
NCS&A(9709)、静かな巨人が動き出した!230億円への挑戦と革新の全貌【前編】
ITの未来を創る、静かな革新者──。
40年の歴史を持つNCS&A株式会社が、今、大胆な変革に挑んでいます。システム開発の常識を覆す「脱・下請け戦略」と、驚きの成長目標。2026年に売上高230億円を狙う、この会社の秘密とは?
AIやDXの波を、最先端で捉える彼らの戦略を、初心者でも一気に理解できる特別レポート。あなたの投資眼が、ここで輝きます。
1. ビジネスモデル
システムインテグレーション(SI): 顧客のニーズに合わせたシステム開発を受託し、設計から導入までを一貫して提供。
自社製品開発: パッケージソフトウェアの開発・販売を行い、顧客により迅速でコスト効率の良い課題解決を提供。
BoB(ベスト・オブ・ブリード)方式: 特定のベンダーに依存せず、顧客に最適な製品を選定・組み合わせてシステムを構築。
アウトソーシングサービス: 運用支援や保守など、顧客企業のIT業務を代行。
ハードウェア販売: コンピュータ機器や周辺機器も取り扱い、トータルソリューションを実現。
2. 事業の特徴
幅広い事業領域: 金融、公共、社会インフラ、製造業など多岐にわたる分野でITサービスを提供。
安定的な経営基盤: 幅広い事業展開により、極めて安定的な経営基盤を確立。
長年の実績: 1980年の創業以来、40年以上にわたって成長を続けている。
6つの主要事業部門:
金融ソリューション
社会インフラソリューション
エンタープライズソリューション
公共システム
クラウドシステム
プラットフォーム
主要顧客: 日本電気(NEC)、NECソリューションイノベータなどの大手企業。
研究開発投資: 継続的な技術革新のため、年間約1億7929万円を研究開発に投資。
成長性: 過去10年間で売上高1.2倍、純利益35.1倍と着実な成長を遂げている。
NCS&Aは、顧客ニーズに応じた柔軟な対応力と、長年培った技術力を活かして事業を展開しています。また、自社製品開発にも注力することで、収益性の向上と持続的な成長を目指しています。
3. 経営環境分析
3.1. 外部環境
NCS&Aの外部環境について、以下の主要な要因が挙げられます:
IT投資の増加傾向
2025年度のIT投資を増やす意向の企業が過去最高となっている。
2024年度にIT投資を増加させた企業は59.0%、2025年度に増加を予想する企業は53.3%。
45%の国内企業が2025年度のIT予算を増額する見込み。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速
多くの企業がデジタル化を推進する組織を設置している(約7割)。
新規導入・投資増の1位は生成AI技術。
IT人材の不足
情報サービス業界では71.9%の企業が正社員不足を感じている。
ITエンジニアの不足が特に深刻で、多くの企業が採用に苦労している。
労働市場の変化
正社員不足を感じている企業の割合が全体で51.0%に達している。
非正社員の不足は若干緩和傾向にあるが、依然として高い水準(28.8%)。
業界別の課題
建設業界では69.5%の企業が正社員不足を感じている。
旅館・ホテル業界では65.3%の企業が正社員不足を感じている。
これらの要因は、NCS&Aにとって事業拡大の機会を提供すると同時に、人材確保や技術革新への対応など、新たな課題も生み出しています。
3.2. 内部環境
NCS&Aの内部環境について、以下の主要な特徴が挙げられます:
業績の安定成長
2025年3月期中間期の売上高は97億6,800万円を達成。
3期連続で配当増額修正を実施。
2026年度までに売上高230億円、営業利益率12%を目指す中期経営計画を策定。
人材投資の強化
2024年度に新卒70名を採用。
2025年度は新卒80名採用を目標としている。
従業員待遇の改善
2024年に平均5%の給与引き上げを実施。
2024年7月より、従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入。
自社製品開発の強化
自社製品売上比率が26%に上昇[1]。
評価制度と昇進
年1回の昇格試験を実施[3]。
