CS QF島根対アルバルク、戦術を超えた熱戦。
「CSは別物です」安藤周人はそう言っていました。
アドHCはレギュラーシーズンと全く違うスタイルでの戦いをCS QFで見せてくれました。
島根とのCS クォーターファイナルは昨年と同じく島根の先勝の1勝1敗となり5/13(月)に第3戦が島根のホーム松江市総合体育館で行われました。
昨年の QF第3戦はしっかり瞼に焼きついています。トラビスに第3Q残り1分20秒からトップの位置から3本連続で3Pを沈められて心が折れた事。忘れてはいません。
今年のアルバルクはしっかりリベンジしてくれたので、また今回は周人が3連続3Pを決めてくれたので、すっかり気持ちは解放されました。
今回はこのゲームの感想を書いていきます。
一度見たいと思っていたアルバルクが一気に見れた QF。
アルバルクがCSでやってくれるのかなと思っていたことが、この島根戦1戦目から実現してくれたので1戦目の敗戦はさておき、とても楽しかったのです。
何かといいますと、1戦目スタートから小酒部のPG起用じゃないですか。ケガ人が多くて仕方なかったのかもしれませんが、こういうのをケガの功名と言うのでしょう。
ハンドリングにやや慣れていないところはありましたが、全然いけてました。
ディフェンスはレギュラーシーズンで使っていたのはマンツーマンのショウディフェンスでしたが、2連続得点されるとタイムアウトを取りマッチアップゾーンに変え、しばらくすると2-3ゾーンディフェンスを発動させました。(初モノです。楽しい楽しい)
第2Q島根にペースを掴まれ逆転されると第3Qにはロシター、サイズ、カークのビッグマンオンスリーです。(さらに楽しい)
ロシターがカークのピンダウンを使ってサイズのハンドオフを受ける光景が松江に現れたのです。
ロシター、カーク、サイズが守る2-3ゾーンはしっかりインサイドを守れていました。リバウンドは最強でしょう。
ロシターがケガしてしまったのでオンスリーは長くは見れませんでしたが、また、いつかの勝負どころで使ってくれるのではないでしょうか。
ロシターを欠いた2戦目、3戦目でもアルバルクの2-3ゾーンは真ん中のカークの存在がビュフォードのペイント侵入を堰き止める役割が大きく、島根もアジャストに時間がかかっていたようです。
島根のアルバルク対策はレギュラーシーズンと同様だった。
島根は2月のレギュラーシーズンでの対戦でもビュフォードをマッチアップの吉井に対して外まで追わせず、ダブルチームへ行くヘルプマンとして機能させていました。
つまり、ビュフォードはペイントに止まりケイや谷口(ニカ)のヘルプに付いてアルバルクのペイントアタックを封じていました。
カークもサイズも強みのインサイドを攻めようとポストアップするとすぐにケイ(谷口)とビュフォードのダブルチームに囲まれてペイントの中で仕事をさせてもらえませんでした。
これにはアルバルクは苦戦させられていました。
その代わり吉井と笹倉はフリーでコーナーに立つ事が多くありました。(彼らに打たれるのは良しとしていたと思われます。)
CSではサイズ、カークは中に入れずアルバルクのペイントの得点はタフとなり1ゲーム目は24点(12/19)にとどまりました。対する島根は44点(22/33)でした。
第1ゲームではビュフォードのペイントアタック、キックアウトで彼の得点は33点、アシスト14本おまけにリバウンドも17本でトリプルダブルです。
第2ゲーム、第3ゲームともトリプルダブルでしたから、今回のビュフォードは異次元です。
島根の得点源はビュフォードのPnR、アイソレーションから自らの得点。ケイ、トラビス、谷口、白濱へ散らしてアシストが中心でした。
CSでの島根のアルバルク対策はレギュラーシーズンと同じ方法でしたが、ビュフォードの超人ぶりは前回対戦時をはるかに超えていたと思います。
第3戦島根のゲームプランに対するアルバルクの戦術
さて、1勝1敗で迎えた第3戦。アルバルクは第1Qを22-10(12点差)と最高の滑り出しを見せます。
それはゲーム最初のポゼッションのサイズのタフショットと続いて吉井のオープン3Pが決まったことが大きかったように思うのです。
1Q残り9分55秒
トップで小酒部とサイズのPnR。
サイズのロールに小酒部がポケットパス。
サイズはドリブルでフリースローラインに進む。
ケイとビュフォードに挟まれペイントに侵入できなかったがサイズは右スロットからペリメーターシュートをねじ込みました。2-0
1Q残り8分40秒
トップで小酒部とカークのPnR
左から小酒部はドリブルで左スロットに進む。
