
銘柄分析(6113アマダ)減収減益で株価下落
今回は大型株アマダの決算などなど分析していきます。
1. 銘柄概要
アマダ(6113)の基本情報です。下は2024年11月19日終値での数字です。

時価総額4,789億円
プライム市場
PER12.1
PBR0.9
MIX係数10.89
ROE7.8%
自己資本比率79.3%
配当利回り4.3%
配当性向49.4%
2. 事業概要
1. 主力事業
アマダの事業は大きく以下の2つに分かれます:
(1) 金属加工機械事業
金属板を切断・曲げ・加工するための機械を製造・販売する部門で、同社の中核事業です。
板金加工機械
主に薄い金属板(板金)を対象に、切断や曲げなどを行う装置を提供。
製品例:レーザー加工機、パンチプレス機、プレスブレーキ(曲げ加工機)など。
主な用途:自動車部品、建築材料、家電製品、産業用機器などの製造。
微細溶接機
金属の接合を精密に行う装置を提供。主に電子部品や医療機器向けに使用。
(2) 金属工作機械事業
主に金属素材を削る、研磨する、成形するための機械を製造・販売する部門です。
切削・研削盤
金属を高精度で削るための装置。歯車やシャフトなどの加工に使用。
プレス機
金属を打ち抜く、曲げるなどの加圧加工を行う機械。自動車部品や建築材料の生産に用いられる。
2. 特徴的な製品・サービス
アマダの機械は、高い精度と効率性が求められる分野で使用されることが多いです。
環境対応技術
CO₂排出削減や省エネ機能を重視した機械の開発を進めています。
自動化・デジタル化
工場の生産ラインを効率化するための自動化機械やソフトウェアを提供。
グローバル展開
日本国内だけでなく、北米、欧州、アジアなど世界中で販売とサービスを展開。
3. 製品が使われる分野
アマダの機械は、さまざまな分野で使用されます:
自動車:シャーシ、エンジン部品、バッテリーケースの製造。
建築:建物の骨組みや内装部材。
電子機器:スマートフォンや家電製品の精密部品。
医療:医療機器や人工関節などの加工。
アマダは金属加工業界のリーダーとして、工場の効率化や精密加工を支えるソリューションを提供する企業です。これにより、製造業全体の品質向上とコスト削減を実現しています。
3. 2025年3月期2Q決算(2024/11/14発表)
次に直近決算を確認していきます。

1. 業績ハイライト
売上収益・利益
売上収益:1,845億円(前年同期比 -1.3%)
営業利益:231億円(前年同期比 -15.0%)
税引前利益:220億円(前年同期比 -22.5%)
親会社所有者に帰属する中間利益:151億円(前年同期比 -23.5%)
包括利益:102億円(前年同期比 -72.7%)
利益面では、売上減少に加え、操業度低下や固定費増加の影響が見られました。
【注意】
決算データに基づき、売上高の減少幅(-1.3%)に対して、営業利益(-15.0%)、経常利益(税引前利益 -22.5%)、純利益(親会社所有者に帰属する中間利益 -23.5%)が大きく減少している理由について、以下の要因が考えられます。
1. 操業度の低下
固定費負担の増大
売上減少や生産調整により工場の稼働率が低下したため、製造原価に含まれる固定費(設備費用や人件費)の一部が売上に十分転嫁されず、利益率が圧迫されました。
2. コスト構造の影響
生産コストの増加
原材料価格の高止まりや、物流費の増加などにより、売上総利益率が低下。具体的には、売上総利益は前年同期比で -2.9% 減少しています(売上総利益率 43.5% → 43.0%)。販売費および一般管理費(販管費)の増加
販管費が前年同期比で +1.5%(+17.3億円) 増加しており、営業利益への圧迫要因となっています。主に、以下の費用が影響している可能性があります:人件費の増加
マーケティング・販売関連費用の増加
固定費ベースの増加(設備維持コストなど)
3. 金融収益の減少
税引前利益(経常利益)の減少幅が大きい背景として、金融収益が減少(前年同期比 -3,414百万円) している点が挙げられます。
昨年は円安環境などにより金融収益が多く発生しましたが、為替変動や金融資産の運用成果が縮小したことが響いています。
4. 法人税等負担の変動
法人所得税負担の減少額(前年同期比 -1,768百万円)が利益の減少幅に対して相対的に小さいため、純利益の減少率が大きくなっています。
5. セグメント別の売上収益と利益率の低下
特に利益率の高い事業での減益が全体の利益減少を牽引しました。
金属加工機械事業(売上構成比 82.3%)の営業利益は前年同期比で -17.3% 減少。
生産調整や操業度低下が影響。
板金部門 の海外売上が -1.6% 減少。
中国市場の需要低迷が主因。
欧州市場の停滞も影響。
6. 包括利益の大幅な減少
包括利益が前年同期比で -72.7% 減少しています。これは、外国為替換算差額が大幅にマイナス(前年同期 +1,825百万円 → 今期 -697百万円)となったことが一因です。これにより、通貨換算による資産価値の変動が損益計算書に影響しました。
2. セグメント別業績