2年連続高評価が昇格試験受験の条件[3]。
資格取得が昇進の要件となっている[3]。
賞与制度
年2回の賞与支給[3]。
近年、賞与の支給額が増加傾向にある[3]。
健康経営の推進
「健康経営優良法人2024」に認定[1]。
フェムテックサービスに「更年期プログラム」を追加[1]。
これらの要因から、NCS&Aは安定した業績成長を背景に、人材育成と従業員満足度の向上に注力していることがわかります。また、自社製品開発の強化により、収益性の向上を図っていると考えられます。
3.3. 業績動向
NCS&Aの業績動向は以下の通りです:
2025年3月期中間期の実績
売上高: 97億6,800万円
営業利益: 8億9,100万円(前年同期比横ばい)
経常利益: 9億1,300万円
当期純利益: 5億6,900万円
自社製品売上比率: 26%に上昇
2025年3月期通期の業績予想
売上高: 190億円
営業利益: 18億円(過去最高を更新見込み)
営業利益率: 9.5%
中期経営計画(2024-2026)の目標
2026年度までに売上高230億円、営業利益28億円、営業利益率12%を目指す
配当方針
連結配当性向45%以上を目標
2024年度の配当予想は38円(前年度から8円増配)
業績の推移
2018年度から業績を大きく回復
2020年度はコロナ禍で一時的に下落したが、その後は右肩上がりで成長
株価関連指標(2025年1月28日時点)
PER(予): 10.1倍
PBR(実): 1.07倍
配当利回り(予): 4.61%
時価総額: 149億円
財務指標
ROA(実): 8.13%
ROE(実): 13.42%
自己資本比率: 63.8%
NCS&Aは安定した業績成長を続けており、自社製品開発の強化や人材投資を通じて、さらなる成長を目指しています。
3.4. 課題
レガシーシステムの刷新
多くの企業が抱える「2025年の崖」問題への対応が急務。
複雑化・ブラックボックス化した基幹系システムの刷新が必要。
DX推進の遅れへの対応
企業文化や固定概念の変革が必要。
DX導入の遅れによる競争力低下のリスク。
IT人材の確保と育成
情報サービス業界全体で深刻な人材不足に直面。
3.5. 機会
レガシーモダナイゼーション需要の増加
「2025年の崖」問題に対応するための需要拡大。
既存システムの「見える化」ニーズの高まり。
自社製品開発の強化
「REVERSE PLANET」などの可視化ツールの需要増加。
システム資産の棚卸・移行サービスの提供機会。
協業によるビジネス拡大
アクセンチュアとの協業強化による新たなビジネス機会。
レガシーシステム刷新の総合的なソリューション提供。
DX推進支援ビジネスの拡大
企業のDX推進を支援するサービスの需要増加。
ITシステムの全体最適化支援の機会。
NCS&Aは、これらの課題に対応しつつ、新たな機会を活かして事業拡大を図ることが重要です。特に、長年の実績を持つ「見える化」ソリューションを強みとして、レガシーモダナイゼーション市場でのポジションを強化できる可能性があります。
4. 直近(2025年3月期第2四半期)決算
4.1. 決算概要
売上高:97億68百万円(前年同期比3.9%増)
営業利益:8億91百万円(前年同期比2.0%減)
経常利益:9億13百万円(前年同期比3.4%減)
親会社株主に帰属する中間純利益:5億69百万円(前年同期比6.8%減)
4.2. 売上分類別業績概況:
自社製品によるソリューション
売上高:25億14百万円(前年同期比2億8百万円増)
マイグレーションサービスの大型案件やアライアンス先との協業案件が順調に進捗
オーダーエントリーシステム「E.M.O(エモ)」が100店舗以上のホテル・レストランに導入
システムインテグレーション
売上高:40億17百万円(前年同期比60百万円減)
中堅・中小マーケットのシステム開発案件が復調傾向
インボイス制度対応案件の落ち着きにより減収
機器・パッケージ
売上高:10億86百万円(前年同期比1億79百万円増)
サーバーなど大型機器の販売増加により増収
受託開発
売上高:21億49百万円(前年同期比43百万円増)
官公庁向けシステム開発が堅調に推移
