しかしこの2日前に50kmの峠走LSDをやりすぎたのか、膝に違和感が出て3本目でエスケープ。泣
しっかりと調整して走らないと一筆書きは達成できないなと。
一筆書き達成された方おめでとうございます!

一筆書きイベント

7月は距離と累積を積むことが出来たが、
走力的な部分を養う事があまり出来なかったのが悔いが残る。

7月まとめ

7月トレーニング目的
①長時間での距離と累積をとにかく積む
②高地順応
③長い登りと下りに慣れる

8月

1週目 富士山 
この週は疲労が溜まっていたのか調子がイマイチ

思ったけど1週目は翌月の疲労を感じやすい、、
6月、7月もそうだった。
因みに去年は8月の1週目で無理をして体調崩したので、今年は抑えめに。

疲れたら休もう

2週目 富士山

1週目は少し抑えてだいぶ回復
2週目はずーみんさんやそうすけさんとトレーニング!
また親父の会の人とも同行させていただき、
この週はルートを変えて富士山に3回も登った。
一筆書きの無念を晴らす。笑

ずーみんさんと富士吉田ルート
親父の会の人たちと御殿場ルート
そうすけさんと須走ルート

3週目 奥多摩

シャモニーに向けての出発も控えここではレース必携品装備で走る。
がここで問題発生。
レース装備だと後ろが重くなりすぎて
急遽ハイドレーションからフラスクに変更。
直前でこれは大きな誤算。もっと前からレース装備で確認するべき
だった。。
フラスクだと前後のバランスが取れていい感じだった。
そういや去年のUTMBはフラスクだったじゃん。。笑

なんてこった、、

4週目 準備→日本出発

8月のトレーニング目的
①改めて峠走で走力
②富士山で長い登りと下りに慣れる
③必携品装備での確認


5~8月のトレーニングまとめと反省


今回は距離、累積ともにしっかりと積むことが出来た。
怪我や体調不良もなかった事に感謝。
しかし、UTMBを走ってみて走力が確実に足りていなかった。
特にポールを使用しないフラットや緩い斜度
また1~4月にどれだけ走力を高めておくか大事だと感じた。
その上で5~8月、ポールワークや長い登りや下りに対する耐久力を高められるか。

今回1~4月に走力を高められなかったので、そこを埋めるような
トレーニングを5~8月に取り入れられればもっと良かったなと。
ニューカーブを気に入ってしまった分、ポールを使ってのトレーニングが多く、走力を鍛えるトレーニングがおざなりになってしまった。
高地順応で高山に行くのはいいが、歩く時間が長すぎて結局走力はあまり付かなかった。

反省点
①7~12%の傾斜トレッドミル
②峠走の登りを5月から毎週行う
③低酸素ルームでのLT走
④必携品で走る(7月くらいから)
⑤高地順応と走力は分けて考える


シャモニー入り〜レースまで



今回のシャモニー入りはレース1週間前。
到着した日から3日間は試走に充てて、
レース4日前から休息しレース当日に備えました。

スケジュールはこんな感じ。           

1日目 試走バロルシン~ゴール  19km
2日目 試走バロルシン~ゴール  19km
3日目 試走スタート~コンタミン 42km
4日目 休息 
5日目 休息
6日目 試走会 フレジール〜ゴール 8km
7日目 ビブ受け取り
レース当日

シャモニーは超快適!
出発前走っていた奥多摩とはえらい湿度の違い笑


無事シャモニー到着!



そして到着後、テンションも覚めやらぬまま
3日間かけてコースを試走。

こんなコースだっけ?とか色々と記憶が蘇る。
一度走っているからこそ、
コースイメージのズレを修正していく。
またポールの使い所や補給のタイミングも確認する事ができた。




3日間で80kmの試走を終えて
4日目、5日目は休息。
というか疲労爆発、、笑

宿のサウナとプールでリフレッシュ


サウナ室
完璧すぎる温度と湿度
サウナの後はプール


丁度そのタイミングでUTMBツアーの方も続々と到着し、ツアーの熱気も増していきます。

6日目は試走会
ゴールまでラスト8kmを試走
丹羽薫選手や上田瑠偉選手など豪華メンバーと最高の景色の中での試走会!
丹羽薫選手からニューカーブのレクチャーもあり、大変勉強になりました!

