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ドルコスト平均法 - 専門的知識がなくてもできる投資方法 -

投資で多くの方が悩むことの中に、「いつ購入するか」「いくら購入するか」があると思います。
誰もが安い時にたくさん購入して高くなったら売却することを考えますが、現在の価格が高いのか安いのかはなかなかわからないものです。投資をしている人であれば、安いと思って購入したらさらに値下がりしたり、十分高くなったからと売却した後にさらに価格が上がることをよく経験されていると思います。
そこで、どうせ将来の価格はわからないのだから、タイミングに悩まず定期的に、金額も悩まず一定金額を、コツコツと投資しちゃえ、というのが「ドルコスト平均法」です。


ドルコスト平均法とは

改めてドルコスト平均法(Dollar-Cost Averaging、DCA)を説明すると、「一定額を定期的に投資することで、投資タイミングのばらつきによるリスクを軽減する投資手法」です。
例えば、常に同じ投資対象を毎月1日に1万円で購入し続けるような感じです(株価にかかわらず、4月1日も5月1日も6月1日もずっと毎回1万円分購入します)。

ドルコスト平均法が良いといわれる理由

ドルコスト平均法の利点は以下といわれています。

  • タイミングを気にせず投資できる:
    いつ株価が上がるか、下がるかということを予測する必要がない。市場のタイミングに左右されずに投資を続けることが可能。

  • 購入単価の平均化:
    株価の変動に左右されずに、ある程度安定した購入単価で投資することが可能。市場が上昇しているときは購入できる資産が少なく、市場が下落しているときはより多くの資産を安く購入できるため、結果として、購入価格が平準化されてリスクが減少。

  • 心理的な負担軽減:
    一度にまとまった金額を投資するよりも少額から始められるため、心理的な負担が軽減。市場の動向に対する感情的な反応(「今は買うべきか」「売るべきか」)を避けることができるため、長期的に安定した投資が可能。

具体例

では具体例として、とある投資対象が以下のように価格変動した場合を考えてみます。

例題

パターンとして以下4つで比較します。資金は50万円とします。

  • (a)凄腕の投資家がドンピシャで相場を予想できた場合

  • (b)最悪のタイミングで売買してしまった場合

  • (c)りあえず長期投資を考えている場合

  • (d)ドルコスト平均法で購入した場合

(a)凄腕の投資家がドンピシャで相場を予想できた場合

凄腕

上記図のタイミングで売買できた場合の金額を計算してみます。

(a-1) 価格1000の時にこれから値上がりすると考えて50万円分購入(500個購入)
(a-2) 天井(一番高いところ)と考え、価格2000で500個を売却(50万円で購入したものが100万円で売却できた)
(a-3) 価格1500の時にこれから値上がりすると考えて100万円分購入(666個購入)
(a-4) 天井(一番高いところ)と考え、価格2500で666個を売却(100万円で購入したものが166.5万円で売却できた)
(a-5) 価格500の時にこれから値上がりすると考えて166.5万円分購入(3330個購入)
(a-6) 天井(一番高いところ)と考え、価格1000で3330個を売却(166.5万円で購入したものが333万円で売却できた)

結果、50万円が333万円、つまり283万円も儲かりました。

(b)最悪のタイミングで売買してしまった場合

へたくそ

上記図のタイミングで売買してしまった場合の金額を計算してみます。

(b-1) 価格2000の時にまだこれから価格が上がると考えて50万円分購入(250個購入)
(b-2) 予想に反して価格が下がり、これ以上損はできないとして価格1500で250個を売却(50万円で購入したものが37.5万円になってしまった)
(b-3) 価格2500の時にまだこれから価格が上がると考えて37.5万円分購入(150個購入)
(b-4) 予想に反して価格が下がり、これ以上損はできないとして価格500で150個を売却(37.5万円で購入したものが7.5万円になってしまった)

結果、50万円が7.5万円、つまり42.5万円も損してしまいました。

(c)とりあえず長期投資を考えている場合

長期

売却を考えない場合です。

(c-1) 価格2000の時に今後は価格が上がると考えて50万円分購入(250個購入)
(c-2) 長期投資を考えているため売却しない
(c-3) 長期投資を考えているため売却しない
(c-4) 長期投資を考えているため売却しない
(c-5) 長期投資を考えているため売却しない

この場合は(c-5)で利確(売却して利益を確定)してはいませんが、価値としては25万円(250個が価値1000)になっていますので、25万円含み損がある状態です。

(d)ドルコスト平均法で購入した場合

ドルコスト平均法

ドルコスト平均法では価格を気にせず、決められたタイミング(今回は毎月1日)に決められた価格(今回は10万円)で購入します。

(d-1) 4/1に価格1200で10万円分購入(83個購入)
(d-2) 5/1に価格1700で10万円分購入(58個購入)
(d-3) 6/1に価格1800で10万円分購入(55個購入)
(d-4) 7/1に価格550で10万円分購入(181個購入)
(d-5) 8/1に価格800で10万円分購入(125個購入)

この場合は最終的に価格1000を83+58+55+181+125= 502個保有している(つまり50万円で502個購入した)ことになるので、価値として50.2万円、つまり2千円の含み益が出ました。

結果

今回の例では始めと終わりがともに価格1000でしたが、投資タイミングにより収益がプラスになったりマイナスになることがわかりました。その中で(b)や(c)のような下手なタイミングで投資をするよりも、何も考えずにドルコスト平均法で投資したほうが良い成績が出ました。
もちろん自身がある方は(a)のように積極的に売買をしてもよいですが、責任は一切負えませんのであしからず…

ドルコスト平均法の注意点

ドルコスト平均法は誰でもできる手法ですが注意点もあります。

  • 長期的な視点が重要:
    短期的な値動きに一喜一憂せず長期的な視点で投資を続けることが大切です。

  • 必ずプラスになるとは限らない:
    市場全体が長期的に下落し続けるような状況では、購入する度に損失が積み重なり損失が拡大します。

  • 手数料に注意:
    ドルコスト平均法は定期購入のため投資信託と相性が良いですが、購入手数料のかかる投資信託を選ぶと手数料が積み重なり収益を圧迫します。

まとめ

ドルコスト平均法は投資初心者の方でも始めやすく長期的な資産形成に有効な投資手法の一つです。しかし市場の状況によっては損失が出る可能性もあるため、私の考える理想は、ドルコスト平均法を基本としつつ、状況に応じて一時的に投資額を増やしたり、減らしたりするなど柔軟に対応していくのが良いと考えます。

ちなみに以前書いた記事「分散と集中」で記述した、時間の分散 でドルコスト平均法が使えます。

#ドルコスト平均法 #DCA #投資 #投資信託 #株式

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