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大倉工業(4221)DOE3%、自社株買い約10%、次期中計に期待したい

2024年11月13日にDOEを導入することを発表し株価が急騰した大倉工業(4221)。前回は大倉工業(4221)のビジネスモデル、経営環境、2024年12月期第3四半期決算やネットキャッシュをかくにんしてきました。その記事は下のリンクからごらんいただけます。

今回は、PER、PBR、配当利回り、配当性向、株主還元政策、中期経営計画などをみて投資の判断材料をかくにんしていきます。

1. 各種指標

まずはざっと数字をかくにんします。

2025年1月16日終値での数値
株価2979円・時価総額354億円・PER9.8倍・PBR0.5倍・ROE6.7%・
自己資本比率60.4%・配当利回り5.2%・配当性向30.8%・決算12月

株価2979円
時価総額354億円
PER9.8倍
PBR0.5倍
MIX係数4.9
ROE6.7%
ROA4.0%
自己資本比率60.4%
配当利回り5.2%
配当性向30.8%
プライム市場
決算12月

2. PER

PERの3年推移をみてみると、PERの最低が6倍をきるくらい、最高が10倍を越えるくらい。

PER3年推移

もう少し長期でPERをみてみると、最低が2022年の5.77倍、最高が2015年の17.63倍となっています。2017年以前はけっこうPERは高かったですが、2018年以降はだいたい6倍~10倍でおさまっている感じです。

2009年~2023年PER

3. PBR

PBRの3年推移をみてみると、PERの最低が0.4倍をきるくらい、最高が0.6倍を越えるくらい。

PBR3年推移

もう少し長期でPBRをみてみると、最低が2022年の0.39倍、最高が2017年の0.94倍となっています。2016年と2017年だけ0.4~0.6の範囲を越えています。その2年以外はだいたい0.4~0.6におさまっています。資産的にみると万年割安となっています。

2009年~2023年PER

4. 配当利回り・配当性向

ここ3年の配当利回りは3%~5.2%の範囲内でうごいています。

配当利回り3年推移

2010年からの配当利回りと配当性向をみてみると、配当性向は大きく変わっていませんが、配当利回りは上昇しています。

2010年~2023年の配当利回り推移(左)と配当性向推移(右)

配当利回りが上昇しているので配当金の支払い額も増えています。純資産配当率(DOE)は2023年12月は2.2%でした。

配当金支払額推移(左)と純資産配当率(右)

5. 自社株買い

自社株買いは2023年以前はほとんどありませんでした。主に配当での株主還元でした。

自己株式取得額推移(左)と総還元額推移(右)

6. 株主還元姿勢

2024年2月13日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を発表しました。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(2024年2月13日発表)

低PBRであり1倍には程遠いとの認識をしており、下のような改善に向けた方針を出しました。

『当社の現状認識を踏まえ、早期のROE8%以上の達成を念頭に、「事業戦略」「財務戦略」「非財務戦略」の各課題を解決することでPBR1 倍以上を目指します。事業戦略においては、収益力の強化を目的とした、今年最終年となる中期経営計画(2024)の総仕上げ及び次期中期経営計画(2027)の策定に取り組みます。 財務戦略では、資本構成バランスの最適化を図り、資本効率性の向上に取り組んでまいります。また、安定的な配当を基本に配当水準の更なる引き上げに努めるとともに、自己株式の取得が妥当と判断した場合には適時検討してまいります。 非財務戦略では、サステナビリティの推進と株主・投資家との積極的な対話を進めてまいります。 また、進捗状況につきましては、毎年取締役会にて検証を行い開示することで経営に活かします。』

さらに資料を読み込んでいくと、具体的な取り組みとして下の3点をあげていました。
・株主還元拡充
・海外事業拡大(現在は売上高の90%以上が日本)、M&A
・不採算製品資産圧縮

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(補足資料より)

「情報電子」「プロセス機能材料」「環境・エネルギー」「ライフサイエンス」という成長が期待される4つの事業に重点投資を行う。既存事業についてはDXや生産性向上により新たな価値を創出する。2030年には、売上高1,200億円、営業利益100億円、ROE8%以上、投資総額650億円の達成を目指す。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(補足資料より)

また、政策保有株式を縮減するとしています。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(補足資料より)

さらに、2024年から自己株式取得検討。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(補足資料より)

そして、実際に2024年6月21日に自社株買いを発表しました。

2024年6月21日発表の自社株買いについて

期間:2024年8月1日~2025年6月20日
取得上限株式数:1,200,000株(発行済み株式数の9.92%)
取得上限額:25億円

この自社株買いが2025年1月15日現在でどこまで進捗したかを下の表は示しています。

2025年1月15日時点での自社株買いの進捗状況

取得期間の約半分がすぎて、
46万/120万株
12.58億/25億円
ということで金額的に半分到達しています。順調かと思われます。


ということで、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」の中でふれられていた自社株買い。6月21日に実際に自社株買いの発表があり、1月15日現在で半分が完了している状態という説明をしてきました。

そして2024年11月14日の株価急騰の原因はDOEの発表です(下の資料参照)。

2024年11月13日にDOE3.0%を発表した

2024年11月13日に自己資本配当率(DOE)3.0%以上を発表し、さらに踏み込んだ株主還元政策として株主から受け止められ株価が+7.65%も上昇しました。

7. 株価

3年株価推移

株価はこれまで説明してきた3つのイベントでその都度上昇してきました。
・2024年2月13日 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」発表
・2024年6月21日 自社株買い発表
・2024年11月13日 自己資本配当率(DOE)3.0%以上を発表

2025年1月16日現在の株価は2024年2月13日の発表後に急騰した水準まで戻りつつあるといったところでしょうか。

8. 今後について

大倉工業は2024年から株主還元姿勢が積極的になっています。中期経営計画通りに動いてきているので今後に期待がもてます。また、2027年中計も非常に気になります。これ以上の株主還元があるのでしょうか!?DOEを引き上げてくれたらうれしいが。ROEも引き上げることを目標としているので、このROEの上昇とともに増配となるでしょう。

また、時価総額354億円に対して利益剰余金399億円とキャッシュリッチすぎる。これは株主還元や投資を積極的にやっていかないと買収されたり、東証からつつかれたりすることになる。自社株買いを追加したりとさらなる株主還元の期待がもてる。

ということで、今後のさらなる株主還元の可能性があり、次期中計も楽しみ。なかなか株価が落ちてこないでまだかえていないが、個人的には落ちたら欲しい銘柄となっています。

This is not financial advice. Invest at your own risk.

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