試走会イベント



7日目はゼッケン受け取り。
ツアーでは優先受取ができ、朝の8時頃に
スポーツセンターでゼッケンの受取。混雑を避けられるので非常に快適!!!
その後はレースに備えてパッキングや、ツアー用のドロップの準備。


優先ビブ受取後の集合写真



いよいよ明日はレース。
1週間あると時差ボケもある程度治まり、
現地の気候にも慣れる事ができた。

慣れない環境でどこまでコンディションを整えられるか。
まだ遠征の経験が浅いので、手探りだけど
去年よりかは確実にコンディションは良かった。

またメンタル的にもかなり落ち着いていた。

トレーニングもしっかり詰めていたし、これをレースでどこまで発揮できるかが、楽しみでしょうがなかった。


いよいよ始まる


レース前の食事



コンディション調整に最も大切な食事。

基本的には日本から持ってきた
レトルトの玄米、アルファ米、缶詰、カレー。
「いつもと変わらぬ食事」これが最も大切だと思います。

あとはプラスで現地のスーパーで買ったフルーツ、
パックの野菜ポタージュなど。

かぼちゃのポタージュがめちゃくちゃ美味しい笑
あとメロンが安くてオススメ。

去年は大量の人参を買ってしまい
食物繊維でお腹パンパンに張りまくりったので今回は避けました笑

また水は基本的にスーパーで買うようにして
水道の水は沸かして飲むように。
去年はガバガバ水道水を飲んでいたけど、コンディションを整えるならスーパーで買った方が安心。

あとツアーの宿では朝食バイキングがあり
クロワッサンや、ハム、チーズ、ヨーグルトなどヨーロッパらしい美味しい朝食がいただけます!

玄米2パック、カレー、カボチャのポタージュ、メロン
玄米、味噌汁、イワシの蒲焼、謎野菜のポタージュと大豆

レース展開

スタート~コンタミン(0km~31.3km)

スタートは18時。
準備は前日に全て終わらせたので寝る事しかなかった。
6時に一度起床して朝食を取り、9時から15時まで寝る。
途中、部屋の清掃で叩き起こされた笑

15時になり起床し準備を済ませ、出発1時間前にスタート前に並ぶ。
若干雲が陰り、日差しが和らいだ。
しかし、ホットウェザーが出ており気温は高いままだった。

因みに、スタート前の広場は大混雑するので
後ろの方で渋滞に巻き込まれたくなければ1時間前に並びたいところ。
あと待ち時間に首の後ろが日焼けするので、ネックシェードでカバーするとだいぶ涼しい。

スタート30分前になるとゾロゾロと前にみんな詰め寄る。
エリート選手が次々と呼ばれ、役者が揃いだす。
そしてテーマソングの「コンクエストオブパラダイス」が流れだすと、
一気に空気が変わった。

これから始まる170kmの壮大な旅を前に
皆、決意を胸に静まり返る。

そして音楽も

そしていよいよスタート!!!

目標としてはコンタミンまで3時間。
最初はレズッシュまでの8kmまで細かいアップダウンを走る。
ここは相変わらずみんなめっちゃ飛ばす笑
暑さやアドレナリンもありペースに気を付ける。
ここは心拍160bpm以上にならないように気を付けた。

レズッシュに到着し、水を補給。すでに750mlほど消費していた。
確実に去年より水の消費量が多い。
しかし、乾燥しているからか汗はそんなにかいていない。
判断が非常に難しい。。

レズッシュからゲレンデの登りは試走では涼しくて殆ど走れたが
レース当日は暑かったので、ペースを少し抑え歩きも加えた。

去年、この登りは歩き倒したが今年は大分走れた。
しかしトップ選手との走力の差は歴然。。。

ゲレンデを登り切り、サンジェルベまでの長い下り
ここはニューカーブをうまく使い、ボコボコのゲレンデ道も
バランスを取りながら下る。
素晴らしいポールだ。

サンジェルベに到着すると大歓声!
街中の人がランナーを迎えてくれた!
ここの雰囲気はやはり最高だ。これぞUTMB。

サンジェルベの到着には2時間5分。予定より5分ほど遅れている。
やはりスタート~レズッシュからの登りをどれだけ走れるかが課題。

サンジェルベを後にし、コンタミンへと急ぐ。
サンジェルベ~コンタミンまでは1時間の想定。
細かいアップダウンが連続するが、ここも事前に試走しておいたので
イメージは出来ていた。

辺りは暗くなってきた。
夜20時くらいで森の中は真っ暗だ。
ギリギリライトをつけなくても走れるくらいだった。
前後のランナーのライトで照らしてもらい、なんとかコンタミンまで
ライト点灯なしで到着。
いやー足元ヒヤヒヤした笑

