SDGs13 気候変動に具体的対策を
お疲れ様です。たくみです。
【現状】
気候変動は全世界が共通の目標をもとに取り組まなければならない問題です。
全世界がこの問題の解決に向けて取り組みを進めるためには、気候変動の現状や原因を正確に把握しなければなりません。
既に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の活動によってたくさんのことが明らかとなっています。
気候変動に関する政府間パネルとは、人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的に設立された組織です。
各国政府を通じて推薦された科学者が参加し、5~6年ごとにその間の気候変動に関する科学研究から得られた最新の知見を評価し、評価報告書として公表しています。
以下では、「気候変動に関する政府間パネル」によるデータに基づいて、気候変動の現状や原因について、項目に分けて説明します。
(温室効果ガス)
2014年のIPCC第5次評価報告書によると、地球の平均気温は産業革命以前の1880年と比較して0.85℃も上昇しています。
地球温暖化の最大の原因は、人類の活動による二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などといった温室効果ガスの排出によるものです。
このなかでも、温室効果ガスの総排出量の約 76%を占める二酸化炭素は地球温暖化に最も大きな影響を及ぼしているとされています。
二酸化炭素の排出量は、産業革命から増加の一途をたどっており、現在では、1990年と比較して約60%も増えています。特に、2000年から2010年にかけての排出量は、直前の30年のどの10年間よりも大幅に増えています。
二酸化炭素濃度は、産業革命以前と比較すると約40%も上昇しました。現在の二酸化炭素排出量は、地球全体の森林などの生態系が吸収できる二酸化炭素の量の倍以上とも言われています。
現状における温室効果ガスの濃度と排出の継続を合わせて算出した場合、1850年から1900年の期間を基準とする地球の平均気温上昇は、このままいけば今世紀末までに摂氏1.5度を上回ると見られています。
今後、こうした状況が続けば、温室効果ガスの増加に関して以下で説明するような問題が数多く起こる可能性があります。
たとえ、温室効果ガスの排出量の増大が止まったとしても、気候変動のほとんどの影響は、数世紀にわたり持続するとされています。
しかし、大幅な制度や技術的変革が起きれば、地球温暖化がこの水準を超えない可能性は50%以上に高まります。
一刻も早く、気候変動に具体的な対策を講じる必要があるのです。
(気候要素の変化)
地球温暖化が進んでいくことで生じる問題は気温が上昇するだけではありません。
地球全体の気候システムが大きく変化することになります。
世界各地では既に、降雨量の変化をはじめ様々な影響が現れ始めており、人の生活や自然環境にも重大な問題を引き起こしています。
気候変動がもたらす災害や自然災害による経済損失は、年間平均1,000億米ドルを超えると言われ、毎年約2億人の人々が被災しています。
こうした災害リスクに備えるための投資だけでも、毎年60億米ドルの投資が必要となるなど、問題は深刻です。
特に、こうした地球温暖化による最も大きな影響を受けるのは社会的に最も弱い立場に置かれた人々であることを忘れてはなりません。
この温暖化の影響により、2030 年までに新たに1億人以上が貧困に陥りかねないと警告されています。
さらに、人間だけでなく多くの野生生物が急速な環境の変化についていけず、減少・絶滅する恐れが高くなるとみられています。
【対策】
・脱炭素化
気候変動の問題を解決するためには、気温上昇の原因となる温室効果ガスを削減しなければなりません。
温室効果ガスを多く排出しているのは、大量の炭素エネルギーを用いる企業です。
それらの企業は、温室効果ガス排出量データおよび重要な気候リスク情報を適切に開示することが今後ますます重要となってきます。
温室効果ガス削減目標を設定し、削減策を実施することで先手を打っていくことは、適応コストを下げる安全な方法でもあります。
脱炭素化に向けて、温室効果ガス排出量の削減や適応対策プロジェクト、関連研究開発を進めるためには、二酸化炭素の排出量に応じて税率を課す「カーボン・プライシング」が重要なプロセスとなります。
これは、政府規制によるカーボン・プライシング施策(排出量取引、炭素税など)のもとで、二酸化炭素価格が事業活動に対して与える影響について、企業が自主的に定量的に明らかにし、二酸化炭素に価格設定を行うものです。
このようにすることで、自社がどれだけの温室効果ガスを排出しているのかを把握することができるようになり、それに対する対策を講じるようになると考えられています。
・大量消費の抑制
気候変動への対策として、大量消費を抑制することも重要です。私たちが行う消費は、生産されることによってはじめて可能となるものです。
企業が生産活動を行うためには、大量のエネルギーが消費されています。
生産活動に消費されているエネルギーとは、具体的に言えば、石油・電気・ガスといったものです。
こうしたエネルギーは、温室効果ガスを大量に発生させます。石油燃料で動く車、火力で発電する火力発電所、プロパンガスなどの消費はこの典型例です。
化石燃料の多くは地中深くに貯蔵されていた二酸化炭素を大気中にばらまくことになるため、大量消費を抑制することは、温室効果ガスを抑制することに役立つのです。
今後、大量消費を抑えていくためには、私たち一人ひとりが温室効果ガスの排出していることを認め、それを少しでも排出しない生活スタイルに変えていくことが重要です。
・環境保全
環境保全も地球温暖化対策には重要です。
私たちの生産・消費スタイルをすべて脱炭素化することは非常に困難です。
問題となっているのは、地球が温室効果ガスを吸収する能力を上回って、私たちが温室効果ガスを排出していることです。
したがって、温室効果ガスを吸収する能力を上回らない程度にまで、エネルギーなどの消費を抑える必要があります。
そのためには、森林保護が重要な意味をもちます。森林を保護することによって、温室効果ガスによる影響や気温の上昇を緩和することにつながります。
【ターゲット】
(13.1) すべての国々において、気候変動に起因する危険や自然災害に対するレジリエンスおよび適応力を強化する。
(13.2) 気候変動対策を国別の政策、戦略および計画に盛り込む。
(13.3) 気候変動の緩和、適応、影響軽減、および早期警告に関する教育、啓発、人的能力および制度機能を改善する。
(13.a) 重要な緩和行動や実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同動員するという、UNFCCCの先進締約国によりコミットメントを実施し、可能な限り速やかに資本を投下してグリーン気候基金を本格始動させる。
(13.b) 女性、若者、および社会的弱者コミュニティの重点化などを通じて、後発開発途上国における気候変動関連の効果的な計画策定や管理の能力を向上するためのメカニズムを推進する。
※国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う一義的な国際的、政府間対話の場であると認識している。