【超短編】アンドロイド
男は『女』を作った。
孤独を紛らわせたくて、己の自尊心を満たしたくて、有り余るほどの時間をその『女』に費やした。
出来上がった『女』は上々だった。見た目は言わずもがな性格も申し分ない。――当然だ。男はそういう風に作ったのだから。
『女』は甲斐甲斐しく男の後をついていった。常に微笑みを絶やさず、男の言う事に逆らわず、全てを素直に聞きいれた。
そうプログラムされていたから。
しかし男は『女』を捨てた。
男は『女』にこう言った。
――「お前は気味が悪い」――
『女』はただ微笑み、頷いた。
『女』は男に憎悪など感じていなかった。復讐してやろうなどと思わなかった。なぜなら彼女は、人間の持つ負の感情を知らないから。プログラミングされてないから。
だから『女』は微笑む。柔らかな笑みを永遠に浮かべ続ける。
ただひたすら男のために……。