3時間9分でコンタミンに到着。予定より10分遅れ。ちょっと厳しい。
ここでルクタスのサポートエイドで久保さんが待っていてくれて、
補給をした。
ここは大混雑で探すのに一苦労だった。

改めてコンタミンまでは走力勝負。
試走では結構走れて3時間切れるかなと思ったけど、その日は涼しかっただけなのか。。
やっぱりまだ走力が足りないなと痛感、

コンタミン~クールマイユール(31.3km~83km)

コンタミンを出るとボンノム峠の登山口まで5kmほど走らされる。
ここも走力が必要。
やっぱり走れる区間が多い。。

因みにこの区間はみんなお祭り騒ぎで、
外人のデカい顔の切り抜きがおいてあったけど、あれは一体誰なんだろう??笑

ボンノム峠の登山口、凄まじい声援を切り抜けると一気に静まりかえる。
緩やかな林道登りなどがあったが、正直この辺りも頑張れば走れるところ。
この微妙な傾斜がうまく走れずもどかしかった。。

峠走や傾斜トレッドミルで走る練習が圧倒的に足りてなかった。。

因みにこのあたりからかなりお腹が痛くなってきて
40kmのラバルメエイドで用を足した。
去年はコンタミンから腹痛地獄でトイレマンだったけど
今年はそんなこともなく胃腸は問題なさそうだった。

ラバルメからは本格的な登りが始まる。
ここからはニューカーブを使いしっかりと登る。
無事ボンノム峠2500mへ登り切り、血尿も出ずに済んだ。笑

ボンノム峠からシャピューへの下りはだいぶ斜度もあり、走れる下り。
ここの下りはトレーニングの成果が出ていたのか、そこまで足に来なかったのが嬉しかった。

次のエイドのシャピューに到着。

51km地点のシャピューエイドには5時間58分着。
予定より30分ほど遅れている。
目標の22時間30分は難しく、24時間以内のフィニッシュを目指すことにした。

ここで必携品の抜き打ちチェックがあった。
①2L分の容器
②サバイバルブランケット
③スマートフォン

この3つを素早く出して、チェック完了。
そしてここでレーズン入りのパウンドケーキを食べる。
しっとりしてめちゃウマだった!笑
これはリピ確定だ。笑

シャピューを出て次はセーニュ峠へ向かう。
ここからセーニュ峠登り口へも走れるパート。
ある程度走ることは出来たが、ペースは今一つ。
ここも悔やんだ。。

セーニュ峠は去年かなり寒かった。。
風も強く山頂付近は中々前に進まない感覚があったが、今年は
全くそんなことはなく、ジャケットを着ることもなかった。
ホットウェザーはやはり夜も暖かい。

セーニュ峠からラックコンバルへの下りはかなりガレガレ。
去年よりガレてるんじゃないかと心配になるレベル笑
慎重に下りガレ場を抜けるとそこからは走れる下り、
69.2kmのラックコンバルエイドに到着。
下りでの耐久力はかなりいい感じだった。

そしてラックコンバルエイドにて
すかさずパウンドケーキを手に取り、ほおばる。
しっとりとした生地にさっぱりとしたレーズンが最高だ。笑

パウンドケーキで口をいっぱいにしたまま
外にあった水のタンクで給水をした。

が、しかし、、

あれ。。なんだ。。水が美味しくない。。

ここの水は劇的に美味しくなかった。笑
本能的に変な感じがした。
ここの水は回避して、コーラでしのいだ方が良かったかもしれない。。

ラックコンバルを後にして、クールマイユールへ向かう。

クールマイユールへの下りは相変わらず、テクニカル。
標高も下がり、樹林帯のテクニカルな木の根のサーフェイスが待ち構える。
この辺りは日本の里山のような感じ。
去年は、お!奥武蔵じゃん!とテンションが上がったが
今年はそんなことはなく、淡々と木の根と格闘した。笑
脚を消耗しないように、セーブしながら進んでいく。

去年よりもかなりダメージは少なかった。
下りの足はやはり出来ていた。
因みにラックコンバルからクールマイユールまで1時間44分かかってしまっている。
ここは1時間30分で行きたかった。

クールマイユール~シャンペ(83km~127km)