ここで誓哉とビュフォードに挟まれたところで左コーナーでフリーの吉井にパス。吉井の1投目が3Pで決まりました。 5-0
島根のゲームプランからすればこの2つのポゼッションは想定外だったと思います。インサイド阻止のためダブルチームを組んだのにサイズにペリメーターから決められて、さらにペイントを固めるために外の吉井を空けたのに一発目で外から沈められると「あれ?」と島根のディフェンスに混乱が生じてもおかしくありません。
さらにアルバルクはこの日は前日効果のあった2-3ゾーンではなく(この2-3ゾーンは前日の間にすでに島根にアジャストされていました。)マンツーマンディフェンスで長い時間守っていました。
島根はアルバルクのショウディフェンスに対してスクリーンユーザーがビッグマンを釣り出している間にスクリーナーがスリップして素早くダイブにパスを出しショウの隙をつく攻めをしていました。
これに対して、この日のアルバルクは島根のビュフォードとケイのPnRに対してケイのマーカーサイズがしつこくビュフォードにハードショウに行くことでビュフォードにパスを出させませんでした。
スリップしてダイブするケイには谷口のマーカーのカークがスイッチします。
ハイポストやポップする谷口にはボールマンのビュフォードを追ったサイズが回りビュフォードにはマッチアップ吉井が追いつくという、ローテーションしながら精度の高いショウディフェンスを行ったのです。
第1Qは島根のゲームプランに迷いを生じさせる強烈な先制パンチを見舞ったに違いないと思うのです。
アルバルクの戦術を島根がアジャスト
しかし、これで終わらないのが島根スサノオマジック。
第1Qの12点差はジワリジワリと詰められて第2Qでは6点差となりました。第3Q残り3分2秒にはトラビスのフリースローで一時逆転されてしまいます。(50-51)
島根はインサイドをダブルチームで固める戦略を維持する事でアルバルクのサイドからのスペインピックなどに苦慮しながらもドライブに対してペイントに入らせないように対応していました。
また、後半疲れの見え始めたアルバルクにトランジションからアーリーオフェンスでディフェンスの遅れを攻めたり、誓哉、ビュフォードの個人技で打開してペイントの奥へ入り込んでアルバルクのディフェンスを崩しにかかりました。
逆転されてからはリードチェンジを繰り返す一進一退の戦況となりました。
しかし、第3Q最後にザックのロングブザービーターで60-55と流れを押し戻して第4Qへの熱戦へ繋ぎました。
最後まで。島根の粘りに感動
第4Qに入ってブザービーターで流れを引き寄せたアルバルクは残り7分22秒にはサイズのポストプレーで68-57と11点差まで島根を引き離しました。
しかし、すぐに誓哉の4点プレーで粘られます。
残り5分、サイズのフリースローで再度11点差(74-63)に広げたところでオフィシャルタイムアウトとなりました。このまま行けるかな。
しかし、ここからの島根はすごかった。
残り3分で77-68。9点差
谷口の2本のコーナースリーとビュフォードのバスケットカウントで残り1分42秒で1ポゼッション差に追いつかれます。 81-79
残り1分
ビュフォードにカークがファウルを犯してフリースロー 81-81同点
追いつかれました。
残り46秒
ものすごい島根ブースターの声援の中、ザックがトラビスのファウルをもらってフリースロー2本をしっかり沈めます。 83-81
離す。
残り43秒
ビュフォードが小酒部からファウルドローン
フリースロー1本射抜きます。83-82
追いすがる。1点差
残り16秒
ビュフォード、アイソレーションからドライブアタック。これをザックがノーファウルで叩いてアウトオブバウンズ、島根ボール
ラストポゼッション。
残り11秒
最後の島根の攻撃はビュフォードのアイソレーション。
アルバルクは2-3ゾーン。
ビュフォードのマークはザックです。
残り7秒で仕掛けたビュフォードはコートに足を取られてスリップ。サイズがボール保持して周人に送ってタイムアップとなりました。
痺れました。血圧が上昇、沸騰しそうです。
アルバルカーズからすれば2年越しのチャレンジで島根に辛勝することができました。本当に素晴らしい試合でした。何度も引き離し心を折ろうとしても驚異的な粘りで喰らいつく島根スサノオマジックと全く諦めずに後押しする島根ブースターに最高のゲームを見せてもらい感動しました。
次はセミファイナル。もう少し長く今シーズンのバスケを見させてください。
photos by kii
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