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バスケ日本男子代表フルメンバーの進化

「勝って兜の緒をしめよ」

FIBAランキング7位、NBA選手を4人もそろえるフランスに勝利してしまうと、かえって引き締めなければと思います。

そんなに簡単なものではないはずです。

2年前ワールドカップ前の強化試合でニュージーランド、ドイツに勝ってワールドカップ本戦ではどれだけ勝つかと意気揚々と上海に応援に乗り込んでいきましたが、本番本気の各国強豪にスカウティングされた日本はコテンパンにされて1勝もできませんでした。

この2年間の日本代表の成長が本物であるのか東京オリンピックという場で試される時が迫ってきました。


7月16日、18日フルメンバーが揃った男子バスケ代表男子がさいたまサイデン科学アリーナでベルギー代表、フランス代表を迎えた国際強化試合が行われました。

結果はベルギー戦87-57、フランス戦81-75で思わぬ快勝となりました。

八村塁、馬場雄大の加わった日本がどのような進化をとげたのか紐解いていきたいと思います。

第1オプション攻撃の軸


八村塁と渡邊雄太のNBA選手2人が加わることにより日本のオフェンスの軸はこの2人にシフトしました。
ピックのスクリーナーとしては主にギャビンとアヴィが担いコーナースリー、ミドル、ペイントアタックなど塁と雄太がフィニッシュに持ち込むパターンです。

この2人はチームメイトにシアカムやラウリーがいて、レブロンとマッチアップしてきた強者です。2年前から大きく経験、実績を積んできた2人ですからメンタルから違います。物怖じせずリムアタックしていきます。


そこにインサイドのギャビンは217センチのNBAベストディフェンダーのゴベアに顎をエルボーヒットされながらもフィジカルで負けていませんでした。

沖縄から2戦目となるベルギーは日本のフィジカルの強さの変化に面くらっていたように見えました。
また、フランスが前半に日本に対して後手を踏んだのは日本がメンタルとフィジカル両面でフランスに同等以上のパフォーマンスを表現していたからに相違ありません。


的を絞らせなかった日本のバックコート陣


フランス戦第1クォーター残り7分
日本のバックコート陣がフランスを慌てさせました。

大貴とのピックアンドポップでギャビンがトップでボールをもちドライブをかけました。同時に右ウィングの渡邊雄太がショートコーナーに走りパスを受けます。そのままベースラインをドリブル、逆サイド左ウィングから馬場雄大が飛び込みます。雄大はパスを受け、立ちはだかるゴベアを尻目にダブルクラッチ、外れます。ギャビンがオフェンスリバウンド、すかさずトップから大貴が飛び込みクラッチシュート、これもゴベアがジャンプして防ぎました。リバウンドはフランスが抑えました。

決まりませんでしたが、日本の波状攻撃でフランスに日本のオフェンスは塁、雄太だけではないということを印象付けることに成功しました。


大貴と比江島は時にドライブを見せながらピックアンドロール、キックアウトでパスを散らします。

比江島はフランス戦第2クォーター残り3分の攻撃でゴベアとの1on1でゴベアをを抜き去りゴールを決めています。

ゴベアを相手にリムアタックして決め切った事でフランスは警戒せざるを得なくなり当然比江島のファウルドローンも増えてきます。この日の比江島は八村、雄太に続く15点2アシスト、フリースローは7/8の高確率で射抜いて日本にエナジーを与え続けていました。


こうして比江島、大貴、雄大のバックコート陣は八村、雄太にディフェンスの的を絞らせない働きをしていました。


富樫が入るとトラジションバスケになる

日本のスパイスとしてリズムを変える存在になっていたのが富樫です。

富樫がコートに入ると特徴であるスピードでディフェンスをかき回すのですが、攻守の切り替えが速くなり、特にファストブレイクでのギャビンとのコンビネーションはBリーグシーズンからやっているものなので決定率も高く感じます。 


フランス戦では第2クォーター残り6分12秒、ギャビンのディフェンスリバウンドからプッシュ→富樫→ギャビンと速攻を決めてゲームの流れを日本に持ってきました。

さらに富樫はスリーポイントが入りだしました。
相手からすればこんなに厄介な選手はいません。しんどい時出てきて、速くて、外からシュートがあると無視出来ようがありません。

本番で見たいBABA BOOM!


ベルギー戦よりメンバー入りした雄大は練習時間がまだ足りないのか周りとのコンビネーションやローテーションがまだフィットしていないように見えました。

そんな中でも2試合目のフランス戦では雄大らしさを垣間見ることができました。

フランスの反撃に合い第4クォーター残り3分40秒バトゥーム(クリッパーズ)がスリーポイントをコーナーから沈めて74-74と同点に追いついた日本の苦しい場面です。


デコロからルワウ=キャバロへのパスを読んでスティールした雄大はそのままワンハンドダンクをお見舞いしてゲーム残り流れを渡さず、続く残り1分24秒にはファウルをもらってフリースローを2本沈めてフランスからの勝利を手繰り寄せました。

勝負どころに力を発揮する点はアルバルクで2連勝、メルボルンでも優勝を経験した優勝請負人たる運の強さを感じます。

オリンピック本番でもBABA BOOM!かまして貰いたいです。

世界の高さに通用したディフェンス


日本のディフェンスはマンツーマンと2ー3ゾーンを試していました。

特に富樫が入った時にはゾーンを使う場面が多かったように思います。ミスマッチ対策なのだとは思いますが、本番で使うかどうかは分かりません。


いずれにせよ、フランスのサイズに対応できたことは自信に繋がります。

もちろん、フォーニエとゴベアとのハンドオフからフォーニエがワンドリしてリムに向かいジャンピングパス、ロールしたゴベアにアリウープを決められたりなどシンプルなオフェンスに得点を許すシーンはありました。


また、フランス戦の第3クォーターフランスが追い上げる時間帯ではバトゥームとフォーニエのシューター2人のオフボールスクリーンに対応できず再三オープンを作られていました。

一方でフランスPGデコロとゴベアのピックに対してギャビンがデコロにショウして甘くなったコーナーのフォーニエへのパスを大貴がスティールするなど日本の攻撃的なディフェンスは機能していました。

残りの短い時間ではありますが本番までの練習でディフェンスローテーションに磨きをかけて欲しいと思います。

いよいよ本番、世界中を驚かせよう。


仕上げの国際強化試合ベルギー戦、フランス戦で思わぬ良い結果が出ました。

ただし、フランスは日本をスカウティングして対戦したとは思えません。あくまでコンディション調整のための試合でしょう。


沖縄で悔しい敗戦をしたベルギーにリベンジはなりましたが、ベルギーはオリンピックの参加チームではありません。この2勝で浮かれてはいられないのです。

日本がオリンピックで対戦するスペイン(FIBAランキング2位)アルゼンチン(4位)スロベニア(16位)の強豪が本気でスカウティングして日本を対策してきます。

FIBAランキング42位の日本は対戦する各国に負けて当たり前です。怖いものは何もありません。

準備はできています。世界中を驚かせましょう。

がんばれニッポン!

photos by mih

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