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寿司と愛⑫~決戦~

カレイ

スミイカ

カンパ

2貫目


3貫目


4貫目


三崎、そして佐伯田が

握った寿司に対して

久十兵衛 総料理長
今田 清次郎は

最初の中トロとうってかわり

全く反応しなかった

頷きもしない

声も発さない

果たしてうまいと感じてくれてるのか


会場全体が疑問だった

そして

佐伯田が握る

次のネタは

ライトに照らされ

キラリと光が反射した

そう

小肌だ

次のネタが

江戸前寿司の王様

小肌を握ろうとした瞬間

佐伯田優星は


意識が遥か彼方に飛びそうになる

そう

昨日、包丁で刺されたのは

利き手である右手だけでない

腹部にも深い傷を残されていた

佐伯田の体力は限界を迎えていた

急激な失血により

脳に酸素が送られてこない

立ってるのがやっとだた

『や・・やっと‥ここまで・・来たんだ‥久十兵衛のつけ場に立ってるんだ‥』

フラフラになりながら

小肌をひっくり返し、山葵を置く


意識はもう失っていたかもしれない

ただ、体が覚えていた

『この対決が終わって・・勝てば・・ぶっ倒れてもいい・・・最後までもってくれ‥』

佐伯田優星は

目をつぶり

そして握った寿司に

魂を吹き込んだ


「ほう・・、いい握りだ」


今田清次郎は頷いた


その表情には


薄っすらと笑みを感じた


そしてその小肌が

佐伯田優星が握った

今日一番の寿司だった


(つづく)

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