川崎ブレイブサンダース戦。ゾーンディフェンスを攻略 オレッ!
代々木第一を埋め尽くす9555人の観衆の中、中地区1位の川崎戦。
今年のアルバルクは勝ち切る勝負強さを見せてくれました!
そりゃマツケンサンバ踊って、盛り上がって上機嫌です。
とはいえ、シーズン当初からはアルバルクのバスケも徐々に成長して来て、12月は天皇杯の1敗以外11勝です。強くなってきたように見えます。
今回は川崎戦で見せたゾーンディフェンスに対するオフェンスについて考察します。
3P入らない、ゾーンディフェンスは苦手
思えば今シーズン、3Pシュートのアテンプトと成功率はB1リーグ最低に苦しんでいた前半戦です。
開幕から12月クリスマスまでは平均6.1/20.8本です。成功率は29.4%で30%にも満たない非効率No.1でした。
もともとアルバルクはルカさんの頃からセットをしっかり組んでオフェンスをするので、ペースは遅く3Pアテンプトは少ないチームですが、3P確率は先々シーズンはリーグ1番の確率でしたのでそんなに悪くはなかったはずなのです。
しかし今シーズンはこの確率がなかなか上がりませんでした。
アルバルクは3Pが入らないのでゾーンディフェンスを仕掛けられるとインサイドを固められて途端に膠着してしまう傾向がありました。
なので、ゾーンディフェンスは苦手なんだろうな、というイメージを私は持っています。
今シーズン西地区8位で勝ち星に苦しんでいる滋賀との対戦でも勝ちはしましたが、第1ゲームではゾーンを組まれた途端にオフェンスが停滞していました。
そんなアルバルクが新年ホーム1発目に戦うカードが川崎でした。
ファジーカス、ヒース、ヤングJRのオンスリービッグがいて2-3ゾーンを敷いてくる川崎にジャニングの復帰です。
中はでかいし、外には藤井、篠山、ジャニングいたら去年第1クォーターで2点しか取れなかった悪夢を思い出していました。
できるじゃないか!ゾーン対策
しかし、アドさんのアルバルクはやってくれました!
2-3ゾーンを攻略して川崎に連勝です。
どのようにしたのか、見ている限りの範囲で追ってみます。
川崎ディフェンスの2-3は高いポジションの2人は藤井、篠山と長谷川やジャニング。低い方のポジションの3人は真ん中ヒース、左ヤングJR(鎌田、熊谷)、右ファジーカスの形が多かったです。
オフェンスの基本はエルボーにカーク、サイズ(ロシター)を配置するホーンズセットからハイローポジションに変化することから入ります。
PGのコブス(藤永)がトップから右ウィングのザック(小酒部)にボールを入れるとコブスは左コーナーに降ります。するとカークは左ショートコーナーに下がって、サイズは右ハイポストに入るハイローポジションに移行します。そして安藤がウィークサイドから回り込んでトップの位置に上がります。
このトップ-ウィング-ハイポストの三角形で2-3を崩していきます。
ザックがボールをトップの安藤に返すとサイズが安藤とピック&ロール。安藤はドリブルからウィングのザックにパスを出します。
ロールしたサイズはゾーン2-3の高い方の2人とズレができているのでウィングからペイント中央でボールを受けられます。
サイズはディフェンスが寄ってこなければフローターシュートを狙います。
カークはショートコーナーからダンカースポットに侵入、リバウンドに備えます。
サイズにヒース、ファジーカス、ヤングJRが寄ってくればコーナーのコブス、トップの安藤、ウィングのザックのいずれかにキックアウトして3Pを狙います。
これも良く入っていました。
ローポストアタックもある
ローポストからのアタックもありました。
先程と入りは同じです。ホーンズからハイローに変化してピックアンドロールからウィングにボールが入ります。
左ショートコーナーにいたカークが逆サイドのローポストに入って面を取ります。
ウィングのザックはカークに入れます。カークはそこからポストアタックしました。
これは高い確率でメイクしています。
また、こんな別パターンもありました。
ゲーム1第2クォーターオフィシャルタイム明けのオフェンス。(このセットはゲーム2でもやってました)
トップからコブス、左ウィングに吉井くん、左ローポストはサイズ、安藤は右コーナー、ロシター右スロットにエントリーしました。
吉井くんが左ウィングから降りて行ってゴール下でヒースにスクリーンセット。ヒースをシール。
サイズがそこに被せるように左ローポストでポジションを確保します。
安藤は右コーナーから左ウィングにぐるっと上がります。
コブス→安藤→サイズと左でボールを繋ぐとサイズはポストアタックからフックシュートを決めました。
まだあります。
こんな場合もありました。
ゲーム1第2クォーター残り26秒
カークがハイポスト、ロシターが右ショートコーナー、藤永がトップでハンドリングです。
カークがピック、藤永がドリブルして右コーナーから右ウィングに上がった小酒部に出します。
ウィングの小酒部→ロールしたカークがペイントの真ん中でパスを受けると素早くダンカースポットのロシターにバウンドパス。ロシターのゴール下バックシュートが決まりました。
美しい得点でした!
アウトサイドも決まり出す
インサイドで効果的にゾーンディフェンスを攻略してトップ、ウィング、ハイローポジションでトライアングルを作ってボールムーブしているとディフェンスが収縮するのでアウトサイドでオープンができます。
安藤、ザック(小酒部)、コブスがコーナー、ウィング、トップに入ってポストのビッグマンを経由してボールを回すだけで得点機会が増えます。
実際今節の川崎戦では3Pの確率は12月までの平均29.4%を優に超えています。(川崎戦平均で34.7%)
ゲーム2第2クォーター残り2分4秒
コブスがトップ右寄り、小酒部が左ウィングに上がり、左ショートコーナーのサイズとトライアングルに配置してロシターがハイポストに入ります。
コブス→小酒部→ロシター→サイズがキックアウト→コブス(打てなかった)
もう1回小酒部→サイズと回しキックアウト、最後コブスに戻った時には完全なオープンです。 しっかりスリーを沈めました。
苦手を克服。アドバスケの進化はCSへ
今回は川崎戦にみるゾーンディフェンス対策をテーマにしたのであまり触れることができませんでしたが、アルバルクの成長は開幕戦から全く留まってていません。
大変失礼ながら、開幕から11月のアルバルクは「開幕前には早いバスケを目指すって言っていたのにトランジションはそれほどでもないなぁ。」とか、「ファストブレイクは出ないな」と思ったりしていました。
🙏 反省
トランジションの速い展開やファストブレイクはよく決まるようになって来ました。
一方で前述の3P確率についても12/31の琉球戦から1/11の北海道戦までの3Pは平均8.4/21.6本です。
試投数はアルバルクのオフェンスでセットをしっかり組む性質上上がらないのでしょうが、3P確率は38.8%と今季前半の29.4%からするとジャンプアップしています。
これまでの長所である失点の少なさや、TOの少ないディフェンスの優位はそのままにゾーン対策を含めたチームの改善が随所に感じられます♪
個々の要因は色々あるとは思いますが、確実にアドコーチの目指すバスケットに近づいているのだなと感じます。
きっとCSの頃にはもっと良くなっていることでしょう!
ただ、怪我には気をつけてほしい。
切に、そう思います。
photos by kii
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