小豆島のクラフトコーラ その5 タコのまくら
タコのまくら。
うちの店の名前。
お客さんによく、なんで「タコのまくら」なんですか?と聞かれる。
「タコノマクラ」とは海の生き物の名前。
ウニやヒトデなどの棘皮動物の仲間。
浅瀬の砂地に生息し、直径10cmほどの丸く平らな形をして、背面に5弁の花のような模様を持っている。
その昔、この生き物を発見した人がふざけて、もしくは投げやりに(笑)「この生き物はタコの枕にちょうどいい大きさだからタコノマクラにしよう」と命名したのだと思う。
僕は子どものころから海の生き物が好きだ。
タコノマクラという不思議な生き物は魅力的だし、思わず昼寝をしてしまうくらい店でゆっくり過ごしてもらいたいという思いも込めて、海の前にあるこのカフェの名前を「タコのまくら」に決めた。
そして、うちの「タコのまくら」のロゴ。実はすごい人に作ってもらった。
平野甲賀さん。
本の装丁家で、文字を作る人でもある。甲賀さんの文字は独特なスタイルをしている。
文字の持つ感情や意味を文字の形でそのまま表現しているようで、文字が笑ったり、泣いたり、怒ったり、踊ったり、走ったり、眠ったり、今にも動き出しそうだ。
その名は知らなくても沢木耕太郎さんの「深夜特急」や椎名誠さんの本の題字(どちらもちと古いが・・・)などで甲賀さんの文字を目にして人はいるはずだ。(甲賀さん、これまで7千冊もの本の装丁を行ってきたそうだ)
7年ほど前に島に越してきた際に引っ越しを手伝ったことからよくしてもらい、その当時、僕が古民家を改修してカフェを作っていることを知って、「よし。お店の名前を描いてやるよ」ということになったのだ。
出来上がった「タコのまくら」の文字がこちら。(「タコ」が片仮名で、「のまくら」が平仮名というのも甲賀さんが決めてくれた)
とてもかわいくて、それでいて存在感がある。うちの雰囲気をうまく表現してくれた。
このロゴをタコーラの封かんシールとして使わせてもらうことにした。
まりやちゃんのタコのハンコに、甲賀さんのタコのまくらの文字を加えることでタコーラのデザインがバチッと決まった。
甲賀さんありがとう!
甲賀さん。2年前くらいに島を出て高松に引っ越されたのだが、先月惜しまれながらもお亡くなりになった。
ひょうひょうと自由に生き、とても優しい甲賀さんのような大人になりたいと思ったものです。ご冥福をお祈りいたします。
うちのロゴは大切な宝物のようなものです。大事に使わせてもらいます。