得意分野へのリソース集中による収益性向上に注力[1]
4.3. その他の注目点:
自己資本比率:67.2%(前連結会計年度末63.8%から上昇)
2025年3月期の通期連結業績予想は変更なし
「社内スタートアップ制度」による新事業創出活動を推進
従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を2024年7月より導入
フェムテックサービスに「更年期プログラム」を追加し、従業員の活躍環境構築を継続[1]
この決算短信では、NCS&A株式会社が堅調な業績を維持しつつ、新たな事業創出や従業員支援に注力していることが示されています。
4.4. 今後の見通し
2025年3月期の通期連結業績予想については、2024年5月14日に公表した予想から変更はありません。具体的な数値は以下の通りです:
売上高:19,000百万円(前期比0.5%増)
営業利益:1,800百万円(前期比9.9%増)
経常利益:1,910百万円(前期比8.5%増)
親会社株主に帰属する当期純利益:1,320百万円(前期比14.1%減)
1株当たり当期純利益:82.03円1
この業績予想は、現時点で入手可能な情報に基づいて作成されており、実際の業績は様々な要因によって予想数値と異なる可能性があります。
4.5. 成長戦略
1.主力ソリューションの強化
NCS&A株式会社は、「真に世の中から必要とされる会社」を目指して、成長に向けた積極的な投資として主力ソリューションの強化を推進しています。1具体的には以下の取り組みが挙げられます:
自治体向け給付金システム「The給付」の機能拡充と普及促進
オーダーエントリーシステム「E.M.O(エモ)」の機能強化と導入拡大
2.新規事業の創出
「社内スタートアップ制度」を通じて、研究開発を通した新しい事業の芽を創出する活動を積極的に推進しています。1この取り組みの一環として、以下のような新製品が開発されています:
統合情報モニタ基盤「ScopNeo(スコップネオ)」:2024年6月にリリース
3.DX推進への寄与
社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に寄与するため、特定の業種に限らずシステムを運用するお客様が共通して抱える課題を解消するためのソリューションを提供することに注力しています。
2.人材戦略
従業員の資産形成支援と企業価値の持続的な向上を図るため、2024年7月より従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入しました。また、フェムテックサービスに「更年期プログラム」を追加するなど、「生き生きと活躍できる環境の構築」を継続して進めています。
4.収益性の向上
受託開発事業では、当社の得意分野にリソースを集中させることによる収益性の向上に取り組んでいます。具体的には、強みを生かすことのできる領域、特に官公庁向けシステム開発に注力しています。
5.マイグレーションサービスの拡大
保険会社向け大型案件やアライアンス先との協業案件が順調に進捗しており、マイグレーションサービスの拡大を図っています。
6.財務戦略
自己資本比率は、前連結会計年度末の63.8%から67.2%に上昇しました。1この強固な財務基盤を活かし、今後の成長投資や株主還元の充実を図る可能性があります。
7.市場環境への対応
コロナ禍を契機としたIT活用の一時的な需要の急増は収まったものの、デジタル活用が社会に定着化したことや労働力不足を背景とした業務効率化に向けたIT活用の重要性の高まりにより、市場環境は堅調に推移しております。1この環境変化に対応し、新たな需要の掘り起こしと既存顧客の深耕を進めていくことが予想されます。
8.技術革新への対応
AI、IoT、クラウドなどの最新技術を積極的に取り入れ、顧客のニーズに合わせた革新的なソリューションの開発と提供を継続的に行うことが予想されます。これらの戦略を通じて、NCS&A株式会社は持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。市場環境の変化や技術革新に柔軟に対応しながら、顧客ニーズに合わせたソリューションの提供と新規事業の創出に注力していくことが予想されます。
