![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/36688235/rectangle_large_type_2_835559488b29cd3e8ef5909c213cbfba.jpg?width=1200)
あっかんべー
劇団コケコッコー「あっかんべー」が無事終わりました。昨年のハー・マインド・イズ・ポップコーン以来、久々にコケコッコーの公演で舞台監督をさせて頂きました。
昨年はハーマインドもほなさいならもSSホールでの公演でしたが、今回は客席のソーシャルディスタンスの件や諸般あり、WWホールに変わるということで、大きな空間でお芝居がちゃんとお客さんに伝わるのか心配だと、制作担当の方が一番最初におっしゃっていました。
僕としてはSSホールよりWWホールの方が照明や美術バトンなど舞台機構として使える物が多く、仮設舞台や仮設客席を組まないといけないSSホールより、遥かに早く高クオリティーがみこめるWWホール使用は賛成でした。
舞台の幅は袖幕で、高さはカスミ(上空に吊ってる黒い幕)で、奥行きは中割幕で、と劇場にある様々な物を使い、舞台がだだっ広くならないように心掛けました。
それにしても日宝キネマ座のセット、味わい深くてキレイに汚れていたなぁと、デザイナーさんのセンスに脱帽です。
セットに関してまず舞台に欲しいモノを野村君がリストアップします。パーラーがあって、スクリーンに入る場所があって、チケット売り場があって…
それを聞いてデザイナーさんがセットの全貌を考え、構図にOK出たらデザインを考える。
写真じゃ解りづらいですが、セットの上淵が全て映画のフィルムの様にデザインされています。
この辺りもデザイナーさんの遊び心です。普通のパターンもありましたが、野村君がこちらを選択しました。
役者さんたちの青春やその生涯を映し続けたこの日宝キネマ座の中で、唯一僕が出来たのがポスターの汚しです。
リハーサル終わりに野村君がとても申し訳なさそうに、ポスターだけキレイなので少し剥がれてたり、ちょっとヤニっぽく汚せますかね…!?と
お任せあれ!
客席から見えないかもしれないですが、壁の汚れと調和するようにうっすら長年タバコの煙にいぶされた雰囲気を描いてみました。
いや、実際こんなことは誰も気付かないんです。
今だから言う話で公演中に「あ、あのポスターわざと汚してるなぁ」とか思われるとそれだけで集中力を削いでしまうことになります。
他にも彼の拘りは細かく、芝居中にお客さんの目線に入る「場内禁煙」のプレートが違和感だと。
お任せ下さい。
劇場の支配人に許可を頂き、しれーっと簡素に隠しておきました。
観劇された方でもどんな風に隠していたか、どこにあったのかあまりピンとこられていないと思います。成功です。
場内禁煙の文字がそのままあれば、何人かの方はそれが芝居中目に入り、日宝キネマ座の世界から現実が見えてしまうことで、多少緩んでしまう可能性があります。
あとリハーサル中、裏方は極力足音を立てずに歩くのは普通なのですが、普段お芝居に携わることの少ない若い吉本の社員さんが袖を歩く時、革靴のコツコツ音をマイクが拾い、それが冷めちゃうと。
おっしゃる通り。
制作チーフの方にご相談させてもらったら、僕はすごいなーって何か感動にも似た嬉しさがあったのですが、そのチーフの方の一声で公演中に袖を通る社員さんは、みんな靴を脱いで足音しないように通行してくれてたんです。
あー、一丸ってこういうことだなぁと。
二足の靴を指先で摘まみながら不馴れな暗がりをソロソロ歩く若い社員のみなさんがとても微笑ましく、感謝をしておりました。
僕がコケコッコーに携わって一番好きなのは公演が終わってから野村君に自分なりの解釈を伝えて解説を聞くことです。
登場人物のお名前が何に由来するのか、とか治が描いて持ってきた看板に描かれる俳優さんの名前が誰から由来するのかなど、利美に移った病気はなぜ治には移らないのか!?など疑問点はいつもいっぱいあるんです。
それの最たるのが
ずいずいずっころばしごまみそずい
茶壺に追われてどっぴんしゃん
おもろないのぉ…
のくだりです。なぜ正子はこの手遊び歌を選んだのか。
自分なりに解釈しようと、ずいずいずっころばしの歌の意味調べたり(これはこれで勉強になった)
したけど、全然芝居の軸とは関係なさそうで。
全芝居終わった後に答え合わせをしてもらって、僕は心の底から深いため息と感嘆しました。
てんしとあくまのネタの一部だったんですね。
今年の5月に急逝した、てんしとあくまの川口くん。
おもろないのぉというフレーズだったり、少しお洒落してからかわれるシーンでのセリフに関しては川口のトーンに合わせて少し声を裏返させる演出をつけていたそうです。
僕の人生を誰かが映画撮影していたとしたら、川口君のくだりを野村君から聞いた時の僕の周りを低気圧にするくらい大きく吸い込んで吐いたため息と、衝撃的過ぎて思わずうな垂れて感服したシーンは、とてもいい絵になっていたと思います(笑)
順調に撮影が進んでいる人生です。
最後になりましたが、このnoteを書くにあたり内容や写真掲載の許可を下さった方々、こちらの無理な要求を引き受けて下さったCOOL JAPAN PARK OSAKA管理スタッフの皆さま
何よりこういう情勢の中でご来場下さった大勢のお客様に感謝です。
もっと大声で
「来てくださーい!!」
と言える日を信じて、また頑張ります。