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JAL(9201)2025年3月期第3四半期決算分析:好調な国際線とLCC事業が牽引、通期予想達成へ順調に推移
日本航空(JAL)が2025年2月4日に発表した2025年3月期第3四半期決算は、国際線旅客需要の回復とLCC事業の躍進により増収増益を達成しました。純利益の通期予想に対する進捗率は91%と順調で、事業構造改革も着実に進展しています。しかし、第4四半期の利益減少予測や配当の据え置きなど、今後の展開に注目が集まります。本記事では、JALの最新決算を詳細に分析し、投資家の皆様に重要なポイントをお伝えします。
1. 主要業績指標
売上収益: 1兆3,859億円 (前年同期比10.9%増)
EBIT(財務・法人所得税前利益): 1,442億円 (前年同期比11.9%増)
親会社の所有者に帰属する四半期利益: 910億円 (前年同期比6.0%増)
EBITマージン: 10.4% (前年同期比0.1ポイント増)
☆EBITマージンとは??
EBITマージンは企業の収益性を測る重要な財務指標です。これは、税引前利益(EBIT: Earnings Before Interest and Taxes)を売上高で割った比率を表します。計算式は以下の通りです:
EBITマージン(%) = (EBIT ÷ 売上高) × 100
この指標は、企業が売上高に対してどれだけの利益を生み出しているかを示します。EBITは金融コストや税金の影響を受けないため、企業の本質的な事業収益力を評価するのに適しています。
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2. セグメント別業績
2.1. フルサービスキャリア事業
売上収益: 1兆954億円 (前年同期比8.7%増)
EBIT: 986億円 (前年同期比3.9%減)
2.2. LCC事業
売上収益: 773億円 (前年同期比43.2%増)
EBIT: 85億円 (前年同期比641.3%増)
2.3. マイル/金融・コマース事業
売上収益: 1,510億円 (前年同期比5.5%増)
EBIT: 304億円 (前年同期比15.9%増)
3. 財務状況
総資産: 2兆7,607億円 (前期末比1,114億円増)
負債: 1兆7,727億円 (前期末比718億円増)
資本: 9,879億円 (前期末比396億円増)
現金及び現金同等物: 6,963億円 (前期末比175億円減)
自己資本比率: 34.4%
☆自己資本比率の計算
自己資本比率 = (親会社の所有者に帰属する持分 / 資産合計) × 100
決算短信記載のバランスシートから関連する数値を抽出すると:
親会社の所有者に帰属する持分: 948,348百万円
資産合計: 2,760,725百万円
これらの数値を計算式に当てはめると:自己資本比率 = (948,348 / 2,760,725) × 100 = 34.4%
ちなみに、2025年3月期第3四半期でのANAの自己資本比率は31.8%でした。
【ANAについての分析は下のリンクよりどうぞ】
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これまでの自己資本比率など財務履歴は下の表のとおりです。自己資本比率はコロナ禍と大きく変化はないようです。有利負債は若干減りましたが、コロナ以前の水準まではまだまだといったところです。
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4. 業績予想
2025年3月期通期の連結業績予想に変更なし:
売上収益: 1兆9,300億円 (前期比16.8%増)
EBIT: 1,700億円 (前期比17.1%増)
親会社の所有者に帰属する当期利益: 1,000億円 (前期比4.7%増)
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第3四半期累計期間(2024年4月1日~12月31日)の実績では、売上収益が1兆3,859億円、EBITが1,442億円、純利益が910億円となっており、通期予想に対する進捗率は以下の通りです:
売上収益: 71.8%
EBIT: 84.8%
純利益: 91.0%
JALグループは、事業構造改革が着実に進展しており、通期業績予想の達成に向けて順調に推移していると述べています。特に、第3四半期単独では再上場後最高益となるEBIT585億円(前年比+55%)を記録しており、好調な業績を示しています。ただし、第4四半期(2025年1月~3月)の純利益は、当社の試算によると前年同期比7.3%減の89.5億円に減少する見込みです。これは、第3四半期までの好調な業績を踏まえても、通期予想の達成にはまだ課題が残されていることを示唆しています。
5. 投資家向けポイント
全体的に増収増益を達成し、特にLCC事業が大幅な成長を遂げている。
国際線旅客需要の回復が顕著で、ビジネス需要とインバウンド需要が好調。
貨物事業も国際線・国内線ともに前年を上回る収入を確保。
構造改革の進展により、マイル/金融・コマース事業が安定的に利益を計上。
外国航空会社便のグランドハンドリング受託が大幅に増加し、新たな収益源として成長。
環境への取り組みを強化し、SAF(持続可能な航空燃料)の活用やCO2排出量削減に向けた施策を推進。
業績予想は据え置きながらも、2025年度のEBIT目標2,000億円達成に向けて事業構造改革を推進中。
配当は80円で変更なし
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6. まとめ
・増収増益
・純利益進捗率:91%(順調)
・配当:80円(もうちょい頑張れ)
・配当利回り:3.18%(2/4現在株価2516円)
・増配発表なし(通期決算発表時に増配発表があればいいなあ)
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2025年2月3日発表のANAの2025年3月期第3四半期決算については下のリンクより確認いただけます。ANAは業績上方修正をしてきました。