クールマイユールではコンタミン久保さんが待っていてくれた。
最初、1分くらい見つからなくてかなり焦った笑
去年はクールマイユールで全然食べれなかったが、今年は胃腸も元気だった。ここからまだまだ上げられそうな勢いだった。
ルクタスエイドで用意してくれたそうめんも食べ
ドロップに入れていた梅がゆもしっかり食べれた。

しかしエイド滞在時間は17分。トイレも行ったりと
かなりゆっくりしすぎてしまった。。
これは非常に反省。次回は5分以内に必ず出ると決めよう。

クールマイユールを出ると、ベルトーネへの登り。
登山口までのロードもしっかり走った。
去年ここから疲労と眠気でかなりグダってしまったが、
今年は大丈夫そうだ。
淡々と登り、ペースも落ちていない。
ベルトーネまでは想定タイムの1時間で登ることが出来た。

ベルトーネを登り切るとスイカとパウンドケーキを食べる。
スイカがかなり美味しかったが食べ過ぎた笑
しかしスイカの水分がやたらと染みたので
もしかしたらこの辺りから水分が足りていなかったのかも?

ここからアルヌーバまではフラットだが、細かいアップダウンがあり
もたつきやすいエリア。気合を入れる。
同じような道の繰り返しが、だんだん混乱してくる笑

少しずつ日の出の気配があり、山並みがうっすらと見えてきた。
長いようで短かった夜もようやく終わる。

ここでようやく写真が入ります笑
フレンチアルプスの夜明け


結果アルヌーバまでの12kmは1時間35分で想定より5分オーバー。
しかしもう少し、走れると良かったが去年よりかはかなり走れた。
調子としては悪くなかったが、まだまだいけそうだ。

アルヌーバ101km地点に到着。
ここでライトをザックにしまった。
去年はここでお菓子を爆食したが、今年はある程度食べれているので
少し食べるくらいだった。
この辺りから、グランコルフェレへの登りへギアを上げていく。

グランコルフェレまでの登りはとても長く感じた。
ひたすら淡々と登るが、疲労の色が見え始めてきた。
100km以上もたっているから当たり前か。
まだあと70kmもある。勝負はまだまだこれからだ。

コルフェレへ登り切ると日が明けて太陽が高くなっていく。
それにつれて山を覆っていた影が、一気に押し寄せてきて消え去った。

すると途端に眩しくなった。
なんだ!?この強烈な日差しは!?
恐ろしいほどだった。すかさずサングラスを装着し首の後ろをカバーで隠す。

しかしこの下りくらいから、
胃腸の調子がすこぶる悪くなってきた。
なんかおかしいそ。そしてやたらと小便が出る。。

大丈夫。気にするな。
何度も自分にそう言い聞かせた

途中、足ラボの小野寺さんが応援でいてくれて
めちゃくちゃ元気をもらった!
まさかこんなところで応援があるとは思わなかった笑

長いトレイルの下りも終わり、フラットなロードに出て
いよいよ115kmラフーリーエイド直前に差し掛かったところで

ウゥッ!

胃腸の強烈な締め付け、、
明らかに様子がおかしかった。
なんなんだろうかこれは。。

なんとか115kmラフーリーに到着。
結果的にはグランコルフェレから1時間と想定通りのタイムだった。
去年はお菓子をここでかなり食べたが、今年は全然食べられず、、
く、、パウンドケーキもダメそうだ、、
暖かいチキンスープを少し飲んで、早々に出発した。

ラフーリーからシャンペは地獄だった。
殆ど走れる区間であるのに全然走ることが出来ず、
次々と後ろのランナーから追い越されここで大分順位を落としてしまった。
しかし走ろうにも力が入らないし、胃腸が痛い。
しかも水を飲んでも胃腸でチャプチャプと音を立てており、水が吸収されていないようだった。

これは脱水だ。間違いない。



瀕死状態でシャンペに到着した。

シャンペ~ゴール(127km~176km)

やっと着いた。。
シャンペでは田代さんが待っていてくれた。

「池畑くーん!!!」この声で意識が少し戻った。


まず麦茶と素麺を食べた。少し食べたら元気が出てきた。
そして持ち込んだ梅がゆ。
この3つを取ることで少しずつ回復することが出来た。

また着替えを済ませ、シューズも新しいのに履き替えた。
かなり日差しが強く暑くなってきたのでフラスクは3本分、
水500ml×2と麦茶500ml×1を用意した。

去年はシャンペでまだ全然元気だったのに、今年はなんて有様だ
こんなにへばって情けない。
しかし、まだゴールまで先は長い。
「負けるな!」
と強く自分に言い聞かせた。
田代さんと力強く握手して、エイドを出発した。

負けるな!