5. 中期経営計画
NCS&A株式会社の中期経営計画(2024年度~2026年度)を基に、今後の見通しと成長戦略を以下に詳細にまとめます。
5.1. 中期経営計画の概要
対象期間:2024年度~2026年度
基本方針:収益基盤の安定を維持しつつ、システム開発中心の事業構造からサービス事業への転換を図り、持続可能な成長を目指す。
5.2. 数値目標
2026年度目標:
売上高:230億円
営業利益:28億円
営業利益率:12%
配当性向:45%以上
5.3. 基本方針と成長戦略
1. 既存事業の強化
主力ソリューションの拡充:
自治体向け給付金システム「The給付」の機能拡張および普及促進。
オーダーエントリーシステム「E.M.O(エモ)」の導入拡大。
受託開発から自社製品へのシフト:
NECやNTTなどの下請け比率を削減し、自社製品によるソリューション提供を増加。
利益率の高い自主ビジネスを強化し、収益性向上を図る。
2. 新規事業の創出
社内スタートアップ制度の進化:
新規事業創出を目的とした「社内スタートアップ制度」を推進。信頼できるパートナーとの協業ビジネスも展開。
新製品例:「ScopNeo(スコップネオ)」などの統合情報モニタ基盤。
「2025年の崖」対応:
古い基幹業務システム刷新需要に対応したマイグレーションサービスの拡大。
3. 人材への投資
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進:
女性管理職比率を5.4%から20%へ引き上げ。
男女賃金格差を75.5%から80%へ改善。
働き方改革:
男性育休取得率100%、有給休暇取得平均18日、時間外勤務時間平均10時間を目指す。
オンライン専門職・地方サテライトオフィス導入:
地域やライフステージに応じた柔軟な働き方を提供。
4. 株主還元
配当性向45%以上を維持し、安定的な配当政策を継続。2024年度は38円配当(8円増配)。
自社株式取得など株主価値向上施策も実施。
5.4. 戦略投資と事業ポートフォリオ転換
1. 技術力向上への投資:
「技術のNCS&A」として、開発力強化と主力ソリューションへの継続投資。
2.サービス事業への転換:
システム開発依存型からサービス型ビジネスモデルへの移行。
クラウドサービスやDX関連ソリューションに注力。
3. サステナビリティ推進:
環境・社会課題への対応として、健康経営やフェムテックサービス(更年期プログラム追加)など従業員支援策を拡充。
5.5. 今後の見通し
2025年3月期では、売上高190億円、営業利益18億円(営業利益率9.5%)を見込んでおり、中期計画初年度として順調な進捗が報告されています。引き続き以下が期待されます:
1. IT投資需要の増加(「2025年の崖」対応やDX推進)。
2. 自社製品比率拡大による収益性向上。
3. 新規事業創出による長期的な成長基盤確立。
5.6. 中期経営計画のまとめ
NCS&A株式会社は、中期経営計画において既存事業強化、新規事業創出、人材投資、株主還元という4つの柱を掲げています。これら戦略は、収益基盤の安定化と持続可能な成長に寄与するものです。また、「技術力」と「人材力」を両輪として、サービス事業への転換やDX推進など、時代に即した変革を進めています。2026年度には売上高230億円達成という目標が現実味を帯びており、同社はさらなる成長が期待されます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。前編はここで終了です。後編は株価や各種指標を分析し投資判断をしていきたいと思います。完成までもう少々おまちください。
参考になったと思われた方は「いいね」「フォロー」お願いします🔥
この他にも多数銘柄分析をしています。下は最近増配を発表した東ソーの記事です。この企業は増配発表後株価が上昇しましたが、2025年1月現在まだ高配当とよべる水準となっています。
下は三菱商事の簡易分析です。PERやPBRなどから分析しています。
下は最近アクティビストが買い増して話題になっている王子ホールディングスの記事です。