◎金属加工機械事業(売上収益:1,519億円)
前年同期比:売上 -1.8%、営業利益 -17.3%
板金部門:売上収益 1,368億円(前年同期比 -1.8%)
国内売上:471億円(-2.2%)
海外売上:898億円(-1.6%)


◎金属工作機械事業(売上収益:319億円)
前年同期比:売上 +1.0%、営業利益 -3.5%
切削・研削盤部門:売上 229億円(+4.1%)
プレス部門:売上 90億円(-6.2%)


◎その他事業(不動産賃貸等)
売上収益:6億円(+1.1%)
営業利益:4億円(+2.6%)
各部門別の状況を合算した主要地域別の状況は以下の表の通り。北米と欧州は前年同期比の売上構成比が増えているが、アジア他が逆に減少している。

3. 財務状態
総資産:6,552億円(前年末比 -258億円)
負債合計:1,308億円(前年末比 -158億円)
親会社所有者帰属持分比率:79.3%(前年末比 +1.5%)
財務基盤は堅調で、自己資本比率は高い水準を維持しています。
4. キャッシュフロー
営業活動CF:+153億円(前年同期比 +80億円)
投資活動CF:+17億円(前年同期は -92億円)
財務活動CF:-171億円(前年同期は -144億円)
キャッシュフローの改善が見られるものの、自己株式取得と配当金支払いが影響し、財務活動CFは赤字。
5. 業績予想
売上収益:4,050億円(前期比 +0.4%)
営業利益:530億円(前期比 -6.2%)
親会社所有者帰属利益:360億円(前期比 -11.4%)
修正幅:売上予想を100億円、利益を各段階で下方修正。
6. 投資家への示唆
収益性の課題:
利益率低下に注意。製造コスト管理が重要課題。
成長領域の開拓:
ESG経営やインフラ需要対応の長期戦略がカギ。
安定配当:
中間配当31円、年間配当予想62円(前期60円)。高い配当利回りを維持。
7. リスクと課題
地政学的リスク(ウクライナ問題や中東情勢)
世界的な金利高止まりによる需要減少
中国市場の低迷
4. 株価
2024年11月14日の決算発表を受けて翌日から下落。本日19日に一旦の下落は終了。今後ジリジリ下げていくか、戻すかのか展開が気になるところです。

株価を長期で見てみると、8月上旬の暴落からまったく回復していません。

同じく3年間の配当利回りの推移(下のチャート)を見てみると、現在の配当利回り4.26%は高水準に位置しています。下のチャートからは配当利回り4.5%~4.7%あたりが安心して買える水準と見れるので、もう少し株価の下落を待ちたいところ。

私は今年の9月にアマダを100株ずつ合計200株購入したが、平均取得単価は1425円です。この値段だと利回り4.35%。これではまだ購入したい株価ではないかな。配当利回り4.5%で1377円、4.7%で1319円となります。ここらへんまで待ってみようかな。