1つ目の山、ジエテ山への登り口へと向かう。
中々たどりつかなくてもどかしい、、
ここは完全に去年の記憶から飛んでいた笑
もう少し近いはずだったんだけど、、
結局この区間は5kmほど走った。

ジエテ山への登りは一行にペースが上がらない。
去年よりも確実にペースが遅かった。
日差しも突き刺さるように熱い。

ペースは上がらず淡々と登っていく。
山頂まで本当に長かった。。

山頂からの下りは
木の根も多く、中々テクニカルだ。

そして下っていると目の前にカメラマンが!
若岡さんだった!一気に元気になった!
写真を撮ってもらいながら、トリエンまで下っていった。

by若岡さん
by若岡さん
トリエン到着

結局146kmのトリエンまでは3時間かかった。
2時間30分の予定が30分の遅れ。

エイドでは大北さんが待っていてくれた。
ここでは梅がゆと、柴漬け、が最高だった。。
明日香野の和菓子も食べる事が出来て少しずつ回復。
イチゴもさっぱりしてとても美味しかった!
エイドサポートは本当に力になる。

疲労の色
イテテテ、、
気を取り直して
バロルシンへいざ出発

麦茶と水をフラスクに入れて出発した。
滞在時間も15分くらいあったと思う。滞在時間はかなり長い。

トリエンからはツェッペスまではかなりの急登。
ここも何も考えず淡々と登る。
心拍も上げられない。ずっと110bpmを下回り続けた。去年この区間は120bpmは超えていたんだけどな。
後半の補給は殆どVカステラ。ジェルはあまり食べる気にならず、やはり固形のものが食べやすい。

ツェッペスからの下りもペースが上がらない。
去年はここの下りで足が終わってしまったが、足が終わる感じよりも
力が入らないという感覚が今年は近い。
やはり一度脱水に近い症状になると、そこからまた短時間で復活するのは難しいのかもしれない。

しかしバロルシンまでは距離が短いのでトリエンまでに比べると、そんなに長く感じなかった。

またバロルシンへの下りも救世主、若岡さん登場!笑
写真を沢山取ってもらいながら元気を貰えた。

下りもニューカーブで補助しながら
by 若岡さん
by 若岡さん

そして、158kmのバロルシンに無事到着。
ここでは中島さんが待っていてくれた。
まさに女神。笑
本当に感謝。
素麺、梅がゆ、みそ汁、明日香野の和菓子を食べる。やはり日本食は最後までいける。

最後のサポートエイド
しっかりと補給
そしていざ、シャモニーへ出発

よし、これならシャモニーまでなんとか行けそうだ。
あと少し。頑張れ!!!

バロルシンからゴールまでは2回も試走したので安心感があった。
やはりコースを知っているだけで余裕が違う。
試走はやはり出来るだけした方が間違いない。

去年は複雑な木の根っ子に悪戦苦闘してしまったが
今年はそれを知っていたので受け入れられた笑
フレジールまでの長い登りもあそこまで行くと分かれば怖くない。
先を見ないよう、下を向いて一歩一歩登って行った。

そして169kmフレジールゴンドラに到着。
ここから後はシャモニーの街に降りるだけだ。
コースも分かっているし、慎重に下る。
ここで4人ほど抜かされてしまった。しかし追いかけようにも
プッシュが中々きかない。

なんとか下りシャモニーの街が見えてきた。
あともう少しだ。

若干暗くなっていたが、まだ街には人は沢山いた。
多くの人が拍手で迎えてくれた。
この過酷な挑戦に心からリスペクトしてくれているようだった。

沿道からハイタッチを求められ、次々に応えていく。

酒場の前を通ると「オォーッ」と歓声が上がる。
足取りは不思議と軽い。

そしてゴールゲートが見えた。

26時間28分52秒。
総合77位

想定より大きく崩れてしまったけど、無事にシャモニーに帰ってこれて本当に良かった。
やっぱりUTMBのゴールは特別。
これもルクタスアドベンチャーズの方々の素晴らしいサポート、
そして沢山の応援のお陰です。
またニューカーブも多大なる活躍を見せてくれました。

本当にありがとうございました!

そしてまだまだ挑戦は終わらない。

この世界最高峰の舞台で輝く時は

必ず来る。

自分の可能性を信じて貫き通す。

最後の最後まで強い意志を持って挑むんだ。

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