8人のウォリアーズに賛美。天皇杯
最後は足が動いていなかった。しかし勝利への気迫は伝わってきました。
たった8人の信州の戦いぶりは敵ながら素晴らしいものでした。
天皇杯第4ラウンド、アルバルク東京-信州ブレイブウォリアーズは12/7アルバルクのホーム立川立飛アリーナで行われました。結果は80-72と信州が勝利してクォーターファイナルへと駒を進めました。
我がアルバルクからすれば圧倒的に有利な対戦でした。
アルバルクはホーム立飛でリーグ戦を三遠に連勝して迎えていました。
信州は先週末のリーグ戦もアウェイで9人で戦い中二日の水曜ゲームです。
ロスターは主力のマーシャル、熊谷、生原、岡田を欠いて、たったの8人。
しかも本職の司令塔(PG)不在で臨まなければならない状況でした。
すみません。白状します。
アルバルクブースターの私は来年の1/4天皇杯クォーターファイナルの予定を手帳に書き込んでいました。
信州からすればこれらの不利をひっくり返りしての勝利の要因はどこにあったのか。
アルバルクの今後を想いながら分析したいと思います。
信州のスカウティングがはまった。
圧倒的な不利の中、信州はアルバルクの弱点をうまくついたと思います。
ひとつは不安定なアルバルクのショウディフェンスです。
このところ横浜戦、秋田戦でも見せていましたがアルバルクは相手のピックに対してほとんどスクリーンユーザーにスクリーナーのディフェンスが出てユーザーを止めるショウディフェンスをします。
これに対して信州は効果的なセットを使っていました。
①PG前田はサイド側でボールをエントリー。
②ホーキンソンとモズリーが並んでスタガードスクリーンをセットします。
③前田はこれを使ってピック。2枚あるのでコブスは遅れます。
④するとカークがショウで出てきます。
⑤そこでホーキンソンはウィングにポップ、モズリーはゴールにダイブします。
⑥ホーキンソンのマーカーロシターがヘルプに入りますが、ホーキンソンを追ったらモズリーのペイントアタックに、モズリーに付いたらホーキンソンのスリーにパスを出します。また、前田がそのままホーキンソンとモズリーの間を割ってドライブ(スプリット)する場合もありました。
前田の選択肢は常に3本ありました。これらにアルバルクは対応できませんでした。
いずれも、アルバルクのショウがスクリーンユーザーにプレッシャーをかけられず戻りが遅れがちになる。ロシター以外のガード系の選手ではビッグマンのミスマッチを守れないことからローテーションがロシターに限定されてしまう。そんなアルバルクディフェンスの弱点を突く良手です。
なぜ打たない3P問題、を突いた信州
アルバルクはリーグで最も3Pを打たないチームです。(6.1/20本)そしてリーグでブービーに3Pの確率が悪いチームです。(23位30.6%)
ちなみに信州もよくありません8.8/28.6本(22位30.8%)
しかしこの日はこの3Pが明暗を分けました。
信州10/22本(45.5%)出場選手8人のうち7人が3Pを決めています。ホーキンソンは2本、サイモンは3本です。シューターにはしっかり打たせるセットで確率を上げていました。
一方でアルバルクはザック2本、安藤1本で3/19本(15.8%)です。アテンプトもメイクも少ないです。アルバルクはコーナーでフリーを作ってはいましたがこの日は外すケースが多かったです。
気になったのは信州はアルバルクのビッグマンの外にはほとんどクローズアウトに行かなかったことです。
①大貴とロシターのピック&ポップ
②大貴がエルボーまでドライブ
③大貴のミドルを警戒して前田、ホーキンソンが大貴をチェック。モズリーはペイントの真ん中でリムプロテクトです。
④トップでドフリーのロシターにパスが出ます
⑤ここでロシターは3Pを打たないで混み合うペイントへのドライブを選択しました。アタックは失敗に終わりました。
アルバルクのビッグマンは3Pを打たない、そんなデータがあるのでしょうか?
結果的には当たっていたようです。
本当に「ブレイブウォリアーズ」でした。
信州の戦略が当たったことは確かですが、それでもたった8人のロスターでタイムシェアしていくことは至難の技です。
ファウルも嵩んでいましたが、第4クォーターでは信州はホーキンソンのオフェンスファウル1つに抑えてファウルアウトしないで最後まで懸命に戦っていました。特にこの日、司令塔を務めた前田はピックユーザーとして素晴らしかったですし、まだチームと合流して間もないモズリーもしっかりフィットしていました。
最後までファイトしている姿は本当に「勇敢なる戦士」でした。
アルバルクも、この日の学びを糧にリーグ戦をファイトしてもらえると信じて応援したいと思います。
photos by kii
@kii_023165